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メカニズムドールの一分間  作者: ありづき
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真核

「リリーくん、一号機を連れてきてもらえるかな?彼女の主はもう捕らえた。彼女には、僕の言うことに従うしかないはずだよ」

「はーい!んじゃあ、そう言うことだから一号機ちゃん大人しくしてね」


 螺旋巻(ねじまき)様が捕まった?!

 選択肢はいくつかある。

 が、今この状況下で私が取らなければならない最上のことは、大人しくすること。

 今、私が抵抗しようものなら私自身もおろか螺旋巻様まで何をされるか解ったものじゃない。

 だから、大人しく。彼女について行くしかない。


 それから私は、彼女、Dead月波シリーズ二号機Dー2982『大鬼鎚(おおきづち)』リリーに連れられて地下闘技場のさらに地下のさっき螺旋巻様を捕らえたと言っていた男、月波の研究所へきた。


「君はまだ、君自身の本当の力を使えていない。君の所属するこのDead月波シリーズのドールたちは普通、その力のリミッターを自由に解除できる。だから私は、君のその力のリミッターを強制的に外す。大人しくしていてくれよ?」

 そう言うと、月波は私を手術台に俯せに寝かせ、腰あたりを刃物でスッと切り開き私の中の歯車や様々なパーツを改造した。


 それから数十分後。

「さぁ、終わったよ。お疲れさまぁ」

 いつの間にか私は“眠る”?という状態になっていたのか、三十分ほどの記憶がない状態で起動した。

「何をしたのですか?」

「説明したとおり、君の本来出せる力を出せないように邪魔している君の中のリミッターを解除したのさ。それともう一つ、君の中に何故か無かったメカニズムハートを付けたんだ。これでもう君の記憶が機能の停止によって消滅することはない」

「記憶の消滅……?」

「あぁ、君には解ることのできないことだよ」


 螺旋巻様が、私に怒った理由が“記憶の消滅”という言葉を月波から聞いた瞬間、理解ができたような気がした。


「さあさ、君の主くんのもとへ行こうか。そろそろリリーも帰っているだろうしね」

 そう言いながら月波は、ニコリッと優しげな笑みを浮かべた。 


 螺旋巻様……無事だろうか……。


 私は、今その気持ちとは違うよくわからないもう一つの気持ちがあることに内心驚いていた。


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