020.訓練の日 雨…
今日は訓練の日なのだが生憎の雨である。
しかし雨の日にどうするかを決めていなかったので、リスティ達を連れて領主邸へとやってきた。
門番の人が一人先に知らせに走ってくれて、俺達はゆっくりと屋敷に向かう。
屋敷につくとメイドさんがタオルを持っていてくれて雨具と交換してくれたので、水跳ね等で濡れている足元を拭かせて貰ってから屋敷に入る。
客間に通されるとハリエルと奥さんのセルフィナさんにリーファン、それにフィル達三人が揃っていた。
最近ハリエルとリーファン相手でも普通に話せる様になった。
むしろ普通に話さないとネージュさんに対しては普通に話してたからか寂しそうにされる…。
ネージュさんは孤児院でも会うので最初に慣れただけだったんだがな…。
「雨の日に訓練をどうするか話をしていなかったのでどうしようか相談に来たんだが」
「ああ、フィル達ともその話をしていた」
「流石に屋敷内で剣を振るわけにもいかないしな」
「そうだな。それなので雨の日には休みにしようと思う。雨の中で戦う事もあるだろうが、やるにしてももっと基礎等が出来てからの方が良いだろうしな」
「そうだよな」
「かと言って折角来てくれたのにすぐに帰るのもなんだろうから良かったらゆっくりして行ってくれ」
「そうさせてもらいます」
こうして今日は皆で話をしたりして過ごす事になった。
リスティとリースの二人はフィル達の事は大分なれたようだが、まだ大人達の相手は緊張するようだ。
失礼の無い様にと言う事なのだろうからだに力が入り小さくなる様にして大人しくしている。
話をしている中でフィルとテートの誕生日がそう遠く無い日にある事を知った。
誕生日プレゼントを用意した方が良いだろうか?でも貴族に何を送ったらいいかなんて知らないんだよな…。
イヴェールの今年の誕生日はもう終わっているようだが、それで二人にプレゼントをしてイヴェールだけあげないのもどうかと思うし…。
当日には知り合いの貴族を呼んで誕生日パーティーを開くそうなので、渡すとしたらその前後となるだろう。
それと来年になるとフィルとイヴェールは王都にある学園に通う為に、王都で寮暮らしとなるらしい。
何でも貴族や商家の子供は理由が無い限りみんな通うそうだ。
確かに王都にそのような学園がある事は知っていたが、関わる事もなかった為に詳しい事は知らなかった。
その後食事もここでする事になったのだが、俺マナーなんて知らないんだが…。
俺達のパーティでマナーを知っているのはティニーとアリッサだった。
ティニーは教会で教えてもらったらしいが、アリッサはどこで覚えたのだろうと思って聞いてみたけど、話し辛そうにしていたのでそれ以上聞かない事にした。
「マナーなんて気にしなくていいからな」
と笑顔で言ってくれたがリスティ達は本当にガチガチだ…。
そんな中緊張しすぎていたからだろう、リスティが料理を落してしまった。
顔を真っ青にしてすぐにその場でリスティは土下座をする。
「も、申し訳ありません。罰はしっかりと受けますので孤児院には何もしないでください」
ガタガタと震えながら涙を流してそう言うリスティに逆にハリエル達が慌てだす。
とりあえず落ち着いてもらうために部屋を借りてリスティとリース、それにアルティナ達女性陣に一緒に行ってもらった。
そのまま食事も部屋で取ってもらう事になった。
ハリエル達大人陣が落ち込んでいる。
「俺達ってそんなに怖がられてたのか…」
「いや、まあ。貴族に逆らったり怒らせると家族共々酷い目にあうって印象があると言うかそう教えられたりするからな…」
「そうなのか!?」
「ああ、俺も故郷にいる時にはそう教えられたぞ。今はハリエル達が大丈夫なのは分かってるがしばらくは言葉も選んでいただろ?
実際にその辺り五月蝿い貴族もかなりいるらしいぞ」
「確かにそういった話は俺も聞いた事あるが…」
「その所為でかなり酷い場所もあるらしいからな…、貴族だって事や親の爵位をいい事にやりたい放題やる子供までいたり…」
「ああ…それなら分かるな…。学園でも自分の親の爵位の方が高いって偉そうな奴とかいたわ…」
「学園内では立場はみんな一緒となっているんですけどね…」
ハリエル達は溜め息を吐く。
どうやら学園ではそう言う事がかなり多かったのだろう。
フィル達も苦労するかもしれないな。
しばらくして泣き疲れてしまったのかリスティは寝てしまったらしい。
ハリエル達には泊まって行ったらどうかと言われたが、リスティが起きた時にまた混乱しても困るのでオンブして孤児院に送り届ける事にした。
ティニーはその日念の為にリスティのすぐ近くに居ると言う事で孤児院に泊まって行く事にした様だ。
翌日起きたリスティはやっぱり混乱したらしくティニーとリースで落ち着かせたようだ。
この事があってからハリエル達は暇を見つけては町に出て町の人々と交流を持つ様になった。
最初こそ戸惑わられたりとしたらしいが、町の人々にも段々と普通に接してもらえる様になっていく様になる。