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037.レリィー(SIDE レリィー)

近接戦闘を覚える事をデルシスに馬鹿にされた翌日。

今日は偶々仲間が用事があるとかで二人の冒険者と臨時のパーティーを組む事になった。

組んだ二人はDランクパーティーの重戦士と拳闘士で一緒に受けた依頼はオークの群れの討伐だった。


依頼のあった場所を探して見るとオークが六匹とオークジェネラルがいた。

まだ気付かれていないのでアイーダに支援魔法を掛けてもらって私の弓矢とミレイの魔法での遠距離攻撃で奇襲をする。

それで一匹は倒せたけど当然残りに気付かれてジェネラルの合図で他のオークが突っ込んできた。


「俺がジェネラルを止める。レリィーとミレイは他のオークをドンドン攻撃しろ」


そう言ってデルシスはジェネラルに突っ込んで行った。

前の私なら一番強い相手に堂々と立ち向かっていくと良い様に捉えていたと思うけど、今考えるとありえないと分かってしまう。

ジェネラルは群れのボスだけあって一番後ろにいる。

それなのに取り巻きを無視して突っ込んでいくなんて…。

ジェネラルは指示を出してて離れて居たんだし、まずは向かってきているオークを倒す方が良いと思う。

臨時で組んでいる二人も驚いて慌てていた。


とりあえず今出来る事としてミレイと示し合わせて同じオークを攻撃する。

それでたどり着かれる前に一匹は倒す事が出来た。

拳闘士が一匹を抑えて重戦士が二匹を止めてくれるけど一匹が私達の方に抜けてきた。

どうやら遠距離攻撃をする私とミレイが標的のようだ。

一応用意しておいた短剣を抜いてミレイより前に出て私に狙いが来るように短剣で切りかかるけど、当然あっさりと受け止められた。

更にそのままもう一方の手で殴りかかってくる。

私はそれをギリギリで回避する事に成功する。

怖い…でも今やら無いと…。


「どうにか耐えるからミレイはこいつには攻撃しないでね。ミレイの方に行ったら大変だから」

「レリィー…大丈夫なの?」

「分からない…」


ダメージを与える事を考える必要は無い。

適当に牽制だけしてダメージを受けない様にする事が一番重要だ。

そう考えて回避するが本当にギリギリで、数回目の棍棒による攻撃をまともに受けてしまった。

私は吹っ飛ばされて木に叩き付けられる。


「ゲホッ…」


痛い…。

前衛に出ていなかったから…ううん、きっとリックが守ってくれていたからこれまでこんなにまともに攻撃を受ける事なんてなかった。

不味い…このままだとミレイが、そう思って動こうとしたけど体が動かない…。

アイーダが慌てて私のほうに走ってきて魔法を使ってくれる。

私が相手をしていたオークは拳闘士の人が自分の相手のオークを倒して駆けつけてくれていた。

良かった大丈夫そうだ…。

まだ傷みはあるけど動けるぐらいには回復した。


「アイーダありがとう」

「いえ、それはこちらのセリフです。レリィーさんが足止めをしてくれて助かりました」

「あはは…まだ基本的な振り方と受け方しか習っていなかったけど教えてもらって短剣を準備しておいて良かったよ」

「…本当ですね」


そんな時に「グェ!」といった感じの声が聞こえた。

慌てて声がした方を見るとデルシスがジェネラルに殴り飛ばされていた。

ジェネラルはデルシスに走り寄っていく。

まずい!


慌てて背中に背負った弓矢を取り出して矢を番える。

ミレイも気付いたようでジェネラルに魔法を放っていた。

即席で撃ったからかあまり威力がなかったみたいで魔法は剣で払われる。

するとオークが剣を振り上げるのが見えた。

私はそのタイミングでジェネラルの手首を狙って射ると上手く当てる事に成功し、ジェネラルの攻撃はデルシスから外れた。

そしてデルシスが慌てたように突き出した剣がジェネラルの胸に刺さり、それが心臓を貫いたのかジェネラルはそのままデルシスの上へと倒れた。

残りのオークは拳闘士の人と重戦士の人が倒してくれたので討伐依頼を完遂する事に成功する。


デルシスをジェネラルの下から助け出して剥ぎ取りを行なって町へと帰って依頼報告を済ませる。

そして打ち上げをする事になったんだけどしばらくして…。


「おい重戦士。お前ちゃんと自分の仕事をしろよな!」


なんてデルシスが言い出した。

当然重戦士と拳闘士の二人が反論する。


「そもそもの原因はお前がジェネラルに突っ込んで言ったのが悪いんだろ!」

「そうだ。ジェネラルは指示を出しててこっちに向かって来てなかったんだしお前がオークを一匹相手にしていれば後衛が危険な目に会う事もなかったんだぞ」

「敵の攻撃を全て受け止めるのが重戦士の仕事だろうが!お前がレリィー達への攻撃も俺への攻撃も止めていれば誰も怪我をしなかったんだよ!」

「…お前ちゃんと戦い方の勉強からやりなおした方が良いぞ」

「俺もそう思う。お嬢さん達もこのままだと危ないと思うぞ。そいつと組みたいんだとしてももっと戦い方を勉強してもらうとか色々と考えるべきだと思う」

「とりあえず俺達はもうあんたと臨時でも組むのはごめんだからな」


そう言って二人は離れて行った。


「なんなんだあいつらは!自分の役割を果たせない重戦士が悪いんだろうが!」


デルシスが二人の文句を言ってお酒を一気に飲んで乱暴にコップを叩きつけるように置く。


「大体レリィーも何で短剣なんて使ってるんだよ!弓矢で戦えば倒せてたんじゃねえか!?お前は弓術師なんだ弓矢だけ使っていればいいんだよ!」


そう言われて私の中で何かが壊れるような気がした。

それと同時にデルシスの事が私の中でどうでも良い存在に感じる様になる。


「そう…」

「そうだ。人には職と言うそいつにあった役割があるんだ。それだけを極める事を考えていればいいんだよ!」

「ふ~ん…。でもデルシスは剣士なのに器用貧乏で剣士としても魔法使いとしても失敗作だって馬鹿にしているリックに剣で負けたよね」

「んだと!」

「まあいいけどね。私このパーティー抜けるから」

『!?』


私の言葉に三人は驚いた顔をする。

そんなに変な事を言ったかな?


「私が抜けるからさタンクを二人とアタッカーを一人いれたら?その方が良いでしょ?」


これが私が近接戦闘をする事を拒否された私が【勇気の剣】の為に出来る最後の案だ。

デルシスを守るのが一人として、もう一人で近接できない後衛三人を守れる人なんて簡単には見つからないだろう。

それだったら後衛を一人減らして近接を三人入れた方が良い筈だ。


「レリィー…」

「レリィーさん…」


私が本気だと分かったのだろう。

申し訳無さそうな…悲しそうな顔をして二人は私の顔を見ている。


「それじゃあね」


私は三人から離れて店を出た。

ホームに戻って自分の荷物を纏めた私は宿を出る。

これからどうしようかな…。

悩んだ結果やって来たのはリック達のホーム。

【勇気の剣】を抜けた報告と、近接戦闘の訓練をしてくれる様にお願いしに来た。


「レリィーも抜けたんだね」

「ええ、それでお願いなんだけど…今度はもっと上に行ける様に出来る事を増やしたいの、だからまた剣を教えてくれないかな?」

「私はいいわよ」

「俺も構わないけど…なあレリィー新しいパーティーに当てとかあるのか?」

「…無いわね」

「そうするとお金とか結構きついんじゃ無いか?最近あまりうまくいって無かった様だし短剣も買ったんだろ?」

「ええ…まあ…」


確かにある程度の蓄えはあるとは言っても宿や食事を考えるとちょっと厳しいのは確かだ。


「それなら俺達の所のもう一つのパーティーの方としばらく行動するか?さすがにそのパーティーの皆に聞く必要があるけど、メンバーには盗賊もいて短剣を使ってるから参考にもなると思うぞ」

「へ?いいの?」

「まあテート達がいいって言えばな。なんなら部屋も用意するぞ」

「…それなら私も奴隷になってここに入ったほうが良い…よね」

「いや、白首輪なんて簡単に付けられる様になるもんじゃないだろ」

「まあそうよね…」


実際に今試したとしても白首輪なんて付かないだろう。

リックの事はやっぱり優しいと思うし今回の事も感謝して入るし、友人としては好きだけど流石に白とはいえ奴隷になるのは…ね。


「それに別にこのギルドは俺の奴隷になる事を条件にしてる訳じゃないし、別に家のギルドに入る必要も無いからな?ただ家のメンバーとパーティーを組むってだけでいいんだぞ」

「そうなの?でも皆してるよね?」

「まあ色々あったんだよ…」


なにがあったのかちょっと気になるけど別に無理に聞くつもりも無い。

でもギルドに入らなくても良いなんて言われると私が勧誘する価値も無いって言われているみたいでムカつくわね…。

確かに私の事なんて入れたく無いって言われても仕方がない事をしちゃったけどさ…。

見てなさいよ、絶対ここで近接戦闘も出来るようになってリックの方からギルドに入って欲しいって言わせて見せるから。


その後リックの提案通りテートって子がリーダーをやっているパーティーに入れてくれないか相談したら簡単に許可を貰えた。

それでちゃんと自己紹介をしたんだけど…このテートって子、貴族の娘さんらしいんだけど!?

しかもその子にリック様なんて呼ばれるって…しかもこのホームは元々テートの住んでいた貴族の屋敷で色々あってここの領主からホームとしてプレゼントされたらしい。

リック達は本当に何をしたのよ…。


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