074.殴りこみ
王都の方の拠点でゆっくりしていると来客があった。
出て行くとそこには女性が5人…だけど知らない人達だ。
「リック殿で間違いないな?」
「そうですけど何の用でしょうか?」
「貴方がお姉様の相手に相応しいか…お姉様の言う通り素晴らしい強さを持っているのか確かめさせてもらいたい!」
そんな事を言ってくる。
「えっと、そもそもお姉様って誰の事だ?」
「アリシア隊長だ!」
「アリシアさん?つまり貴女達はアリシアさんの部下って事で良いんですか?」
「そうだ!隊長は強く美しく素晴らしい…その隊長がお前たちの事ばかり褒めるのだ…」
「はあ…」
それから聞いた話を纏めると、
・最近アリシアさんはその腕にますます磨きがかかった。
・その所為で自分達ではアリシアさんに本気を出させる事も出来なくなってしまい練習にもならず申し訳無い。
・アリシアさんが俺達の強さを褒めていた。
・王女様(エイラ様)の護衛としてここに来るのを楽しみにしている。
・もしかしたらアリシアさんの想い人がここにいるんじゃないか?
・このギルドでその可能性がありそうな男は俺である。
・それならば俺がアリシアさんに相応しいか直接確かめに行こう
と言う事らしい。
どうやら彼女はアリシアさんと王子の関係を知らないらしい。
「王様や王女様達も信頼している様だし町での評価も良かった。だから人柄は問題ないのだろう。
しかしやはり隊長を守れる強さを持たなくては駄目だ。
さあリック殿。私達にあなたの強さを見せて隊長の相手に相応しいと示してみせよ」
「強さを示すと言うのはとりあえずあんた達と戦えばいいのか?」
「そうだ!」
溜め息を吐いて武器を取りに行った後に訓練用に使っている敷地の空いているスペースに移動する。
その際にこのホームにいたギルドメンバーも楽しそうに見に来た様だ。
見せ物では無いのだが…。
「では私から行きます!」
そう言って一人が前に出てくる。
そう言えば俺この人達の名前すら知らないんだが…。
そんな事を考えているとその女性は剣を冗談に振りかぶり走ってきた。
剣の周りに入ると思いっきり振り降ろしてくる。
筋は悪くないと思うけど動きが単純すぎて分かり易すぎる。
横に避けつつ剣を首筋に目掛けて振り寸止めさせる。
「くっ…参りました」
その人は悔しそうにして剣を仕舞うと下がって行った。
「そいつは新人だからな。だが私達はそう簡単には行かないぞ!」
そう言って次の人が前に出てくる。
それから残りの四人と戦うのだが確かに強かった。
まず三人はステータスでなら勝ってるだろうけど技術的な問題でテート達ではまだ勝てない可能性がある相手だ。
本格的な修行や戦闘をしてからの年数の違いはどうしても出てくるか、でもこれならテート達の訓練相手になってもらえないかアリシアさんに頼んでみてもいいかもしれない。
そして最後の一人。
なんでも副隊長の一人らしいけど彼女は更に強かった。
テート達では間違いなく勝てないだろう。
スキルが無ければ俺も勝て無かった可能性の方がずっと高いと思う。
それでも今の状況ではステータスの違いもあって速度と力で押しきる事が出来た。
アリシアさんとの訓練でもそうだけど、こう言う人との戦いは本当に参考になるのでありがたい。
「く…私まで負けるなんて…」
悔しそうに地面を叩く副隊長さん。
「こうなっては仕方が無い。隊長とお前の仲を認めてやる」
いや仲も何もアリシアさんにはレヴィン王子が居るし、俺達とは話をしたりここで食事やお茶をする事はあっても実際には訓練するだけの仲なのだが…。
そう言おうとした時にアリシアさんがやってきた。
どうやらアルティナが呼びに行っていたらしい。
「お前達何をしている!」
『隊長!』
「まったく…アルティナ殿に私の部下が殴り込みに来たと聞いた時は耳を疑ったぞ…
リック殿私の部下がすまない」
と頭を下げられた。
「いや、俺もいい訓練になったし気にしないでくれ。ただ…」
「ただ?」
「せめて名前くらい名乗って欲しかったな…と」
「…お前達名前すら名乗らずにこんな事をしたのか?」
「そう言えば…」
「名乗っていませんでしたね…」
「~~!貴様等!一から性根を鍛えてやる明日から徹底的にやるから覚悟をしておけ!」
『はい!!』
おお、さすが隊長だ。
それにしてもあの五人の顔が嬉しそうなのは何故なのだろうか?
それからその五人の名前をやっと聞く事ができた。
副隊長がイザベラ、新人の子がシアラで、後の三人がクーリエ、ランディーニ、リリーと言うらしい。
ついでにアリシアさんに本人達が望んだ場合だがテート達の訓練として合同訓練を出来ないか提案してみた。
王様の許可が取れれば問題ないそうだ。




