071.王都隣接ダンジョン
実は王都には王都を囲む塀の北東側に隣接した位置にダンジョンの入り口がある。
このダンジョンは分かり易く王都ダンジョンと呼ばれていて、もしスタンピードが起きた時には王都が一瞬で魔物だらけになる可能性が高いのもあり、この国からしっかりとした管理をされているのだが、このダンジョンは今の所完全攻略はされていない。
トラップもありモンスターも強く、更には階層もかなり深い様で中々攻略が進まないのだ。
幸いなのは今現在まで攻略されている階層をいろんな冒険者が回っている今の状態でスタンピードは起こらないという事だ。
かなり長い間ずっとあるダンジョンなのでさすがに今更スタンピードが起こると言う事も無いだろう。
俺達も前のPTの時は良く潜り経験値とお金を稼いだものだ。
そろそろリスティにもトラップ付きのダンジョンを経験してもらいたいのもあり、テート達とリスティに許可を貰って俺達のPTにリスティを入れて潜ってみないかと提案してみる。
「そこなら盗賊のスキルが役に立つんだよね?」
「ああ、上層階はともかく二十六階層からはかなり危険なトラップも増えてくるからな。もし深いところまで潜ろうとなった時に向けて今から少しづつでも慣れてもらおうかと思ってな」
「それなら私は行きたい。元々私はこの盗賊という職をお兄ちゃん達の役に立てたいから冒険者になったんだから」
「そうですね。私もその話は聞いていましたし良いと思いますよ。皆はどうかな?」
テートがPTのメンバーに確認を取ると皆笑顔で了承してくれた。
こうして次の学園の休みの日にはリスティを入れてダンジョンに行ってみる事が決定した。
そして当日。
「皆なら大丈夫だと思うけど気を付けてね。特にリスティ無理したら駄目だよ?」
アルティナ達に見送られて俺達はダンジョンへと向かう。
「今回はリスティがトラップに慣れる事が目的だからしばらくは俺は口を出さないし、このダンジョンのトラップリストも持って来て無い。リスティは失敗してもいいからしっかりと警戒しながら頼むぞ」
「はい!」
リスティを先頭にしてダンジョンに入る。
この階層に出てくるのは武器を持たないスケルトンで力も弱く耐久力も低いので正直に言って雑魚である。
リスティもスケルトンに出会ったらすぐに倒している。
しかし少ししてスケルトンを攻撃しようとして罠を踏んでしまった。
踏んだ罠は足元に向けて矢が飛んでくると言うもので、気付いたリスティは避ける事に成功したので気がもしなかったが…。
「戦闘中でも当然罠は作動するからな。だから自分が踏まないのは勿論仲間にも罠の位置をしっかりと教えておく必要がある」
「はい!」
罠は何故か魔物には反応しないから戦闘中に近くにあると本当に厄介なんだよな…。
今回は足元だしここでは毒なんかが付いた罠も無い。
だからかかっても即死はしないけど当然戦闘中だから隙を見せてしまう。
スケルトンだからまだいいが、もし一撃のある敵が相手だった場合かなり危険だ。
それなので盗賊は罠のあるダンジョンでは罠の位置と魔物の気配の両方に気を使う必要があり一番危険な役割だし消耗してしまう。
何回かの失敗をしつつ十階層まで攻略するとリスティはかなり疲労しているようだった。
「大丈夫か?」
「はい…、ただ…もしもっと危険な罠だったり強力な魔物だったらと思うと…」
どうやら失敗するたびにそのもしの場合を想像してしまい余計に疲労してしまったようだ。
「今回は分かってもらう為に手を出したりサポートもしていないけど、失敗は当然仲間が補うものだ。
リスティが失敗しても皆が助けてくれるからな。
それに失敗しない奴なんていないんだ。
だからもしもの事があっても自分の所為だと必要以上に責任を感じすぎるのも良くないからな」
「はい…」
ミスをいかに補い助けられるかが盗賊以外のPTメンバーに大切な能力だ。
確かに盗賊に全ての責任を押し付ける人達も居るがそう言う人達は経験上確実に躓き成功しない。
専属の盗賊が居てもやめてしまうし、雇った盗賊もそれからPTを組んでくれず、そこから噂が広まって誰も盗賊が力を貸してくれなくなるのだ。
そうなれば罠付きのダンジョンの攻略はほぼ不可能となってしまう。
それからリスティの消耗がかなり大きそうなので今日はそこで戻る事にした。




