０４５．ランクアップとお願い
冒険者ギルドに行くと、
「【白い絆】は今日からＡランクとなる」
なんてドーガから言われた。
「またいきなりだな」
「ワイバーンをあれだけ倒せて、水彩のダンジョンを最深踏破階まで行けるパーティーなら十分その資格があるからな。
それでランクアップしていきなりで悪いのだが二つ頼みたい事がある」
「頼みたい事？」
「ああ、まずは一つ。頻繁で無くて良いから水彩のダンジョンと西深のダンジョンで定期的に魔物狩りを行なって欲しい。
理由はスタンピード対策だ。
だたし両方のダンジョンを踏破出来たとしてもダンジョンコアはそのままにして欲しい」
「つまりダンジョンはそのまま残したいという事か」
「ああ、水彩のダンジョンはソードキャンサーとスピアフィッシュが食料として人気があり、西深のダンジョンは今この国にあるダンジョンで唯一モコウサギがいるとかで観光に来る物もいてな。そのお陰でこの町の収益も伸びているのでな」
「なるほどな…。まあ最深階までいけるかは分からんが覚えておく、狩りは出来る時でいいんだよな？」
「勿論だ」
まあ俺達もソードキャンサーは食料と素材として、モコウサギは女性陣達の憩いとお世話になってるので、二つのダンジョンはあってくれた方が良いからな。
「それでもう一つの依頼だが、新人教育をしてくれないか？」
「どういう事だ？」
「お前さんのギルドメンバーの優秀さを見て自分達も教えて欲しいという声があってな…。お前さん達のパーティーのアリッサとノエルやテート嬢達みたいに新人を鍛えて欲しい」
「…特別な事をしている訳じゃなくテート達が頑張ったからだぞ？」
「そうかもしれないがな。とりあえず試しにと言う事でも構わない」
そう言われても困るんだがな。
確かに剣の使い方や立回り等は教えてるが、結局大事なのはテート達のように頑張れるかと言う事は勿論だが、どの程度の物を期待しているかが問題だ。
テート達と同じレベルを求められた場合当然奴隷になってくれなくては難しいだろう。
「俺としては成功するなんて責任を持たなくていいと言うのであれば暇な時に少し教えるぐらいは構わない。アルティナ達はどうする」
「私もいいわよ。元々急いで何かをと言う事があるわけじゃないし、優先したい事が出来た時にそっちを優先させてくれるならいいんじゃないかな？」
「私もご主人様とお姉様がよろしいのでしたら構いませんよ」
「私達は特に教える事も無いだろうけど手伝える時なら手伝うよ」
「そうですね。私もです」
「僕も手伝える事ならやるよ」
とパーティーの皆が了承したので暇な時に希望があれば少し教える事になった。
「ところで盗賊の情報とかはないのか？」
「悪いが今は無いな…ノエルの事情は俺も聞いているから力になってやりたいがこればかりはな」
どうも最近はその盗賊達も大人しいのか、盗賊の情報がここしばらく入っていないのだそうだ。
既に誰かや魔物が倒してしまったと言う事も考えられるが、それにしても情報が少なすぎるらしい。
何かの予兆かもしれないと冒険者ギルドでも警戒しているそうだ。
「しかし遂にＡランクか」
「遂にと言うよりここに来てからの事を考えると早すぎるぐらいだけどね」
「まあな…」
「Ａランク…と言うのはやっぱり凄いんですよね？」
「ああ、一応通常でなれるのはまだ上にＳランクがあるが、Ｓランクは本当に難しいらしく一つの国に数える程しかいないらしいな」
「Ａランクともなればその町どころか国中に名前が知れ渡り始めるぐらいには有名になるしね。Ｓランクになればそれこそ憧れの的になるだろうけど」
「憧れですか…すごいですね」
「正直私達はこのままＳランクになれる気がするけどね…ステータスの上がり方が完全に異常状態で、私達全員倍のレベル以上のステータスになっているだろうし」
アルティナがそう言うと皆の視線が俺に集まる…。
いや言いたい事は分かるよ、完全に俺のスキルがおかしいからな…。
普通ならレベルが上がれば上がるほど段々上がり辛くなって成長し辛くなる。
それを奴隷を増やしてその奴隷をある程度鍛えるだけで補う事も出来るんだしな…。
