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084.ミレイとアイーダ(SIDE ミレイ)

 久しぶりに王都隣接ダンジョンに挑戦した。


 目標は【勇気の剣】の時の記録を超える事と言ったけど、まさかあんなに簡単に記録更新出来るとは思わなかった…。


 そして今私はアイーダと話をしている。



「ねえアイーダ。ダンジョンでどう感じた?」


「そうですね…。私達二人が足手まとい…でしょうか」


「やっぱりそうだよね…。アイーダはまだ支援だから良いけど、私は魔法の威力も連射力も間違いなく足りてなかった。


 間違いなく魔法使いとしてもリックに負けてるのが理解出来たもん…」


「でも私も基本的には回復は私がやってましたけど、一回だけアルティナが回復を使ってました。その時に同じ【ヒール】だったのに回復速度がアルティナの方が速かったんですよね。


 間違いなく回復量も私より上でしょう…」


「レリィーも凄かったよね。矢を射る早さも威力も前より間違いなく上達してたし、更には接近戦まで…」


「はい。私達もレリィーみたいに変わらないといけないかもしれませんね」


「私達も近接をするって事?」


「いえ、今から適正の低い事をするのが良いかは疑問ですね。特に魔法使いであるミレイに近接が必要かと言われると…。


 自衛手段があるのは当然良いと思いますが」


「それならどうする?」


「魔法の知識を深めるのにジェシーさん達に魔法を教えてもらうというのはどうでしょうか?」


「確かにあの人達私達よりもずっと魔法の知識あるしね」


「ええ、もしかしたら魔法の威力を上げる方法や良い使い方も知って居るかもしれませんし」


「他にも何か出来ないかな?」


「ミレイ。随分やる気がありますね」


「まあ…あんな事があったのにリックに拾ってもらっておいて一番役立たずとか嫌だし情け無いじゃない?


 せめてちゃんと役に立てる様になりたいというか、頼られるぐらいになって恩を返したいと言うか…」


「そうですね。このギルドの皆さん本当に強いですし」



 そうなのよね…レベルがまだ低いテート達まで私達より強い。


 きっと何か強くなる秘密みたいな物があるんだと思うけど…。


 可能性の一つとしてはやっぱりあのジェシーとブライオと言う二人だと思う。


 魔人族でレベルも100なんていう冗談だと思える実力者らしいから何か知っている可能性があるし、付与術師らしいから何か特殊な装備を使っている可能性もあると思う。


 当然他にも可能性はあるけど、一番可能性があるのはそこだと私は考えている。



「後はそうですね…。レリィーやリックに相談してみます?」


「そうね…」



 確かにレリィーはリックに言われた通りに近接の練習をして強くなった。


 もしかしたらそれで体の動かし方なんかを覚えたからあの矢を射る速度を手に入れたのかもしれない。


 そう考えるとリックに相談してみるのも一つの手だろう。


 それから私達は一番相談しやすいと言う理由でレリィーの所にやって来た。



「なるほどね…。二人はリックの事をどう思ってるの?」


「どうって…、凄く感謝してるわよ。デルシスの事も含めて本当に自分が馬鹿だったなって思ってるし、あの時の事は申し訳なく思ってるわ」


「私もですね」



 私達がそう言うとレリィーは私達の顔をジッと見てくる。



「もしリックに恩を返せたと思ったらどうする?」


「どうって…出来ればそのままここに置いてもらえればって思ってるかな。リック達が嫌だって言うなら仕方無いけどさ」


「それじゃあ今はリックの事を信じてるって事?」


「それはね。あんな事があったのに助けてくれた相手を信じないなんて事は無いわよ。それにもうあんな事は絶対にするつもりも無いわ」


「アイーダも?」


「はい。少なくともこれからもずっとリックには頭が上がらないでしょうし、彼を信じないなんて選択肢は無いでしょうね」


「そっか…」



 レリィーが今度は考え出した。


 なんだろうか?



「うん、リックとアルティナを含めて一度元【勇気の剣】のメンバーで真剣に話し合ってみようか。


 やっぱりあの二人がどう受け止めてくれるかが一番重要だと思うからさ」



 と言うわけでリックとアルティナの二人に相談しに来た。



「と言う事らしいんだよね」


「そう…私はリックに任せるわよ」


「…もし俺が白奴隷になるように言ったら二人はどうする?」


「へ?んー、本当に嫌な事は拒否出来るし白ならいいかな」


「そうですね。白奴隷なら周囲からも変に見られませんし」


「もし契約しようとしたら首輪が現れると思うか?」


「大丈夫じゃないかな?今はリックの事を本気で信用してるしね」


「私もです」



 私達がそう言うとリックは一度軽く深呼吸をして白奴隷契約の言葉を紡いだ。


 これは受けろって事だよね?


 私はそのまま契約の言葉を返す。


 すると私の首に白奴隷の首輪が現れた。


 リックはアイーダとも同じ事をして、アイーダにも白い首輪が現れる。



「いいの?」


「まあ今更恨みも無いし」


「私が言っていい事じゃないけどお人よしだよね」


「それがリックの良いところでもあるけどね」


「そうかもね」



 そんな事を話しながらアルティナとレリィーが笑いだす。


 するとリックが真剣な顔をして、



「今からギルド…と言うより俺の秘密を話す。だけどこれは関係者以外は他言無用で頼む。国王様からも下手に広めない方が良いと言われている事だ。


 それで出来れば契約魔法でその秘密を話さないと契約して欲しい」


「分かったわ」


「分かりました」


「それじゃあレリィーすまないけどジェシーを呼んで来てくれ」


「了解」



 レリィーが部屋を出て行って少ししてジェシーを連れてきた。


 そして私とアイーダはこれから聞く秘密について知らない人に教えないと契約を結ぶ。



「それじゃあ自分達のステータスを見てくれ」


「ステータス?」



 言われてステータスを確認した。


 するとステータスに見た事の無い()に囲われた数字が増えている。



「なにこれ?」


「今二人のステータスは元の数値+その()内の数値となっているんだ」


「「はぁ!?」」



 なにそれ!?



「ちょ、ちょっと待ってよ。()内の数値って私達の元の数値よりも大きいんだけど!?」


「ああ、だけど事実だ」


「本当の事よ。私が急に強くなったりまだレベルの低い皆が強い理由が良く分かるでしょ」



 確かに本当ならとんでも無い事だ。


 魔法使いの私が魔力でも倍以上伸びている事になる。



「これどういう事なの?」


「【勇気の剣】を追い出された後にスピカを白奴隷にする事になったんだがその時に俺にシークレットスキル【ご主人様】と言うのが目覚めてな。


 それの能力が奴隷の数や能力によって自分のステータスが上昇し、さらに奴隷の能力もその上昇後のステータスに応じて上昇するんだ」


「それがこの上昇量ってやばいでしょ…」


「まあ奴隷も今多いしな」


「え?でもレリィーとかは今奴隷じゃないよね?」


「いえ、私もリックの白奴隷よ…ほら」



 レリィーが腕輪を外すと白奴隷の首輪が現れた。



「この腕輪はジェシー達が作った魔導具で首輪を見えないようにしてたのよ」



 そう言えばこのギルドの多くの人があの首輪をつけてるよね。


 最初は性能のいい装備かと思ってたけどそう言う事だったのね。



「奴隷ってここのギルドメンバー全員?」


「それ以外にも50レベルのドワーフが三人とアリシアがそうだな」


「知らない所で四人もやばそうな奴隷がいた!?」



 と言うかジェシーとブライオはレベル100なのよね…そこまで来るとこの上昇量も納得…出来ないわよ!


 なにこれ?ステータス倍どころじゃないんだけど?


 私も一応レベル40超えてるのに…この段階でレベル100ぐらいと同等クラスなんじゃないの?


 そう思っていたけどジェシーとブライオのステータスが純粋にやばかった…。


 スキルの効果無しでMPとINT1000越えって…確かに魔人は全体的にステータスが高いと言われてるけどさ…。


 今までもワイバーンだの転送装置だの異常に強い皆だのと普通じゃないと思っていたけど、更に普通じゃなかった。


 もしかしたらこのギルドって普通に最強を目指せるんじゃないだろうか…。


 とりあえずこれで私とアイーダも本格的にこのギルドに入れてもらう形になったけど今日は驚きすぎて疲れたわ…。


 まあそれでもリック達を裏切らないと言うのは本気だしね。


 これで今度こそ役に立って少しでも恩を返せるかな?




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