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1-1 精霊魔法と一般魔法

 俺は、風の精霊に運ばれ、とある山の開けた場所に降り立った。


 精霊には、お礼の代わりに、魔力を放出して俺の魔力を喰わせる。

 これが、精霊の力を借りる為の対価だ。

 この世界には、自分の体内魔力を消費して使用する【一般魔法】と、精霊に力を貸して貰って魔法を行使する【精霊魔法】がある。

 精霊魔法を得意とする種族は、主に自然を愛する『エルフ』や『妖精』であり、それ以外の種族は基本は一般魔法だ。他の種族で、精霊魔法を使える者が居なくはないが、滅多にいないのも事実。

 精霊とは、『自然の摂理』『世界の息吹』『世界を構築する存在』など、様々に考えられているが、まあ簡単に言えば、この世界には無くてはならない存在と言うわけだ。


 精霊はどこにでも居るが、けれどどこにも居ない。

 つまり、誰にも目に見えないけど、確かに存在はしている。

 でなければ、精霊魔法なんぞ使えるわけないし。

 そして、精霊魔法を使うには、精霊に好かれ認められる必要があるわけだが、精霊が好むのは、先程も述べたように『自然を愛する者』だったり、または、『自然に感謝の念を抱いている者』。あとは『心の綺麗な者』や『魔力が純粋な者』?だったりと、抽象的な理由も幾つか上がる。

 精霊は、目に見えないし、言葉も交わせないから、研究の結果、それらが理由じゃないかなー?と言うのが、人々の見解だ。


 あと、精霊魔法が使える──要は、精霊に好まれたとしても、全ての精霊に好まれる訳では無い。

 基本は、一つか二つ。良くても三つ。


 ··········まあ、()()に例外はいるけど(苦笑)

 何故か?そんなの俺が聞きたいんですけど(笑)


 それはさて置き、精霊魔法の利点は、(魔力の)燃費が良い事と、それなのに一般魔法よりも威力が高くなる事。

 一般魔法のように、『詠唱』や『術式』を態々覚える必要が無い事だろうか。

 何故なら、精霊に直に頼めば──精霊がそれに応じるかは別──良いだけだから。

 但し、先程も言った通り、精霊に好かれて精霊魔法を使えたとしても、一人につき一つか二つ。

 それ以外の精霊魔法は、どれだけ頑張っても使えるものでは無い。

 なので、大体の人は、精霊魔法と一般魔法両方を学んだりする。


 その点一般魔法だと、得手不得手はあれど、勉強をすれば、殆どの魔法を習得可能。

 ああ、でも、光と闇は別枠らしく、これらは生まれながらの素質に大きく起因されるようだ。

 ()()()()では、光魔法を使えるのは『聖女』や『聖人』と呼ばれ人々に崇められ、逆に闇魔法を扱える者は、『忌み子』として忌み嫌われているらしいが。


 勿論、俺は一般魔法──全属性──も、ある程度までは修めているので無問題!


 因みに、俺が何故一般魔法でなく精霊魔法を使用してここまで逃げて来たかと言えば、精霊魔法に比べて魔法の燃費が悪いと言うのも一つの理由だけど、魔力は生物なら誰しもが持っているもので、それは微量ながら体内から放出されている。

 一般魔法を使えば、多かれ少なかれ、魔力の痕跡などがその場に留まってしまい、勘の鋭い者や、そう言ったものを見分ける能力などを持っていれば、すぐに看破されてしまうのだ。

 その為、精霊に魔力を封じてもらい、隠蔽や運搬をお願いしたのである。

 だからといって、精霊魔法も絶対に気付かれないというわけではない。

 精霊は()()()()()には目視出来ないが、精霊同士なら見えるし、感じる事は出来る·····らしい。

 そして、精霊魔法使いなら、何となくだが、空気の流れと言うか、精霊が集って──精霊魔法を使用する場合、一体の精霊でなく複数の精霊が協力し合う為──いれば、そこに何かしらがあるということが、感覚的に分かって伝わってしまう。違和感程度であるが。

 なので、相手側に精霊魔法使いがいた場合、全てが無駄になってしまう訳だ。

 尤も、それらも杞憂だっただろうけど。


 ついでに付け加えるなら、【一般魔法】も【精霊魔法】も、世間では総じて【魔法】と呼称されている。


 閑話休題。


 はてさて、この後はどうするか·····ってもう決まってるんだけどね。

 俺は改めて、周囲に誰もいない事を確認すると、徐に空中に指で円を描く。

 すると、そこに渦巻くブラックホールみたいな感じのものが出来上がる。


 ──【空間魔法スペース】。


 空間を切り取り、この中に物──生きてるものは不可──をしまう事が出来る魔法。

 この魔法を使えるのは、()()()()()()()()()ので、あまり人前では使いたくないのが正直な所。その為、人目につかない必要があった。


 俺はその中に手を突っ込むと、ある物を念じ、手にその感触が伝わってきたのを感じてから手を引く。

 引いた手の中には、掌程の大きさの丸い石。その表面には、解読不可能な不思議な紋様が刻まれている。

 その石を軽く握り、必要な│言葉キーを口にする。


「──《帰還リターン》」


 すると、石が明滅しながら宙に浮き、俺の頭上に。

 石が徐々に透けるように透明になっていき、紋様がぶわりと浮き上がったかと思うと、俺の周囲を取り囲むように宙に舞った。


「·····さて、皆いるといいけど」


 俺は目を瞑り、自然と綻ぶ顔を止めずに小さく呟くのを最後に、その場を後にしたのだった。



こちらが短いので、今日もう1話を投稿します。

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