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019.元パーティー視点

SIDE デルシス


あれから依頼のランクを下げているのにどうもしっくり来ない…。

アルティナがいない事が俺の予想以上に大きかったらしい。

DランクどころかEランクの魔物の討伐でも怪我をしてしまっているぐらいだ…。

しかしいくらアルティナが居ないと言っても元Bランクの俺がEランク相手に怪我をするなんて…もしかしてこれがスランプと言うやつだろうか?

今のままだとDランク上位の難易度の魔物相手にすらやられてしまうかもしれない。

どうすればスランプを抜ける事が出来るのだろうか?

答えの出なかった俺は今日は休みにして一人剣を振り続ける。


しばらく続けるが前と何が違うのかも分からない…。

疲れて休んでいるとミラとジュネの二人が近づいてきた。


「どうした?」

「いや、ジュネと二人でデルシスの素振りを見ていたんだが気になってな」

「何がだ?」

「なぜただ振っているだけなんだ?実際の戦いでもそうだが防御や回避ももっとしっかりやるべきじゃないか?」

「俺は攻撃担当だからな、守りはミラに任せるに決まってるじゃないか」


俺があたり前の事を言うと二人はお互いに顔を見合わせる。

何か変な事を言っただろうか?


「待ってくれ、守りを私に任せるとはどういう事だ?」

「あ?そんなの俺が攻撃するから俺への攻撃はミラが受け止めるからに決まってるだろ?」

「いやいやいやいや、私がデルシスへの攻撃を全て防ぐのか?」

「ミラは防御職のタンクなんだから当然だろ?」


俺の指摘にミラは驚いた顔をしてジュネは溜め息を吐いた。

さっきからなんなんだ?


「なあデルシス。私達が入る前…Bランクに行った時もそうだったのか?」

「ジュネが何でそんな事を聞くのかは分からないが当然だろ?アルティナはいつも俺の事を守り続けてくれたぞ」

「そうか…悪いが私はここでパーティーを抜けさせてもらう」

「私もだ…」


ジュネとミラがそんな事を言って背中を向けて歩いて行こうとする。


「ま、待て!どうしてなんだ!」

「お前のやり方についていけないからだ」

「タンクとして忠告するが、普通は人を守り続けると言うのはそんなに簡単な事では無い。そのアルティナと言う人は相当な実力者だったんだろうな。私には代わりには絶対になれない」


確かにアルティナは凄く優秀だったからな。

ミラが自分と比べてしまうのは仕方無いかもしれない。


「ミラの方は分かったがジュネの方はどうしてなんだ?」

「このパーティーにいても先に進める気がしないからだよ。アルティナとリックだったか?リックの方は中途半端な奴としか聞いて無いから分からないけどね。

このパーティーがBランクまで行けたのはその二人のお陰何だと思うよ。

少なくともデルシス…貴方にはBランクの実力は無いし、今のままならこれからはよほどいい仲間に恵まれない限りBランクに戻る事も出来ないだろうね」


それだけ言うと二人は去っていった。

数日後二人は一緒に新しいパーティーメンバーを捜して、新人冒険者四人とパーティーを組んだと聞いた。

それは俺達よりもその新人達との方が先にいけるって事か?

俺がそんな新人よりも劣っていると言いたいのか?

ふざけるなよ!

絶対にBランク…いやAランクになって見返してやる。



SIDE ジュネ


新しいパーティーを抜けてミラと一緒に冒険者ギルドを目指す。

これからどうするか…。

そんな事を考えている間にギルドについてしまった。

受付嬢であるキャシーにパーティーを抜けた事を話すとなにがあったのかを聞かれたので素直に全て話した。


「なるほど…はぁ…やっぱりアルティナさんとリックさんがいたからこそだったんでしょうね…」


アルティナが優秀だと言う事はデルシスが良く言っていたからなんとなく分かる。

しかしリックの事は殆ど聞いた事が無い。

知っているのは魔法剣士で全てが中途半端だとあのメンバーから言われ、デルシスからは足手まといだとまで言われている事ぐらいだ。

あの四人とBランクまで行った二人というのが気になったのでキャシーに聞いてみる事にした。

すると丁度ギルドマスターも近くに居て彼等が魔法剣士自体を軽視していた事を教えてくれた。


キャシー本人も一緒に依頼を受けた冒険者から聞いた事で直接見たわけではないらしいが、アルティナはデルシスの防御と前衛の回復をしながら攻撃を、リックはアルティナ以外の四人の防御と状況に応じて魔法を使っていたらしい。

しかもリックは四属性の魔法と回復魔法が使えて、盗賊がいないからと罠や解錠の勉強もしていたのだとか…。

それのどこが中途半端な足手まといだったんだ?

むしろかなり優秀にしか聞こえないんだが…。

キャシーが言うにはあの四人は 突出した仕事をこなす=優秀。

という考え方なのでは無いかと言う事だった。

確かに魔法剣士では突出した活躍と言うのは難しいだろうが…。


これで一つ分かったのはあのパーティーはその二人がいたからこそBランクになれたと言う事だ。

そして自分達の事を見直す事が出来なければまたBランクに戻る事など不可能だろう。



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