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034.元パーティー視点(SIDE デルシス)

SIDE デルシス


王都から西に向かい最初の町の冒険者ギルドで二人の特徴等を話して情報を集める。

受付に話を聞くと、


「ああ、その方達なら良く覚えてますよ。エルフの女性を助けて一緒に行動していましたし、白奴隷にされてましたから」


エルフを白奴隷に?

確かにエルフの冒険者と言うのはいるが、中々に珍しい種族なので数は少ないし白奴隷なんて特に珍しい筈だ。

もしかしたらアルティナの強さや優しさ、優雅さを見て白奴隷になったのかもしれないな。


「それでその人達はどこに?」

「確か…町の西門から馬車でそんな人達が出て行ったと一時期話題になってましたね」


エルフの白奴隷って事でかなり目だっていたようだ。

お陰で情報を手に入れやすくて助かる。

しかし今度は馬車で移動か…、どれくらい遠くまで行ったのだろうか?途中で方向を変えたりしていないといいが、情報を集めながら予測するしか無いかもしれないな…」


西にある町に寄って情報を集めながら進むと、どうやらまっすぐ西に向かっている様だ。

『エルフの白奴隷を連れた男女』と聞くと簡単に情報が入ってきた。


そして数日後。

遂に西端の町であるサイタールの町が見えてきた。

後はここから方向を変えたか船に乗ったりしていないでここにいてくれればいいのだが…。


早速冒険者ギルドで情報を集めるとあっさりと情報が入ってきた。

しかしその時に入ってきた情報が…。


『ああ、蟹狩りギルドだろ』

『奴隷ギルドか』

『ハーレムギルドの事だよね』

『あれ?でもあそこって今は男の獣人もいるし、実はハーレム目指してたわけじゃなくて偶々そうなって多だけじゃなかった?』

『落ちこぼれ養成ギルドだろ?』


と言う物だった。

殆どの冒険者がすぐに分かるぐらいここでは有名らしい…。

しかしギルドなんて作ったのか…。

いやそれよりも気になるのは奴隷とかハーレムと言うのはどういう事だ?

しかも情報では旧伯爵邸を拠点としているらしい。

どうやってこの短期間にそんな金を稼いだんだ?

実はこの町はかなり実入りの良い場所なのだろうか?

それなら俺達もアルティナを取り戻したらここで稼いでもいいかもしれない。


ギルドの場所を聞いてその場所に行くと、さすが旧伯爵邸だけあってかなり大きな屋敷だった。

俺達が上手く行かなくて節約しながら過ごしてるのにあのリックがこんな贅沢をしてるなんて…、あのアルティナの金魚の糞が…。

しかしやっぱりアルティナがそれだけ優秀だと言う事でもある。

今度こそリックの野郎からアルティナを解放しよう。


そう考えて屋敷を訪ねると黒首輪のメイドが出てきた。

メイドまでいるのかよ。

メイドに案内されて応接室へと通されると、少ししてリックとアルティナが部屋に入ってきた。


アルティナの姿を見てまず驚いた。

アルティナの首に首輪が付いていたのだ。


「あ、アルティナ。その首輪は…」

「ん?私はリックの白奴隷になったからね。それにしても四人とも久しぶりね。ここに来るなんて何か用があったのかしら?」

「あ、ああ。今日はアルティナを迎えに来たんだ。俺達のパーティーに帰ってきてくれ」


俺は驚きを抑えてアルティナに頭を下げる。


「嫌よ。あの時も言ったでしょ?私はリックとずっといるつもりだって、それに今はこのギルドや今組んでるパーティーもあるの」

「いくら幼馴染だからってそこまで気遣う必要ないじゃないか。そろそろ愛に生きても良いんじゃないか?」

「何を言ってるの?私は愛に生きてるからこそリックと居るのよ?」

「は?」


愛に生きているからリックと居る?どういう事だ?


「何を言ってるんだ?アルティナは俺の事が好きで…」

「いえ、私が好きなのはリックよ」


嘘…だろ…。

俺が呆然としているとミレイ達が引き攣った顔をしていた。

まさか…。


「お前達はアルティナがリックの事を好きだと気づいていたの…か?」

「うん…」

「ええ…」

「まあ…」


と三人は気まずそうに答える。

俺の完全な勘違いだったと言うのか…。


「なぜなんだアルティナ。何で俺じゃなくてリックなんだ?」

「なんでって、リックは優しいし強くていつも私を守ってくれたし、いつでも私の側で私を支えてくれたもの。好きになるのは不思議じゃないと思うわよ」

「っ~~!!リック~~!俺と剣で勝負しろ!」

「いや意味分からんから、何故そうなる?」

「アルティナに俺の方が強いって分からせるんだよ!そして勝った方がアルティナを手に入れるんだ」


そう言って剣を抜いてリックに先を突き付ける。


「ちょ、ちょっとデルシスそれは不味いって」

「そうですよ。いくらなんでもその条件は…」

「デルシスが有利すぎますし、リックに利点が無いですよ」


なんてミレイ達にまで否定されてしまった。


「うるせぇ!俺がリックより弱いなんて思われている様でむかつくんだよ!」

「はぁ…、リックやってあげたら?」

「…分かったよ」


屋敷の庭に移動してリックと戦う事になった。

庭に行くと屋敷の中から人がやってきて見学をし始める。

奴隷ギルドとかハーレムギルドとか言われて居たが理解した。

出てきた全員が首輪を付けているのだ。


「ルールは魔法禁止。勝敗は降参と気絶、もしくは大ダメージを受けた段階で終了だ」

「了解」


何でリックの奴はあんなに余裕そうなんだ?

剣の腕もステータスも俺の方が上なのになんでそんなに余裕そうなんだよ…本当に気にいらねぇ。

試合が開始されて俺はリックに切りかかるがあっさりと避わされた。

その後も何回も剣を振るが避わされたり流されたり受け止められたりと全然あたらねえ…。

どうなってやがる…。


そして俺の上段からの切り下ろしを跳ね上げられてリックに剣を首筋に添えられた。


「もう降参しろ」


リックが偉そうに言ってくる。


「ふざけるなぁぁぁぁぁ~~~!!」


殺すつもりで剣を振り下ろすがそれもあっさりと避わされる。

ここからはさっきまでと違い殺す気で本気で剣を振る。

しかしそれでもリックに剣が当たる事は無くて、俺は左肩から右横腹にかけて切られた。

内蔵までは届いていなそうだが十分重傷だ…、回復しなくては出血でかなりヤバイ…。


「ぐっ……降参だ」


俺がそう言うとアイーダが駆け寄ってきて回復魔法を掛けてくれる。

結構時間は掛かってしまうが傷が塞がっていく。

これなら死ぬ事はまず無い。

それにしても…


「なんでだ…何で俺がリックの様な中途半端野郎に負けるんだ!」

「デルシス。貴方は気付いてなかったみたいだけど、技術差の問題よ。魔物を倒す数が多い=強いなんて事は無いの。追放された時も貴方よりリックの方が間違いなく強かったわ」

「そんな…馬鹿な…」

「貴方は攻撃ばかり考えすぎなのよ…防御の技術がまるで無い。しかも攻撃も力任せみたいな攻撃ばかりで隙だらけなんだもの勝てるはずが無いでしょ?」

「だけど俺はそのやり方で一番魔物を倒してBランクまでパーティーを引っ張って行ったんだぞ!」

「それはデルシスの勘違いよ。私がデルシスの防御をしてリックが私達五人の守りと支援をやってくれたからそんな無茶が出来てたのよ。正直に言って私の代わりは重戦士のタンクでも出来なくは無いけどリックの代わりは居ないでしょうね。リックが居なければなりたたない戦術ね」


そんな…俺は役立たずだと思っていたリックに支えられたと言うのか?

いやそんなはずは無い!アルティナがリックを良い様に考えすぎなんだ。


「なあアルティナ。こんな奴隷ばっかり作る奴なんてやめておけよ。黒奴隷まで居るじゃないか」

「黒奴隷を持ってるけどちゃんとした正規の黒奴隷だし違反では無いわよ?それに黒奴隷にだってリックは嫌な命令は何一つしないわ」


アルティナの言葉に首輪を付けた全員が首を縦に振っていた。

まさか黒奴隷まで本当に納得していると言うのか?

そんな筈はない。

器用貧乏で役立たずの魔法剣士がそんなに信頼されるはずなんて無いんだ。

きっと騙されているんだ。

いや、待てよ…もしかしたらリックの奴隷なんじゃなくてアルティナの奴隷なんじゃないか?

リックの奴隷はアルティナだけで、アルティナにお願いしてご主人様としてチヤホヤしてもらっているんじゃ?

そう言う事か!

アルティナに慕われているからってアルティナの優しさと優秀さにつけこんでいるんだな。

くそ、やっぱりアルティナの目を覚まさせないといけないな。


俺達はしばらくの間はこの町を拠点とする事に決めた。

拠点としてここを使わせてくれるように頼んだが使わせてくれなかった…。

元パーティー仲間なんだしそれくらいいいじゃないか…。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「拠点としてここを使わせてくれるように頼んだが使わせてくれなかった…。元パーティー仲間なんだしそれくらいいいじゃないか」 殺そうとした相手に、この様に考えるとは精神が病んでいるのでしょうね。…
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