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050.王都へ

無属性の魔石もかなりの数集め、必要数の腕輪の製作も出来たので皆の首輪を見えない様にした。

すぐの頃は愛想を付かれたんだろうと馬鹿にして来る人達もいたけど、首輪の消えたテート達がこれまでと変わらずに慕っているのを見てすぐに沈静化した。


そんなある日。

ハリエルがやってきた。


「実は今日来たのは例の謎の魔法使いについてだ。国王様からも話を聞かせて欲しいとかでな王都に一緒に来て欲しい」


と言う事だった。

気になっていた事なので勿論構わないし、そもそも国王様からの呼び出しである以上断る事も出来ないだろう。


「謎の魔法使いって何?」


丁度その時ホームに来ていたジェシーから聞かれたので事情を説明する。


「それって魔人族が関係してると思うわよ」

「どういう事だ?」

「魔人族の方で禁呪指定している魔法の中に相手の嫉妬心や欲を強める魔法があるのよ。その魔法を使われたんじゃ無いかしら」

「そんな魔法が…」


ハリエルの方もそれが本当ならおそらく間違いないだろうと考えてるのだろう。


「しかし君は良くそんな事を知っているな。新しく白い絆に入ったのは知っていたがここまで博識とはな」

「ええ、まあ」

「悪いが君も来てくれるか?君のその知識は今回鍵になりそうだ」

「…そうねいいわよ」


それから話し合った結果元黒奴隷の三人以外で行く事になった。

イリナさんが残ると言い出して、イリナさんが残るならとカスミとグレンも残る事にした為だ。

イリナさんは二人には行って来て良いといったのだが、二人は王都に行くよりもイリナさんと居たいらしい。

馬車の準備やリーナ達の遠出出来る準備をしてから移動を開始する。

人数が多いので二台の馬車で移動する事になった。

道中では特に問題も起こらないまま王都からかなり近い所までやってきた。


「私がご主人様とお姉様に助けられたのはこの辺りでしたね」


なんてスピカが懐かしそうに外を見ている。


「そうだな。そしてここで俺のシークレットスキルが分かったんだよな」

「そんなに前じゃないのに懐かしいわね」

「あの時にスピカと会わなければ多分このスキルには気付かなかっただろうな」


もしかしたら何かの切っ掛けで奴隷を持つ機会があって条件を満たしたかもしれないがかなり可能性は低いだろう。

それからしばらくして王都が見えてくる。

追放された後に出て行って以来だな。

しばらくの間は王都に滞在するみたいだし知り合いに挨拶回りぐらいしにいくかな。

とりあえず今日はハリエルがお城に明日謁見してもらえる様に許可を貰いにいくらしくて、ハリエルが宿を取ってくれる。

ちなみに今回直接謁見に行くのは俺とアルティナとティニーのあの時呪詛返しに関わった三人と、ジェシーとブライオの事情を聞きたい魔人族の二人と、ハリエルとリーファンの貴族の関係者二人の計七人だ。

他の皆はレリィーとテートの案内で王都観光をするようだ。


とりあえず今日は予定が無いのでさっき考えていた様に俺とアルティナとレリィーの三人で知り合いに挨拶に行く事にした。

まずやって来たのはホームにしていた宿。


「いらっしゃ…おやリックにアルティナじゃないか久しぶりだね。レリィーも一緒なんだね」

「お久しぶりですミレーさん」

「お久しぶりです」

「久しぶりー」


彼女はこの宿の女将さんのミレーさん。

駆け出しの頃から何かとお世話になった人だ。


「こっちに帰ってきたのかい?もしかしてまたここを拠点にしてくれるのかい?」

「いえ、今回は用があって王都に来ただけです。それで知り合いに挨拶回りをしようかと思って」

「そうかい。しかしレリィーはリック達といたんだね。デルシス達と帰ってこなかったから心配したよ」

「ええ、今はデルシス達のパーティーを抜けてリック達のギルドにお世話になってます」

「へぇー、リック達はギルドを作ったんだね」


少しの間ミレーさんと話をしてから他の人達へも挨拶をする為にとお別れする。

その後は武器屋のダーツさん、道具屋のナタリーさんにも同じ様に挨拶をする。

そして最後に冒険者ギルドにやってきた。

受付の方を見ると前と変わらずキャシーさんがいる。

今は誰も受付に来ていないようだから話しかけても大丈夫そうだ。


「お久しぶりですキャシーさん」

「へ?あ、あああぁぁ!リックさんにアルティナさんじゃないですか!レリィーさんも一緒なんですね」

「まあね。今はリックのところでお世話になってるよ」

「そうだったんですね。デルシスさんは『レリィーは俺達を裏切った』としか教えてくれませんでしたので」

「ふーん。デルシスはそうやって言ってたんだね」

「違うんですか?」

「私からしたら裏切ったというより見限ったつもりなんだけどね…」


レリィーが向こうであった事を話す。


「そんな事が…デルシスさんの意識が変わらないと勇気の剣はこれ以上成長しないかもしれませんね…」

「デルシス達ってさこっちに戻ってきてからどうなの?」

「そうですね…やっぱり全然という感じですね。レベルは高いので戦い方を見直すだけでも違うと思うんですけどね…。それに新しい人を入れてもすぐに辞めちゃってるみたいです」

「ああ、やっぱり変わって無いのね…」

「はい…私としても初担当パーティーでしたので残念なんですけどね…。正直リックさん達が追放されたって聞いた時点で嫌な予感してました…」


キャシーさんにはここに登録した当時から良くしてもらっていた。

なんでもキャシーさんも俺達が登録した時に初めて受付に付いたらしくて、良く一緒にいろんな事を話したり俺達と食事や依頼達成祝いもした仲だ。

だからこそ余計に勇気の剣の現状が残念なのだろう。

するとギルドマスターであるテンゲンがやってきた、


「なんだリック達が来ているのか。お前達もこっちに戻ってきたのか?」

「いや、王都に用事があってしばらくいるだけだ。それが終わると今の拠点に帰ると思う」

「そうか…キャシー、今日はあがりでいいぞ。リック達と色々と話たい事もあるだろう」

「はい。ありがとうございます」


それからギルドにある食堂で四人でこれまでの思い出や近況の報告をする。

俺達が冒険者になってからランクアップした時だったり、命からがらダンジョンから逃げた事もあった。

他のパーティーと共同で依頼を受けた事もあれば、競争するような事もあった。

そう言えばデルシスがあんな感じになっていったのはいつからだっただろうか…。

昔は魔法剣士の事を馬鹿にする発言をする事なんて無かったと思うし、あそこまで攻撃に拘ってはいなかったんだがな…。

四人で話し合うがはっきりした事は分からない。

そんな事を話しているとギルドにデルシス達三人がやってきた。

こちらには気付いていない様だ。

キャシーに聞くとどうやら三人はオークの討伐依頼を受けていたらしい。

あの三人ならミレイを攻撃役としてデルシスとアイーダがミレイを援護すれば梃子摺る相手じゃ無い筈なのだが…結構疲労しているように見える。

そんな事を考えていたらデルシス達が俺達に気がついた。


「なんでテメェらがここにいる!」

「用事があってここに来てるだけだ」

「…まあいい。もう一度勝負しろ!ルールはまた剣だけだ。今度こそ俺が勝つ!」

「別に今日は予定も無いから構わないが…」

「待ってリック。デルシス私が相手になるわ」


レリィーがそう言いだした事でこの場にいる全員が驚く。

確かに今のレリィーなら近接戦闘でも勝てる可能性も十分にあるだろう。


「レリィ~~。お前はどこまで俺を馬鹿にすれば気が済むんだ。弓術師のお前が剣で俺に勝てる筈が無いだろ!」

「どうかしらね。貴方に馬鹿にされたけど私はリックやアルティナ、それにギルドの人達にも教えてもらって結構強くなったわよ」

「ふん、まあお前の事もいつか後悔させるつもりだったんだ相手してやる!」


そしてギルド地下にある訓練所を使わせてもらう事になった。

見学者は先ほどの場所にいたメンバーとテンゲン。

俺とアルティナ以外はレリィーの事を心配している様だ。


二人の勝負が始まるとデルシスが勢い良く切りかかる。

レリィーを舐めてるのもあるのだろうかなりの大振りだ。

レリィーはそれを軽く避ける。

その後もデルシスは剣を振り続けるが当たらなくてイライラしてるのだろう。更に大振りで単調になっていく。

しばらくデルシスがそんな攻撃をし続けたがレリィーが大振りになって隙だらけになったデルシスの首に剣を付きつけた。


「デルシス。貴方私が弓術師だからって舐めてるでしょ。こっちのバランスを崩すでも牽制するでもなく最初から大振りってふざけているとしか思えないんだけど」

「何故だ!何故だ何故だ何故だ!!何故リックだけでなくレリィーにまで俺が負ける?俺は剣士だぞ?魔法剣士どころか弓術師に剣で負けるなんてありえないだろ!この短期間だレベルに差があるわけでも無いんだから負けるはずなんて無いのに!!」

「私に負けたのはデルシスが攻撃しか考えて無いからというのと私の事を舐めているからよ。

リックに負けた時にアルティナにも言われたでしょ?防御を考えるとかもっとちゃんと技術を身に付けないとこうして私にすら勝てないわよ」


そう言ってレリィーはデルシスから離れてこっちに来る。

デルシスは自分の負けを信じられないのだろう。

四つん這いになって固まってブツブツ言っている。


「ミレイとアイーダもこれで分かったでしょ。無理矢理にでもデルシスの意識を変えるか、それが出来ないなら身の振りを考えたほうがいいわよ。まあこのままデルシスと続けるのを止めたりはしないわ、それは貴方達が決める事だもの」

「…ねえレリィー。レリィーはどうやってそんなに強くなったの?」

「私?あの後リックの所に行ってお願いして近接戦闘を教えてもらったわ、少なくとも近接戦闘ではリックやアルティナ以外にも私より強い人しかいなかったしね。

皆に訓練をつけてもらったり今のPTの子達が付き合ってくれてバングスワローを相手に近接戦闘だけで対処出来る様に只管に篭ったり、

慣れてきたらゴブリンとかウルフ相手にも近接戦闘だけで戦ったりもしたわ、それで今では遠近使い分けて戦えるようになったわよ」

「そう…なんだ」

「あの時にレリィーが近接戦闘を始めたみたいに私達も変わらなくてはいけないのかもしれませんね…」

「うん…」


そして二人はデルシスの元へと向かった。

デルシスとも相談したり説得したりするのかもしれない。


「レリィーはもういいのか?」

「デルシス達の事なら構わないわ。ミレイとアイーダは今でも友人だと思ってるし、デルシスは元とは言っても恋人だったから忠告したけど、これで変われ無いようならそれはあの三人の責任でしょ」

「そうか」


そんな事を話しているとテンゲンが話し掛けてくる。


「まさかレリィーがデルシスに剣で勝つなんてな…」

「まあデルシスが明らかに油断して大振りだったし、そもそもデルシスは技術はお粗末だからね」

「まあ確かにな…。最近まともに活躍出来てなかったのは知ってたがまさかここまで酷いとは思わなかった…」

「リックを追放した頃は分からなかったけど、未だとどれだけデルシスが駄目な剣士で、どれだけリックとアルティナがパーティーに重要だったかが良く分かるわ…」

「そうだろうな…」


テンゲンはデルシス達の方を残念そうな目で見ている。

キャシーはどこか悲しそうな複雑そうな顔をしていた。

【勇気の剣】の事を気にかけてくれてたから色々と複雑な心境なのかもしれない。

最後に二人にもしかしたらしばらく滞在するかもしれないしそんなに長く滞在しないかもしれないから、長く滞在する場合には依頼を受けるかもしれないのでその時はよろしくと伝えて宿へと帰った。





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