054.休息期間
サイタールの町に帰ってきたがノエル、テート、リスティ、リースの元気が無い。
帰ってから道中の話を聞いたカスミとグレンも覚悟を決める必要について考えている様だ。
そして話し合った結果。
この状態で危険な事をして事故が起こっても困るので、しばらく冒険者としての依頼や少しでも危険になりそうなダンジョンの階層に行くのは禁止にした。
浅い階層でも俺やアルティナ、レリィー等に声をかけて一緒に行く事と伝えておく。
今はアルティナと二人で話しをしている。
「あの子達大丈夫かしら?」
「大丈夫…だと思うがそこは自分で乗り越えて貰うしかないからな、当然話聞いたり等する事は出来るが…、とりあえずノエルに関しては初めてだったから動揺してるだけで、本気で姉の仇を取ると覚悟を決めてたみたいだし大丈夫だとは思うけどな」
「テート達は?」
「帰ってから少し話をした時の感じだと大丈夫だと思う。それに俺達も初めて人を殺した時は落ち着くまで少し時間かかったしな」
「そうね…」
俺達が初めて殺した人間も盗賊だった。
あの時はデルシス達に用事があると、俺とアルティナとミレイの三人で日帰りの護衛を受けた時だ。
その馬車には他の俺達よりも経験のある冒険者も移動のついでと居てくれたから良かったけど、襲撃があった時に俺達は人を盗賊を殺して動揺してしまった。
分かりやすく動きの鈍った俺達は防御こそしていたが押され始めて、結局その冒険者達に助けられる事になった。
それから馬車でその冒険者の人達に相談に乗って貰って、デルシス達に頼んで数日休みにしてもらったんだよな。
その翌日。
最初に立ち直ったのはノエルだった。
「皆さん後迷惑をかけちゃってごめんなさい」
「大丈夫なのか?」
「はい、でも覚悟をしていたつもりなのに情けないです…」
「いや、実際にやってしまうとやっぱりまた違うから仕方が無いだろ、むしろスピカとかは大丈夫なのか?」
「私は結界を壊して里に入ろうとした人族と戦った事がありまして、その時に経験してますから…」
「私も縁があってすでに経験してますね」
「私は…攻撃をしないからと言うのもありますが、人の死はそれなりには見て来ましたから」
とスピカ、アリッサ、ティニーが答える。
アリッサの縁と言う物が謎だが聞きだす様な事でも無いだろう。
それから二日後にはテート達ももう大丈夫ですと言ってきた。
確かに元気は出ているように見える。
念の為にレリィーに皆の事を見ているようにと、しばらくは簡単な依頼を受けるようにお願いしておいた。
それと訓練として俺やアルティナと模擬戦をやって貰う事にした。
やはり攻撃する時にやや躊躇する様子が見受けられた。
今は焦らずに皆の心が落ち着くのを待つ時だろう。
それから三日程して、どうにか覚悟を決め終わったのかこれまでと同じ様な動きが出来るようになっていた。
ただ念の為にしばらくは注意して見ておく必要はあると思っている。