表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メカニズムドールの一分間  作者: ありづき
2/25

起動〜朝〜

「朝……か……」

 首が痛い。目を閉じていても眩しく、瞼が赤く透けている。どうやら俺は、作業している最中、寝落ちして座った体勢のまま変な寝方をしたようだ。

「寝違えたぁ〜……」

 薄ぼんやりと目を開けて後悔していると、


 ピンポーン。


 玄関のベルが鳴り、朝が苦手な俺の頭の痛みをより一層増させる。

「宅配便でぇーす」

「あぁああああああぁああああああああ……」

 濁点混じりの呻き声を出しながら俺は、玄関へ向かい、サンダルを雑に履いて扉を開ける。

螺旋巻(ねじまき)絡繰(からくり)さんですか?」

「はい」

 だるい。


「ここにサインお願いします」

「はい」

 だるい。そう思いながらも俺は、配達員が指さす小さな円の中に『螺旋巻』と、所々適当に書いた。

 いや、俺も変だとは思っていたが、

「でかいな……」

 頭が回らないなりに、正確なツッコミだと思う。


 その後俺は、配達員と二人掛かりで人ぐらいはある箱を家に運んだ。

「親父からだったなぁ。にしても、こんなでっかいの何送りやがったんだ?本当に人じゃねえだろうな?」


 人だった。正確には、メカニズムドールだ。

「ぱっと見ビビったが、ドールかぁ」

 俺は、中身を確認した後、そのドールを部屋の壁側に立ててどんな姿

なのかを観察した。

 送られてきたドールは、きれいな金髪のロングで、後ろで大きく三つ編みにしており、無愛想そうな顔をしていた。服は、着ていなかったので俺のティーシャツを着せた。予想以上に大きく、ちょうど下半身も隠れたので一石二鳥ならぬ、一服全隠れだ。

 だがまあ、動かしたときに背中部分に露出した歯車に挟まらないかが心配だが、それはなったときとして、

「動かすか」


 そうして俺は、どれくらい巻けばどれくらい動くのか解らなかったので、多分、ざっと1440回は巻いた。数えたわけではない、勘だ。

 すると、


「おはようございます。D‐2981ただいま起動しました」

 

 と、表情一つ変えずに挨拶と、製造番号を淡々と語り、静止する。

「ああー、おはよう、俺があんたの主人になると思う螺旋巻絡繰だ。よろしく」

「螺旋巻絡繰様。よろしくお願いいたします、D‐2981と申します」

 堅い。というかそれ、名前みたく言うけど製造番号だろ!

「はあ……。一応俺、何でも屋ってのをやってんだ。あんたにはその手伝いをしてもらうから、そのつもりで……。いいかな?」

「はい。螺旋巻様の言うことは、絶対ですので」

 にしても表情が変わらない。ドールつてこういうもんなのか?所詮は人工ってことかぁ?

 明日にも鉄心のところに行ってみるか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ