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048.休日。不思議なカップル

今日は皆休日にして各自好きに過ごす事にした。

グレンは体を動かしに行くと出て行き、女性陣は西深ダンジョン一階層のモコウサギと戯れに行った。

その後はショッピングなんかに行くらしい。


俺は久しぶりになんも予定が無いと言う事で午前中には部屋でゆっくりと惰眠を貪らせていただく事にする。

お昼頃になってお腹が空いてきたが、イリナさんも休みで誰もいないので外食する事にした。

ギルドの食堂で食べる事にした俺は、オーク肉のステーキにスピアフィッシュのムニエル、それにサラダ、スープ、柔らかいパンを注文する。

なんとなくいつもより少し多めに頼んだけど美味しいしこれくらいの量なら問題は無い。

お昼を美味しく頂いて席も空いているので飲み物を頼んで少しゆっくりする事にした。

一人でのんびりとこれからの事を考える。


まず近くにあるダンジョンは片方は攻略出来て、もう片方はあれを突破できる方法を見つけなくては先に進めそうに無い。

それなので今はダンジョンに行く理由はレベル上げ、モンスター駆除、ボスアイテム狙いがメインになるだろう。


次に出来る事はランク上げ狙いだが、Sランクなんて狙ってなれる物でも無い気がする。

基準は分からないが何か大きな出来事でも無いと難しいんじゃないだろうか。


次がギルドの強化。

人数を増やすならギルドに入ってくれる人を捜して信用出来そうなら俺のスキルを話す。

後は奴隷を買って信用出来そうならイリナさん達の時の様に黒奴隷の状態で質問をして大丈夫そうならどうしたいかを聞いてそれ次第では黒奴隷から解放しても良いだろう。


テート達の訓練をしてもいいかもしれない。

とは言ってもテート達も技術もしっかりと付いてかなり実力を付けている。

レリィーも前のパーティーでの経験があるし、今では近接技術の大切さやその技術も付いてきている。

今のまま冒険者としての事はレリィーに任せててもいいかもしれない。


あと出来る事は装備の強化だろうか。

いくつかのボスドロップでも強化されたりしているが、人数分揃えるのにちょっと安めの装備を使ったりもしている。

俺とアルティナとレリィーは前のパーティーでの装備もあるのでかなりマシだけどそろそろ一度見直した方が良いだろう。

装備に頼り切るのは良く無いが、いい装備をすればそれだけ自分達の身を守る事に繋がるのも確かだ。

奴隷の事もあるし、その為の資金稼ぎを優先するべきだろうか?


そんな事を悩んでいると妙な視線に気付いた。

なんだろうと視線を感じる方を見てみると綺麗な女性とその女性より少し若いだろうか?という男性がいてこちらを見ていた。

俺がそちらを見ると女性の方が手を振ってくる。

知り合い…ではないよな。少なくとも見た覚えは無い。

そう考えていると二人が俺の方へと近づいてきて女性の方が、


「貴方のスキルについてお話がしたいわ」


なんて言って来た。

どこかで俺のスキルの事を知ったのか?

だとしたらどこから?

いきなりの事で内心焦るがまずは話を聞いて見る事にした。

連れてこられたのは高そうなカフェの個室。


「ここなら相当大きな声を出さない限り誰かに聞かれる事が無いから良いでしょ?」


そう言って話しだす。


「まず自己紹介からね旅をしているジェシー・エイリオン。【付与術師エンチャンター】よ」

「夫で弟子のブライオ・エイリオン。同じく【付与術師】だ」


付与術師…武器や防具に属性を付ける支援魔法を得意とする職業であり、魔石を使って魔導具を作る事が出来る人達だ。     


家名を持っているという事は貴族か商人等で家が一定以上お金や地位があるのだろう。


「個人ギルド【白い絆】に所属しているリック。【魔法剣士】だ。それで俺のスキルについて話があるという事だったが?」

「ええ、その前に私の事を話すわね。私も貴方と同じシークレットスキル持ちよ。スキル名は【鑑定眼】名前の通りあらゆる物を鑑定できるスキルね」


鑑定眼…有名なシークレットスキルの一つだ。

物の真贋を見極める事が出来たり、魔物の事や相手の事をある程度知る事が出来たりする為にかなり重宝されていると聞く。


「…もしかして俺のスキルもその鑑定眼で知ったのか?」

「ええ、鑑定眼は人に使うと相手の名前とステータスとスキルが分かるのよ。それで冒険者ギルドで話題中の貴方達白い絆。そのリーダーである貴方の事が気になって悪いけど見させて貰ったわ。勝手に見ちゃった事は謝らせてもらうわごめんなさい」


なるほどな…、まさかこんな形で俺のスキルの事がバレるとは思わなかった。

でもこれは気を付けてどうにかなる物でも無い…よな?

それでも一応対策が無いか考えた方が良いだろうか…。


「まあ見てしまった物はもう仕方が無いしな。今更文句を言うつもりは無いが…。もしかしてその謝罪の為に誘ったのか?」

「それだけでは無いわ。実は貴方にお願いがあるのよ」

「お願い?」

「ええ、私達を貴方達のギルドに入れてくれないかしら、そして可能なら私達も白奴隷にして欲しいのよ」

「こちらとしては付与術師が入ってくれると言うのならありがたいが、目的を聞いてもいいか?」

「勿論よ。まず私達の事をもっとちゃんと紹介すると私達は魔人族なの」


そう言ってジェシーが軽く手を振ると二人の頭に二本の角が現れる。


魔人族…魔国と呼ばれる国の住人で人よりも身体能力も高いが特に魔法技術が凄いと聞いている。

人間族を自分達の劣等種と見下している者も少なくはなくあまり自分達の国から出ないらしいが…。

戦争にならないのは上層部が魔人族の中でも力が強い人達が集まっており、その人達は人間族を見下していないで同盟関係を築けているかららしい。


「角を隠せるのか?」

「ええ、魔法でね。それで白奴隷になりたい理由だけど、私は魔法の研究をもっとしたいのよ」

「魔法の研究?」

「ええ、私は新しい魔法を研究するのが大好きなの。その為に少しでも高いINTと大量のMPが欲しいの。でも私は既に第二の成長の壁までレベルを上げてしまってるからこの壁は超えるつもりだけど、その後の成長は殆ど見込めないわ」


成長の壁…レベル五十・百…と五十レベル毎に訪れると言われている。

レベルアップに必要な経験値が凄く高く、その必要経験値は種族の寿命が長いほど更に多くなるらしい。

そしてその壁を越えた時には大きくステータスが上がるそうだ。

ただしその後のレベルアップに必要な経験値は壁ほどでは無いがかなり多くなるらしい。

少なくとも人族ではレベル五十を超えるのも大変であり、レベル百を超える人なんてほんの一握りじゃないかとも言われている。


「だから貴方のスキルとステータスを見た時は叫びそうになったわ、だからお願い。

私の体は求められても旦那の物だからあげられないけど、魔導具はちゃんと作るし私の作った魔法も提供するわ。

貴方に役に立つ魔法もいくつかあるわよ」


そんな事を前半は冗談っぽくからかいながら言い、後半は真剣な顔をして言う。

魔導具を作ってくれる専属付与術師が手に入るのはありがたいし、その作った魔法と言うのも気になる。


「条件がある。俺達を裏切らない事と俺のスキルについて秘密にして欲しいと言う事だ」

「それぐらい構わないわよ。なんなら契約する?」

「契約?」

「ええ、黒奴隷を持つ時に主人となった者のいう事を聞く事といった内容の契約書を使うでしょ?あれに近い物で魔法で作った契約書に契約内容を書いてそれを守らせるものね。

魔人族では普通に使われている物よ。

契約内容は『お互いに裏切らない』『お互いの秘密はお互いとお互いが信頼する者以外には話さない』でどうかしら?」

「分かった。俺の方もギルドを強化する事も考えていたしな。ちなみにだが二人ともって事で良いのか?」

「ええ」

「ああ」


そしてまずは契約書の契約をして、その後に白奴隷の契約をする。

こうして新しく二人の仲間が出来た。

ちなみにこの二人は町外れの人の少ないところに家を借りているらしくそっちに住むらしい。

なんでも魔法の開発で軽い爆発を起こす事なんかもあるので人の少ない場所を選んで借りている様だ。




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