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こじらせ主人公の異世界生活  作者: あいうえお
9/10

誘拐犯

僕は学園を出てまずはフード付きのマントを求めて大通りを歩く。

僕が何でそれを求めているのかっていうと誘拐されたクレア達を助けるためだ。


別にそのままの姿で犯人のとこに乗り込んでもいいが僕は目立ちたくない。

もしまた目立ってしまったら今後こそ友達作りの機会がなくなってしまうだろう。

その事は前世で学習している。


僕は通りの色々な店に入って目当ての物を探すが、それはどこにも置いていない。

前に僕がスリにあったとき、犯人らしき人がフード付きのマントを持っていたから簡単に手に入ると思ったけど。

これに時間もかけるのは馬鹿らしいので自分で作ることにした。


まずは布を買いに行く。

これはすぐに見つかった。


そのまま魔力で作った刃で適当に切ってそれらしいものに仕上げる。


「よし。」


ちょっと僕がこういうのにも慣れていないって理由もあってそのマントはズタズタだがこれはこれで趣のある感じに仕上がってカッコいいで良しとしよう。

もちろんフードも付いていて顔の上半分を隠すことができる。


そうして僕は学園に戻る。


学園の理事長の部屋に行く。

そしてノックをするが案の定返事がない。

僕はそれを確認してから学園を出る。

その時はもうずっと暗く、夜になっていた。


少し時間かけすぎたかな。


でも僕はクレア達は無事だという確信があった。


次に向かったのはスラム街。

ちなみに僕は学園を出る前にさっき作ったマントを羽織っていた。


そして探すのはこのスラム街でも少し大きくて比較的綺麗な建物。

僕はその建物を探し回る。


・・・あった。

おそらくこの屋敷に彼女たちは居る。


その建物は僕たちがこの王都に来て間もない時に泊まった宿よりも遥かに大きくて、壁も剥がれ落ちたり傷ついたりなどはしていなかった。

他の家よりは比較的綺麗だった。

ま、このスラム街でぎりぎり住める建物が少なすぎるって言うのもあるけど。

強いて言えば娼館くらいか。


それは置いといて。


僕は見つけた屋敷の中に入ろうとすると二人の門番が行く手を阻んできた。

一人はスーツ姿でレイピアを持っていてもう一人は全身鎧姿で無骨な大剣を持っている。


「何の用だ。」


「友人に会いに来ました。」


僕は無機質な特徴のない声で話す。

これは手刀に刃を付ける応用だ。

喉を魔力でコーティングし思いのままの声を出すことができる。

まさにパーティー向けの能力。


これで人気者になろうとしたんだけどなぁ。

友達が居なくて披露する機会がないんだもの。


「名乗れ。」


門番は言う。


なるほどね。

この様子だと僕の事は何も知られていないみたい。

まあフードかぶっているしマントで姿も隠しているから聞いていたとしても分からないだろうけど。


「もう一度言う。名乗れ。」


・・・嫌だなぁ。

こっちの世界に足を踏み入れたくないからなぁ。

ばれたくない。


「もういい。去れ。」


そう言って僕をドンッ!と突き飛ばしてきた。


「仕方ない。なら実力行使で。」


多分この門番の雇い主もそれが希望なのだろう。


「ほう。やれるのもならばやってみよ。」


僕の声を聞いたスーツ姿のほうがレイピアを抜いた。


そしてドンッ!と踏み込んで僕の肩に突きを繰り出してきた。

それを体の重心を横にずらして回避する。

その突きは凄まじく、突きの衝撃だけでマントがなびくほど。


当たれば腕が吹っ飛んでいたと思う。


でも彼は今のところ命を取ることはしないようだ。


「なるほどな。少しは腕が立つってことか。」


今の一撃を避けたことで評価を改めたのだろう。


そう言ってまた構えなおす。


次は手加減しないようだ。

その証拠に次は首を狙って彼は踏み込んでくる。


鋭い風切り音がして的確に殺しに来る。


それは物凄く美しかった。

多分この人はすごく有名なレイピア使いなのだろう。

足さばき、体幹、腕の動き、体重のかけ方まで自分を熟知した動きをしている。

そこから出す突きはまばたきも許されないほどのスピードだ。


でも残念。


「グハッ・・・!・・・いったい何をした・・・!?」


「僕のほうが早かったみたいだね。」


僕は彼の背後でそう語る。


そうして彼は全身についた細かい傷跡から血を吹いて倒れた。


もちろん殺したわけじゃない。

気絶させるように大量の傷を与えただけだ。

武器など持ってないからもちろん魔力で。

それは小さな切り傷ばっかなのですぐに出血は止むだろう。

だから大量出血で死ぬこともない。


「化け物かよ・・・。」


そう言って彼は静かに眠った。



「どうする?君も戦う?」


一人目を倒して残った二人目、全身鎧の人に聞いてみる。


「・・・当たり前だ。」


そう言って大剣を構えてくる。


そこから小さく横に払ってくる。

それをスウェーでかわす。

横に払った後上に切り上げてきた。

その動きは読んでいたので後ろに下がる。


見た目とは裏腹に結構繊細な動きをするものだ。


「なぜ本気を出さない?」


「君だって全力じゃないでしょ。」


「なるほどな。」


彼はそう言い全力で大剣を振ってきた。


その攻撃に当たっていないのに。

周りの土やチリと共に僕は吹き飛ばされた。


——な!?


僕は姿がばれないようにしっかりとフードを抑える。


バコォ!


僕は壁にぶつかった。


「いてて・・・。」


パラパラと壁の破片を払いながら立ち上がる。


「・・・お前ほどのレベルなら大したダメージはないはずだ。」


砂煙の中こっちに歩いてきた。


確かに動けないって程じゃないけど少し労わってほしい。


ただ、今の攻撃を食らって理屈は分かった。

大剣に魔力を宿してそのまま飛ばすだけみたいだ。

まあ魔力を飛ばす量が尋常じゃないけど。


そして一定距離を保ちながらさっきよりも強く大剣を振るってくる。


「な!?」


驚きの声を上げたのは鎧のほうだ。

僕が吹っ飛ばなかったので驚いたようだ。


「その攻撃はさっき見たよ。」


僕は一気に距離を詰める。

そうして鎧の腹に手を当てて魔力波を全力で打ち込んだ。


バンッ!


大きな音を立てて鎧は吹っ飛ぶ。

そして屋敷の塀にぶつかり大きな穴を開ける。


「あ~あ。門番が塀を壊して。」


彼はもう立ち上がれないだろう。


僕は彼の意識が失っていることを確認して屋敷に入っていく。


屋敷の中は物凄く豪華だった。

真ん中にでっかいシャンデリアがつるされてあって、真っ赤な絨毯がある。

そしてなりよりも接客がいい。


武装した兵が4人ほど居る。


「貴様!侵入者か!」


その中の一人が声を荒げる。


「見ればわかるだろうに。」


僕はそいつの真横に移動し、そいつの体を浮かせて背中から床に叩きつける。


「ガハッ!」


「余計な事を喋る暇があるなら手を動かしたほうがいいよ。」


良かった。

彼らは門番よりは強くはなさそうだ。


「な!?」


「侵入者だ!応援を頼む!」


一気に騒がしくなったなぁ。


「この野郎!」


兵の一人が槍で突いてくる。


僕はそれを手で払いのけ、バランスの崩した彼の背中を壁に押し込む。

その手を背中に密着させたまま衝撃波を飛ばす。


「グワッ!」


彼は肺にたまった空気を無理やり押し出され、ビクンビクンしながら倒れた。


「めんどくさいから一気に来てよ。」


一気に来てくれたほうが時短になる。


「おらぁ!」


そう叫びながら単独で剣を持って突っ込んできた。

その振り下ろされる剣を2本の指でつかむ。

そのまま顔面を蹴り飛ばす。


「一気に来てって言ったのに。」


指に挟んだままの剣を後ろに放り投げて言う。


そのまま最後の一人のとこまで歩いて行って無力化するのであった。


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