061.ワイバーンと契約召喚
あれからしばらくの間は特に変わった事も無く依頼を受けながら偶にダンジョンの魔物退治を行なって過ごしている。
ワイバーンの卵が孵ってから三ヶ月ほどが経過した。
この頃にはワイバーンの体も大きくなっており、流石に家の中には置いていられなくなっているので、大きな馬小屋の様な建物を作ってそこに寝てもらっている。
そしてワイバーン…アイン、ツヴァイ、ドライの三匹は人二人を乗せて飛べるようになっていた。
俺達も三匹に乗せてもらったり、その事を知った人が乗せて欲しいと言うので、何日間か三匹に頑張ってもらったりして多くの人を乗せて飛んでもらった。
ちなみに騎獣だと分かるようにと見分けが付きやすい様に三匹にはアインが赤、ツヴァイが青、ドライが緑の首輪を付けてもらっている。
今でも偶に来るが大分落ち着いてきた頃。
ジェシーが契約と魔法を使った新しい契約書を作る事が出来たと教えてくれた。
「それでこれがその契約書ね。ワイバーンの血を定期的に貰ってその血で書いた特殊な契約書なんだけど、これを契約した魔物…今回だとあの三匹ね。あの子達が認めている人が広げて魔力を通すと…」
ジェシーはそう言って契約書を広げて魔力を通したのだろう。契約書が光だした。
するとその契約書を広い場所に軽く投げると、更に光だしてワイバーン三匹が現れた。
「こんな感じに契約した子を呼びだす事が出来るわ」
これはかなり役に立ってくれそうだ。
数日後。
今日は水彩のダンジョンにやってきている。
例のアッパーシャークがいる階層にまでやってきて、早速例の契約書を使う。
階段は広く無いのでワイバーンを連れてここまで来る事は出来なかったが、これでなら問題が無かった。
アッパーシャークが感知してくるのは水面までなので、これでなんにも襲われずに先に進む事が出来る。
ワイバーンに乗せてもらってまずは孤島にある宝箱を回収してから先に進む。
そのまま階段までやってきた。
「それじゃあ後でまた召還するからここで待っててくれよ」
『クァアアアアアア』
ワイバーン達の返事を聞いて先に進む。
階段を降りるとボス階となっていた。
ティニーに支援魔法をかけてもらって中に入る。
中は中央が湖の様に、周りは草原の様になっていた。
魔物の姿は見えない。
「…まさか水の中に潜れ、何て言わないよな」
そう思っていたら水の中から何かが飛び出してきた。
出てきたのは体の大きなサハギンで、王冠の様な物を被り手には三叉の槍を持っている。
俺の知らない魔物だ。
サハギンが槍を真上に掲げる様にすると、湖の水が玉の形にかなりの量浮かび上がる。
更にそのまま腕を振り下ろすと水弾となって俺達目掛けて襲いかかってきた。
「「エアーバレット」」
「ウォーターバレット」
俺とスピカはエアーバレットを、アリッサはウォーターバレットを使って迎撃する。
流石に三人で撃ってるだけあってこちらが手数で押していた。
サハギンが驚いている様だがそのまま数発の魔法が当たりだしてサハギンの体を傷つけていく。
このまま押しきろうと同じ魔法を放つがサハギンが高く飛びあがり槍先を真下に向けて落下してくる。
しかしこれは高く飛んだのもあって新しい魔法を撃つ余裕もあるので逆にチャンスだ。
「ストーンブラスト」
「ウインドストーム」
「ファイアーストーム」
スピカの起こした風がアリッサの炎の勢いを更に強くして凄い勢いの火柱が、俺の撃った岩がその炎に熱せられて火柱の勢いで加速までする。
火柱が消えると全身が焼け焦げるだけでなく、ところどころ痣と他よりも焼けた箇所が何箇所も出来たサハギンが落ちてきた。
するとそのままサハギンが消えていく。
どうやら倒したようだ。
宝箱を回収して更に奥に向かうと、宝とコアがある部屋に出た。
どうやらさっきのボスがこのダンジョンの最終ボスだったようだ。
宝を回収してコアは壊さないでそのまま奥にある魔法陣に入る。
この魔法陣がコア部屋から入り口への直通になっているそうなのだ。
魔法陣に乗ると光り、気がつくとダンジョン入り口にいた。
あの場所に置いてけぼりにするわけにはいかないので、契約書を使ってワイバーンを呼んたのでそのまま乗って帰る事になった。
冒険者ギルドに行きギルドマスターに水彩のダンジョンを踏破した事を報告する。
「マジかよ…。例のアッパシャークが居ると報告されて居る場所はどうやって突破したんだ?」
ワイバーン達の契約召還について説明をする。
「なるほどな…。お前達ならではの突破方法だな。正直実績や実力を考えるとSランクにしてしまいたいと思えるんだがな…、Sランクの条件がパーティー全員が最初の壁を越える事となってるからな…」
最初の壁…つまりはレベル五十一以上にならないと行けないらしい。
まあ俺達はSランクでもAランクでも特に気にしている訳では無いのでその辺りは問題無い。