やること
俺が、メルと旅を始めて二ヶ月半ほどが経った。
俺たちの目的だった、メカニズムハートを手に入れるというミッションは、意外にもすんなりと終わった。
この先の予定はまだくめていない。
「絡繰くん、ちょっといいかな?」
「ああ」
月波に誘われて、俺は研究所内部にある食事をとったり休憩に使われる部屋へきた。
俺も月波に聞きたいことがあったからいい機会だ。
「で、なんのようだ?」
「一号機。メルについての話から話そうか。あの子に付けたメカニズムハートは、本物じゃない。プロトタイプってやつなんだ」
「プロトタイプ……?本物じゃないって?」
「うん。彼女の本物の心臓は、ドールを生産している場所にある」
「つまり、国の中心を相手にしないといけないのか……」
メカニズムドールを製造しているのは、国。
そんなでかいものを相手にして勝てるか?
答えはすぐ出る。無理だ。
旅に出る前、メルを狙ってきたドールみたいなやつがわんさかいるようなところにメルと二人で凸って、いくらメルが強かろうが数の暴力には逆らえない。
、、、、、、。
「なあ月波」
「なんだい?」
「メルがお前の作った戦闘特化のドールたちと同じなら、それなりに強いわけだよな?」
「当然。僕の作った子たちは戦闘に特化した特徴を持ってる。一号機、メルも同じように戦うことが得意だよ」
「じゃあ、メルもリリィなんかと同じ様な感じということか……」
だとしたらどんな感じなのだろう……。
「まあ、彼女の場合まだ不安定だから作動しても制御できないと思うから、気を付けないといけない。そして、僕が君たちを匿っていられるのもそう時間はない」
「ん?」
「彼女のシステムがプロトタイプと完全にくっついてしまう前に、君は彼女の本物の心臓を手に入れる必要がある。国からの追っ手ももう近くに気てるかもしれないからね」
すでにめんどくさい状況になってるのか……。
「月波、時間はどれくらい余ってる?」
「やっぱり、君は絶望も諦めもしないんだね」
「俺はメルに恩返しがしたいんだ。何でもやってやるよ」
……死のうが重い罪を背負おうが、メルにしてやれることは全部やってやる。