068.王都西方冒険者ギルドにて
テート達が学園に行っている間に適当な依頼でも受けてしまおうと今日は王都西方冒険者ギルドにやってきた。
二パーティーでどの依頼を受けようか話しながら見ているとキャシーさんに呼ばれた。
「あのリックさん達にギルドマスターからお話があるそうです」
そう言われて奥の応接室に通された。
「おう来てくれたか」
「それで話しって?」
「ああ、実はなデルシスなんだが五日程帰っていなくてな。一応そんなに遠くでもなかったんで近くに行く奴に軽く調査してもらったんだが何も見つからなかったらしい」
「行方不明って事か」
「ああ、しかも受けていたのはウルフ討伐で、調査した奴等の話では道中も目的の場所も危険な魔物なんて一匹もいなかったそうだ。それで完全にお手上げでな、それで一応お前達には知らせておいた方が良いと思ってな」
そう言うとテンゲンはミレイ達の方を見た。
レリィーは既に完全にデルシスの事を拒絶していたが、ミレイ達は分からないからと言う事だろう。
「どうする?デルシスを捜してみるか?」
「確かにちょっとは気になるけど…」
「ええ、正直に言いますとあんな無茶な戦い方をしていればいつかは…とは思ってましたので」
「それに私達の事をまったく考え無くなって別行動していた時点でね…」
「はい、私達ももうデルシスへの恋心なんて無くなってましたから」
結局ミレイとアイーダの二人もデルシスから完全に心が離れていたらしい。
ただ痕跡がまったく無いと言うのも気になる。
話し合って俺達のパーティーが少しデルシスの事を探して見る事にした。
「…しかしなんだな。リックとアルティナが追放されていなくなったかと思ったら、結局デルシスの元から皆離れてリック達の所にデルシス以外が集ったんだな」
「まあそうなるな」
「私とアイーダは正式にギルドに入ったわけでは無いけどね」
「そうなのか?」
「ええ、私達はリック達が私達が食べるのにも困っていたのを助けてくれてるんです」
「ほう」
「しかし追放されたリックさんがアルティナさんと行動して今やAランクのギルドマスターですか…、結局デルシスさんはリックさんを追放した事で自分で破滅の道を選んじゃったんでしょうね…」
「そうだな…、あいつやレリィー達は魔法剣士のリックを馬鹿にしていたが、俺からすれば器用貧乏なんて言われているが、魔法剣士ほど中衛支援が優秀な職は無いと思うがな。実際に俺が冒険者をやっていた時は魔法剣士の奴にものすごく助けられたしな。そいつは後衛を守る為に先に逝っちまったが…」
そう言ったテンゲンは悲しそうな顔をしていた。
テンゲンにそんな過去があったなんて初めて知ったな。
この後デルシスが向かった場所を聞きその場所へ行き辺りを隈なく捜したがデルシスの痕跡らしきものは何一つ見つけられなかった。
よっぽど完璧に不意を付かれて処理されたのか、もしかしたら自分から別の場所に行ったのかもしれない。
しかし依頼を受けたままいなくなれば当然ペナルティを受ける事もある。
依頼を受けてこの場所に来た以上後者の確率は低いだろう。
一応この事はテンゲンに報告をしておこう。
「そうか、やっぱり何もなかったか」
「ああ、真新しい木の傷なんかも無かったな。いくらデルシスが防御が下手でも相当上手く奇襲を受け無い限り戦闘跡も無くと言う事にはならないと思うんだが…」
「そうだよな…、本当にあいつはどこに行ったのかね…。本当に反撃する間もなくやられたのか、誰にも何も言わずにどこか別の町にでも行ったのか…。後者ならいいんだがな…」
あまりにも何もなさ過ぎて、重要な見落としでもあるんじゃ無いかとこちらが不安になる。
しかし今考えても何も分かるわけでも無いので、テンゲンは一応他の町の冒険者ギルドにも立ち寄ったら教えてくれるように伝えておくそうだ。




