051.謁見
今日は謁見する事になっている為に王城へと向かう。
流石に王族に直接会うとなると緊張するが、ハリエルの話では国王様達は大らかな性格でよっぽど失礼な事がなければ大丈夫らしい。
玉座の間に入って跪く。
「良く来てくれた。楽にして欲しい」
そう言われて普通に立って話をする事になった。
これは予め言われていた事で、形式として一回跪く形をとるが楽にして欲しいと声を掛けたら遠慮なく普通にして欲しいととの事だった。
「実は最近貴族の暴走…と言っていいのか問題を起こす貴族が増えているのだが、その者達の話を聞くたびに謎の魔法使いが出てくる。そしてその貴族の暴走出の被害を防いだそなた等に話を聞きたくて来て貰ったのだ」
「その事なのですが、こちらの者がその魔法使いに心当たりがあるようです」
そう言ってハリエルがジェシーの事を示す。
「真か!?是非その心当たりと言うのを聞かせてもらいたい」
「はい、確信は無いのですが魔人族が関わっていると思われます。魔人族の使う魔法の中に相手の嫉妬心や欲を強める物があるのでそれを使われたのでは無いかと」
「むぅ…、確かに報告でも嫉妬心が膨れ上がったり自分の物にしたくて等と言う証言が出ていたな…。しかし魔人族の魔法の事は人族の我等には分からぬものが多いのに良く知っていたな。城の魔法使いでも知らなかったと言うのに」
「ええ、私は…魔人族ですから」
そしてジェシーは自分の角に掛けていた【不可視魔法】を解除したようだ。
周りからざわめきが起こる。
魔人族自体珍しいし、人族の事を見下す者も多いから良い印象を持っていない人族も少なくないしな。
「なるほどな…それなら知っていて当然…なのか?」
「はい、魔人族の中では有名な魔法ではありますから、ただ禁呪としてですが…」
「禁呪だと?」
「はい、人の嫉妬心や欲を高める魔法等争いしか生みませんからね…」
「確かにそうだな…」
「それなので今回の騒動を起こしているのは、人族を見下している過激派が関わっていると思います」
「むぅ…、何か対策は無いのか?」
「魔力が高ければ抵抗出来る筈ですがそう言う人ばかりでは無いですからね…。魔人族の王に今回の事を報告と協力を仰ぐのが良いかと」
「魔人族の王…か、協力してくれると思うか?」
「それは大丈夫です。王様は人族を見下したりしていませんし可能なら仲良くしたいと思っているぐらいの方なので」
「そうか、分かった。手紙を出してみよう」
「もしよろしければその際に私の手紙を一緒にお届けください、一応知らない相手では無いので少しは話が通しやすくなると思います」
その発言に俺達も含めて驚いた。
そう言えばジェシー達の事はまだ全然知らないしな。
「分かった。それでは手紙を頼む」
「はい」
「それではこの件に関しては魔人族の王からの返事を待つ事とし、各貴族には怪しい魔法使いが接触して来た場合は可能な限り関わらず、そう言う魔法があるのでその様な影響を少しでも感じたらしっかりと心を平静に保つ様にと急ぎ伝えよ」
『は!』
この場にいた何人かがすぐに出ていった。
それで終わりかと思ったのだが、
「次に教皇様よりそなた等に今回の事に関わる事で話があるそうでな」
教皇…教会での最高責任者だ。そんな人が何の用だろうか。
教会は人族の全ての国で展開しているのもあって教皇となると国王と同等の権力を持っている。
「あなたが例の呪いを解いたと言う僧侶ですね」
「はい」
「呪いの事を調べてみたのですがサイタールの司祭では解呪する事が出来る物ではありませんでした。そして司祭にも話を聞いたのですが、あなたはその司祭よりもレベルもステータスも低かった筈ですよね?どの様にして解呪したのでしょうか?」
「そ、それは…」
ティニーがどうして良いのか分からないのだろう俺の方を見る。
うーん。これは秘密にするのは無理か…。
「すいません。それに関しては私達のギルドの秘密に関わる事になってしまいますので、せめて出来るだけ話を聞かれる人数減らしていただきたいのですが」
「ふむ…。分かりましたそれでは後で教会で…」
「お待ちくだされ教皇様。今回の騒動を止めた方法となりますと出来る事なら私達も教えていただきたい。ですから私の執務室で話しを聞くと言うのはいかがでしょうか」
「との事ですがいかがですかな?」
国王にも…か。
ここで断って変に探られるよりは聞いてもらった方がいいか…。
「分かりました。それでは私達と王様と教皇様でと言う事で…」
「ちょっと待ってください!得体のしれない冒険者と国王様達だけなんて危険です!」
「それなら契約魔法を使ってはどうでしょうか?」
「契約魔法?」
「はい、黒奴隷と契約する時にする契約書を使った契約がありますよね。あれの応用で契約書を作成して契約を結ぶ魔法です。それで今回の場合話を聞く皆さんに『私達の秘密を秘密の事を知らない者には絶対に教えない』と契約を結んでいただくのです。護衛の方達にそれをしていただければ問題無いのではないかと」
「そんなのもあるのか」
「ええ」
「貴様等は我々近衛騎士を信用出来ないと言うのか!侮辱も大概にしろ!」
「別に侮辱なんてして無いんだけど?」
「我等に黒奴隷と同じになれと言う事のどこが侮辱では無いと言うのだ!」
「そこまで!」
国王が一喝する。
「ガイゼル。お主は契約はしないと言うのだな」
「はい。黒奴隷と同じ様に契約をさせられるなどたまりません」
「そうか…、それではアリシアお主はどうだ?」
「それで護衛としてお供出来るのであれば構いません。元より王の命令無く広めるつもりもありませんし、秘密を話せないだけで他に影響は無いのですよね?」
「ええ、契約書に書かれた通りの内容に強制力が働くだけで、奴隷契約と言うわけでは無いから黒首輪の様な物が付いたりする事も無いわ」
「それでしたら大丈夫です」
「では今回の護衛はアリシアに任せる事とする」
「国王様!」
「だまれガイゼル!これは決定事項だ」
「っ!かしこまりました…」
そして俺達と国王様に教皇様とアリシアさんは国王様の執務室へと移動する。
「まずは自己紹介をさせていただきます。王国第四部隊隊長のアリシア・ウェールズです」
「それじゃあ契約書を作らせてもらいますね」
そう言ってジェシーが契約書を作り、アリシアさんと念の為に国王様と教皇様も契約書の内容を確認してアリシアさんと契約を結ぶ。
それから俺のスキル【ご主人様】について説明してティニーのステータスを三人に見せた。
「なるほど…確かにこれでしたらあそこの司祭を軽く超えるでしょうな」
「当時はまだここまで上昇値が高くなかったので、もしかしたらギリギリだったかもしれませんが」
「いやはや、それにしても凄いものですよ。貴方のギルドメンバー全員がこの恩恵を受けているのですか?」
「そうですね」
「奴隷が増えればお主達に勝てる者はいなくなるだろうな…。お願いだからその力を悪事に使わんでくれよ…」
「そのつもりはありませんよ。なんならこの力で意味の無い悪事を働かないと契約をしましょうか?」
「…そうだな頼めるか?」
「分かりました」
そしてジェシーにこの力を意味の無い悪事に使わないと言う内容の契約書を作ってもらい契約した。
「しかしその力を考えたらもっと広めて人数を増やしたほうがいいのでは無いか?」
「私自身が出来る事なら信用して良いと思える相手と奴隷契約を結びたいと思っていますので」
「なるほどな。まあその力の持ち主はお主だからな。悪事にさえ使わないのであればどうするかについては何も言わん。ただ一つお願いがある」
「なんでしょうか?」
「もしもの時にはその力を貸して欲しい」
「それが侵略や悪事等人を不幸にするような事で無ければ」
「うむ、それと何かあればいつでも訪ねてきてくれ、出来る限り優先的に会える様に手配しておこう」
「ありがとうございます」
「リック殿にティニー殿、私達教会の方としてもお願いいたします。強力な呪い等の解呪に力が必要な時にはその力をお貸しください」
「「はい」」
こうして意図せずに国王様と教皇様という強力なコネクションが手に入ってしまった…。
当然このスキルもコネクションも悪事に使うつもりなんて無いが急な事も多くて流石に戸惑ってしまう。
そのあともしばらくの間話をさせてもらっている間にジェシーが魔人族の王への手紙を書いて国王様に渡していた。




