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056.王都からの来訪者

ワイバーンが産まれて冒険者ギルドへの根回しが終わってからしばらくして、王都から家に来訪者があった。

と言うよりその来訪者は国王一行だった…。

正確には国王と王妃様、第一&第二王女様、護衛としてアリシアさんとその部下が数人だった。

この場には国王様とアリシアさんとハリエルがいて、こちらからは俺とアルティナとジェシーで対応する事にする。


「実は魔人族の王からの手紙が帰って来たのでな。それを伝えに来た」

「その為に国王様が直接来たんですね…。国王様がお城を空けても大丈夫なのですか?」

「将来ワシの後を継ぐ息子に任せて来たから大丈夫だ」

「そうですか」


本当にそれで良いのだろうか?

まあ国王の事などは俺には分からないからな。


「それで手紙なのだが、これからは頻繁に手紙のやり取りをして交流する事になり、例の件に関してはお互いに協力して解決して行く事になった」

「そうですかそれは何よりです」

「うむ、ただ問題なのは未だに尻尾も掴めていない事だな。目的もハッキリしていないしな」

「そればかりはどうにか捕まえて尋問するなりで喋らせるしか無いでしょうね」

「ああ、それでおぬし達にも協力して欲しい」

「はい、出来る事であれば」

「うむ、期待させて貰うぞ」


王様達の今回の話はこれで終わりらしい。

この為だけに王様達が態々直接来たのかと思ったら、どうやら息抜きの為の小旅行を兼ねていたようで、どうせだからと新鮮な海産物料理を食べに来たそうだ。

緩いな~、なんて思っていると、


「リック殿お願いしたい事がある」


とアリシアさんに話しかけられた。


「何でしょうか」

「私を…私を貴方の白奴隷としてくれないだろうか」


その言葉にこの場にいる全員が驚いた。


「理由を聞かせてもらっても?」

「はい、今回の騒動で狙いは貴族ですが王族も狙われる可能性は当然あると思います。嫉妬と言う意味でも王族の皆様が危険に晒される可能性は十分あるかと…」

「まあ分からなくはないです」

「それなので今は少しでも力が欲しいのです。その力を悪用しない事を誓いますし勿論契約させていただいても構いません。よろしくお願いします」


そう言ってアリシアさんは頭を下げてきた。


「いくら自分の仕える相手で王族とは言えなぜそこまで?」

「…私は王族の皆様に命を拾われて居ますから」

「実はな、アリシアは元々武功で貴族になった一族の娘なんだが、その一族は全員殺されたのだ」

「殺された?」

「ああ、そしてその一族の唯一の生き残りがアリシアでな。偶々町に視察に出ていた時に家の長男が発見したのだ。

 長男とアリシアは元々仲が良く、ずっと心配してたからかもしれんが路地裏にボロを被ったのがアリシアだとすぐに分かったそうだ。

 それから死を偽装して死んだ事にした。

 アリシアと言うのも本当の名前では無いのだよ」


王都の騎士団長のまさかの過去…。


「当然この事は秘密で頼むぞ」

『はい』

「ですから私は王族の皆さんに恩を返す為に、王族の皆さんを守る為に少しでも強くなりたいのです」

「アリシア…、ここでは正直にレヴィンを守りたいと言ってもいいのだぞ?」

「そ、そそそ、そんな事…、それに私は王族の皆さんを守りたいと言うのは本心で…」

「それも分かっておるがな。一番守りたいのはレヴィンだろ?」

「…はい」

「レヴィンと言うのは第一王子のお名前でしたよね」

「ああ、そして二人は婚約者でもある」

「なるほど…ジェシー。腕輪ってすぐに用意できるのか?」

「腕輪は一応予備があるけど無属性の魔石がそんなに無いわよ」

「それなら話を聞いていましたから私が持ってきました」


そう言うとアリシアさんは自分の荷物から結構な量の魔石を取り出した。


「結構あるわね。これなら半年程は持つわ、必要なら今から仕込んでおくわよ」

「大丈夫なのか?」

「ええ、私の不可視魔法に干渉するように魔石に私の魔力をある程度馴染ませるだけだから、ゆっくりやっても明日には余裕を持って終わるわよ」

「そうか…、それと契約書も頼む」

「分かったわ」


ジェシーに悪用しない契約書を作ってもらい、とりあえず一つ魔石の用意もしてもらって腕輪の準備模してもらってから契約する。

そしてアリシアさんにも首輪が現れて契約が完了した。

腕輪の使い方をジェシーがアリシアさんに説明して装着し、ジェシーが不可視魔法をかけた。

アリシアさんはステータスを確認したり体を軽く動かしている。


「素晴らしい…」


どうやら納得してくれたみたいだ。

他の皆が待っている部屋に向かう。

すると王妃様や王女様達がワイバーンを抱きかかえていた。

どうやら気に入られたようだ。


「それとこれを渡しておく」


そう国王様言われて渡されたのは奴隷契約書。

黒奴隷契約を行なうのに使う契約書だ。


「これは?」

「お主達なら悪用はしないだろうし必要になるかもしれないからな。奴隷が悪さをしない様にだけは絶対に気をつけてくれよ」

「分かりました」


次の日は水彩のダンジョンに向かった。

王様達が海産物を食べたいと言う事でソードキャンサーやスピアフィッシュを取りに来た。

そこにアリシアさんも付いて来た。

どうやら実際に戦闘をしてみたいようだ。


アリシアさんは【細剣士】らしくレイピアと細身の剣を装備している。


細剣士…STRとDEFが剣士より低い代わりにSPDが高い剣士で軽めの剣を好んで使う傾向にある。

    

そしてソードキャンサーが居る場所にやってきた。

ソードキャンサーにアリシアさんが剣の方を抜いて突っ込んでいくと足の関節を切り飛ばした。


「体が軽いしスピードも攻撃力も間違いなく上がってるな…これはすごい…」


感動しながらもソードキャンサーを切り刻んでいく。

こことアリシアさんの事はテート達に任せて俺達はスピアフィッシュを狩りに向かった。

前回と同じ様にノエルに壁を叩いてもらう。

大量に浮いてきたので回収していく。

そこから戻りもう一度ボスを倒して町へと帰った。


王様達は領主邸にいるのでそちらに向かう。

他の材料に関してはイリナさんやハリエルの所のメイドさん達が町で買ってくれている。

その後夕食で海産物をたっぷり使った料理の数々を王様達が美味しそうに食べていた。


翌日。

王様達が王都に帰るのだが、第二王女様がワイバーンを連れて帰りたいと言い出してしまった。

さすがに管理もあるし俺達の方に懐いているのでそう言うわけにも行かずに諦めてもらったのだが、ものすごく名残惜しそうにしていた。

そんな悲しそうな顔をされても困る。




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