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メカニズムドールの一分間  作者: ありづき
19/25

開発者

「あぁぁあああああああああぁぁ!」

 フレグスを吹っ飛ばしたドールのシルエットが砂埃の中で見えた瞬間、グラディアスがミニガンをぶっ放した。

 ミニガンの重厚から放たれる玉の雑な弾道は、見事にそのシルエットに掠りもせずに砂煙に飲まれる。

 それどころか、新たに砂埃を巻き上げてさらに現状の確認を取りにくくさせた。


「何やってんだッ!これじゃあ益々敵の姿が見えねぇじゃねぇか!」

 グラディアスを見下ろし俺は、文句を言う。


「はぁ……。そんなことより、だ」

「ん?」

「あのドールの言った一号機ってのはどういうことなのか……」

「ああ。それですか」

「何か知っているのか?」

「知りたいですか?」

「……ああ。メルのことは何でもいいから情報が欲しいんだ」

「解りました。ならば、あのドールに捕まってみてはいかがでしょう」

「は?あのドールは、俺たちを捕らえに来たのか?」

「ええ。私はその手引きをしたのです」

 そう言いながら骨董屋の店主がニヤリと笑った。

 その瞬間――、


「――おやすみ」

 

 ブチっといつぞやに経験したことのある感覚の後、完全に気を失った。


 何があった?

 男の声がした。

 骨董屋の店主が笑っていた。

 何故だ?

 その目は俺を見ていたか?

 否。

 俺はおかしな言動を取ったか?

 否。

 

 結論。

 俺の背後には、必ず男がいた。


 それは誰だ?

 

 いや、そんなことよりメルは?

 メルはどうなった?

 無事なのか?

 

「……螺旋巻(ねじまき)様……」


 そのメルの声で俺は、ゆっくりと眼を覚ます。

 俺は、拘束もされていなければただ木製の椅子に座らされて知らない男に観察されていた。


「あ〜ら、起きた?」

 不自然に長い手のスタイルのいい高身長の男。

 その声は、さっき気絶する前に聞いた声と同じ。

 そして、男の横には一人の着物の女が立っている。


「あんたら誰だ」

「気絶してて起きたばかりなのに冷静な質問をするね」

「茶化しても良いことはねぇぞ」

 俺は睨みながら男に言う。

「そんな目で見ないでおくれよ。私の名前は機械島(きかいじま)さ」

月波(つくば)様、嘘はいけませんよ」

「ムネくん、君はす〜ぐにネタばらしをしないでよ〜。まあいい、君も自己紹介したまえ」

「はい。はじめまして私はDead月波シリーズが七号機D-2987『黒柱(こくちゅう)』のムネタダと申します」

 

 Dead月波シリーズ?

 俺たちが見たシルエットの奴がいないぞ。

 というか、七号機?

 一号機と言われていたメルもこのDead月波シリーズというものなのか?


「聞きたいことは色々あるが、今の状況だけ説明してくれないか」

「うん。ここは僕の研究所を兼ねた自宅だよ」

「技術者ってのは張りぼてに住むのが好きなのか?」

「こういう雰囲気が好きなんじゃないかな〜。あ、そう言えば君たちを襲ったドールは今はまだ帰ってきていないけど、ムネくんとは違うからね。帰ってきたら挨拶させるよ」

「そうか」

 

 その後、俺は月波から凄まじいほどの質問責めにあった。

 俺の質問に答えているときからすっごい笑顔でうずうずしてたから、こうなることはだいたい解ってたが疲れるな。


 メルは、無事だろうか。

 月波の話によれば、「僕の開発したものを僕が整備するんだ。これ以上のことはないだろうよ」ということで大丈夫なのだろう。

 メルの開発者、月波。コイツを信用できるという保証はない。

 でも、この状況で俺が抗おうとあのムネタダというドールには勝てないだろう。俺たちが見たあの背に大きな鎚が二つ付いたドールは本物だ。

 ムネタダと言うドールも同じようなものに違いない。

 ここは、大人しくしていた方がメルにも俺にも安全なはずだ。


 質問責めから30分ほどが経った頃、俺の目の前には月波とムネタダそして、メルがいる。


「さあ、絡繰(からくり)くん。そろそろ君に話そうか、僕が君を捕らえさせた理由と、君のドールのシリーズであるDead月波シリーズのことをね」


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