王都テール
さて。この状況をどうするべきか。
まず、夜間の外出は禁止されている。
理由として森には危険な魔物が沢山いるらしい。
そうれはもう、大人一人では勝てないほどの危険な奴らがうようよいると聞かされてきた。
まぁ、昼間でも許可をもらわないと出れないんだけどね。
僕は門番の目を盗んで村から出ているが、ばれてはいけないのだ。
そういうことなので。
この目の前の状況に凄く困っている。
このエルフを助けたということは、村から出て色々活動してましたよ~!
と言っているのと同じなわけで。
しかも危険な森を一人で歩けるということはそれなりの実力があるということで。
今物凄く困った状況になったといえる。
「ねぇ!そこの恩人さん!私をほどいてくだいよ!ねぇったら!」
「テリー。お前もしかしてこのエルフと知り合いか?」
父がエルフを指さしながら聞いてくる。
う~ん。知り合いと答えたら何があったのか聞かされて、夜外に出るのが厳しくなるから真面目に答えるのはなし。
かと言って適当にはぐらかせばこのエルフがペラペラ喋りそうだし・・・。
「あ!思い出したぁ!父といつも走っている山に1人で入った時に偶然縄に縛られているエルフを見つけて助けたんだったぁ!忘れてたぁ!」
その助けたやつがポカーンとした顔でこっちを見てくるが知らん。
てかお前を助けたのだからこっちの事情を読み取って俺を助けてくれ。
味方をしてくれ。
「テリー・・・。流石に棒読みが過ぎるよ・・・。」
兄まで助けてくれない。
終わったか?
「なるほどなぁ・・・。テリー。そういうことだったのか。この村を出たいとか言ってた理由は。・・・仕方ない。かわいい子には旅をさせとともいうし。行ってこい!立派になって帰って来いよ!」
そういい父は腰から剣を抜いた。
その動作だけでエルフに縛られていた縄が切れる。
まぁなんだか分からないけど村を出ていい権利をもらった。
本当に何でだろ。
「こいつを持っていけ!何かと必要になるだろう。」
そう言って小袋を渡された。
その袋を開けると中には銀貨数枚が入っていた。
財布だろうか。
ありがたくもらっておこう。
「父さん。いいのテリーを外に出して。まだ小さいんじゃないの?」
ライ余計なことを言うな。
君は黙って見送ってくれればいいのだ。
「いいんだよ。あいつも大人になったって訳さ。」
よし!流石わが父親ファザー!よく言った。
「父さん・・・。兄さん・・・。今までお世話になりました。僕は旅に出ます。強くなるために。母さんにはよろしく言っていてください。」
僕は父が組んでくれた意図を理解しいるふりをしながら涙目で別れの挨拶をした。
もちろん演技だ。
「おう!立派になれよ!」
そう言って元気な笑顔で見送ってくれる父と困惑顔でこっちを見る兄と見張り。
僕はお辞儀をしてこの村を去った。
「ちょ!?待ってくださいよ!置いて行かないで下さいよ!」
背後からそんな声がきこえた――。
――――――――――――――――――――――
ホーン家の食卓。
「父さん。本当に良かったの?」
「テリーのことか?あれでいいんだよ。」
「でも僕より弱いし年齢かって。」
「テリーとあのエルフは恋人同士だ。」
「――!」
「エルフは基本性能が高いからなぁ。あの森なら簡単に生き延びれるさ。」
父は嬉しそうに言う。
テリーが成長しているのを嬉しく思っているのだろう。
なんだか俺まで気分がよくなってくる。
そうか。テリーももう子供じゃないのかぁ・・・。
「俺も若い時にそんなことがあったさ。その時は家のしきたりとかのせいでその恋は終わったけどな。」
懐かしいなぁ。そういいながら母の前でそのことを言うのはどうなんだろう。
父と母は初恋のまま結婚したって聞いていたけど。
あ。案の定、母がすねを思いっきり蹴ってる。
父がうずくまっている間に俺は夕食を食べ終えた。
――――――――――――――――――――――
「ねぇねぇ。知ってますか!この葉っぱって傷薬として凄い優秀なんですよ!」
「お腹が空きました!お昼にしましょうよ!」
「魔力ってどのくらい使えるんですか!?え?私?いやぁ。このくらいしか使えないんだすよぉ!(ドヤァ)」
このエルフ本当にうるさい。
さっきから永遠に一人で喋っている。
黙っていれば容姿だけはいいんだけどなぁ。
白銀の髪に綺麗なエメラルドの瞳。
顔はいうまでもなく整っている。
そろそろこの壊れた歩くスピーカーを捨ててこようかなと思ったとき、それは聞こえた。
「うわぁぁぁぁあああ!!」
「聞きました!?悲鳴が聞こえましたよ!行ってみましょう!・・・ってあれ?」
俺は叫び声が聞こえた瞬間その場所に向かった。
盗賊は3人くらいで2人は荷台をあさっている。
もう1人馬車を襲っている最中で馬車の御者を刺そうとしている。
俺はそのナイフが首に突き刺さる所に魔力の小さな塊を置く。
ギィィィィン!!
固いもの同士ぶつかり合う音がして盗賊がのけぞる。
「な!?」
そのまま口を押えて小刀で首を掻っ切る。
「ひっ!」
御者がその盗賊の返り血を浴びて声を上げる。
「何の音だ!?」
あの金属音を聞いたのだろうか。
荷台をあさっていった盗賊2人がこっちを向く。
「誰だてめぇ!」
仲間の死体を見たそいつがナイフを投げてくる。
それかわさずに魔力の粒を飛ばす。
それはナイフを貫いて盗賊の内臓に入り込み爆発した。
その光景を見ていた最後の1人の首を切る。
これで全部かな。
「まってくださいよぉ~!急に走っていくんですもん。しかも私が追い付けない速度で・・・。」
「チッ」
「え!?今舌打ちしました!?」
まぁ、それは置いておいて。
「ねぇ。御者さん。この辺に街とかある?出来ればそこまで案内してほしいんだけどさ。」
「は、はぁ・・・。近くに王都テールがありますが・・・。」
「ならそこまで案内してくれない?頼むよ。」
「大丈夫ですけど。あちらの少女もいっしょですかな?」
「えぇ。この麗しい少女もご一緒です!」
この子は黙っていれば綺麗なのになぁ。
俺はそんなことを思いつつ馬車に乗せてもらう。
「まって!突っ込んでくださいよ!このままでは私は痛い子だと思われてしまいます!」
もうすでに痛い子なんだよなぁ。
そんなことを思っていたら僕の隣に座ってくる。
「仲がよろしいんですね。そろそろ出発しますよ。」
そう言って馬車が動き出した。
――――――――――――――――――――――
「先ほどのお礼をさせてください。助けていただいてありがとうございました。」
馬車に揺られ暖かな風が吹く中、御者さんは言った。
「お強い方なんですね。良ければお名前を。」
「テリー・ホーンです。まだまだ修行の身で。」
「あ!そう言えば始めて名前を聞いたかも!私はクレア。よろしく!」
確かに自己紹介がまだだったな。
「ははは。仲が良さそうですな。」
そう御者さんはこっちを向いて笑顔で笑った。
馬車にしばらく揺られてテールに着いた。
「すみません、ここまで送ってもらって。」
「いえいえ、私の命を救ってもらってこのくらいの恩しか返せてないのですから。」
むしろ私のほうが申し訳ない。
護衛料です。そう言って数枚の金貨を貰った。
「では失礼します。」
僕らはそんな御者さんを見送った。
そして僕らは王都テールに入っていった。
「綺麗な街並み。」
「確かにそうだね。」
「まずは何するの?」
そうだなぁ。
とりあえず宿が欲しいな。
そう言ったらクレアが無難だね。
そう笑顔で答えた。
適当に宿を探して止まる。
一泊銀貨1枚だからもうしばらくは休めるな。
後この王都には騎士や魔法士を目指す学園もあるらしいからそこに入学するのも有りだな。
12歳から入れるらしいのであと2年待たないといけないが。
「ねぇねぇ、テリー。少し散歩しにいかない?」
このままボーっとしていても時間を無駄にするだけだしいっか。
そう言って僕らは宿を出る。
「テリーって私を置いていこうしてるからここに着いたらさようならなのかな~と思っていたけど違うみたいで安心した。」
そう、えへへと笑うクレア。
別に置いていこうとすれば置いていけるけど。
やっぱりほら。
知らない街並みを一人でいるって寂しいじゃん。
まあそんなこと恥ずかしくて言えないけど。
僕はごまかすように早歩きをする。
するとドンっと人にぶつかった。
「あ、ごめんなさい。」
「いえいえこちらこそすみません。」
そう言って深くフードを被った人は去っていった。
「ほら!私から逃げるから罰が当たった。」
なに?君は神様か何かなの?
色々街を見て、綺麗な服屋さん、美味しそうな香りが漂う食堂、生活用品がそろうところから家具の販売店まで色々そろうのが分かった。
「素敵な街ですね!」
暗くなった頃に宿に戻る。
「だね。この街に住むことにしようかな。」
今日歩いてみて活気がいいし特に不便そうなところはないし本当に素晴らしい街だと思う。
僕は鼻歌交じりに荷物整理をしようとした。
「ん?テリー。どうしたんです?」
冷汗がポトリと頬を伝って床に落ちる。
それはあることに気づいたからだ。
財布がない。
その事実をクレアに伝える。
「えぇ!?どこにやったんですかぁ!?」
知らんよ。知っていたら今更慌てないって。
「確かにそうですけど・・・。これからどうするんですか?」
「何かして稼ぐか・・・。見つけるかのどちらかだね。」
はぁ。本当に素晴らしい街だな。