表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/47

経済不況

不況で食えないから人は犯罪に走るのです。

食える世の中になれば犯罪は減ります。

アメリカは5兆ドルも貯め込んでいたが、それでも世界は酷い不況に襲われており民は困ったいた。

日本もTPP加盟国にお金をばらまき景気を刺激しようと試みるが、日本の自衛隊員の努力もあって、TPP諸国のみは好景気に沸いていたが、寄付金の集まりは悪くなってきていたので残りの10兆円は使えない。

国有地の管理運営で、10兆円ほど儲けていたが財政支出は基本70兆円に抑えられていたので財政的にはびくともしないが、それでも各国からの輸入品とかは貴重であっので、どんどん輸入する方針だった。

食べ物だけは食料自給率150%もあるのでいらなかったが、鉄やアルミ、石油などは欲しかった。

「日本にもってけば高く売っるぞ。必ず米市場を解放させて見せる。タイ米だって美味しいんだぞ」

「日本人は食に五月蠅いから、品質の向上を図らないとさっぱり売れないぜ。コメ不足で困っていたときでさえ、タイ米を食べようとしない日本人が多かったって話だしな。全く金満国家とは付き合いにくい」

それでもせっせと工業製品を造りながら日本に売り込むTPP諸国だが、かなり安値になっていた・・・。

日本は殆どの物が自給出来るので安くしないと売れないからだが、それでもTPP諸国は大喜びだ。

日本が推奨したTPP11の筈なのに、日本が約束を守らないとかなり不評なTPPだっただけに、最近日本人がTPP諸国の物資を買うようになってきて、有難いと思ってるつい最近である。

「アメリカの突き上げが酷いんですよ。日本からひと言文句付けてください。期待してますからね」

「日本だけですからねぇ。あのアメリカに文句付けられる国は。俺らのような小国はアメリカの言いなりにならないといけないから、日本のような強い国は大歓迎ですよ。しかし借金0国家かぁ」

なんて羨ましいと思うTPP加盟国であったが、TPP加盟国の借金はこの20年でだいぶ減ったとはいえ、まだ30兆円分くらいはあるので、日本に肩代わりしてもらえると嬉しいと期待していた。

「何だ。そんなものでよければ日本が幾らでも払ってやるが、追加融資はなしだぞ。分かってるな」

「立て替えてくれるんですか?やったこれで借金地獄から抜ける事が出来る」

「この借金がなければ俺達TPP11はもっと豊かになれる筈なんだ。有難う日本よ。恩は忘れない」

日本はこの借金を返済してやった見返りに、赤字国債10兆円発行していた。

もっと寄付金を集めないといけないが10万円札でも発行しようかなぁ。今の市場規模で税収380兆円だと、どう考えても通貨不足になるからお金は増刷しないといけないのだが日銀に命令しておこう。

こうして100兆円ほど不足分の通貨が発行されたが、これで90兆円も儲けてしまう。

因みに最近はTPP加盟国での主力通貨は日本円だが、最近高騰して物価が上がっていたので評判は悪かったし、便乗して値上げする通貨もあったので、人は電子マネーに走った。

「アメリカは相変わらず日本から富を吸い上げられてる状態か?ロクなことしないなアメリカは」

外様が妻のメグに愚痴るが、妻は政治の話題には口を出さないので、酒ばかり飲んでる毎日である。

酒しか今の境遇を慰めてくれる相手はいないからだが、それでも自衛隊は監視を緩めてくれない。

「外様さん。酒ばかり飲んでいると体に悪いぜ。たまには外に散歩にでも出かけよう」

だがこれは自衛隊員に止められたので、農作業のみを行っていた。

「働いて税金納めて年金支払ってるのに何が不満なんだ?俺は大人しく辞職したじゃないか・・・」

被選挙権後27年位たたないと復活しないから、俺が生きてるうちは総理になれない計算だ。

「俺は日本をフランスのような豊かな農業の国にしたかった・・・」

それが外様の最後の言葉だった。

外様は国葬にされ、TPP加盟国や外国の要人3万人が1人10万円の参加費払って出席したが、アメリカ連合からは使者を寄越さなかったので、再三催促の電話を入れる事にする。

世間的には「アメリカを外様の国葬から締め出した」みたいな形になるからだ。

「あたし21歳の若さで未亡人?後20年は先の話だと思っていたんだけどなぁ・・・」

メグが嘆くが遺産だけはがっぽりと娘と分け合うメグであった。

外様の娘は看護師であるが、分けた分だけで5億円もしたので(税金はメグが支払った)満足であるが、これでは財産目当ての結婚だと悪口を言われても仕方がない。

「これでようやく俺の時代がやってくるぞ。解散総選挙を要求する」

「そうだな。外様の葬儀が終わったからには、小波の会は解散だよな。炎の党と挙国一致内閣を目指そうぜ。政治的分裂をこれ以上続ける訳にもいかないからな。困るのは民草だけだ」

取り敢えず解散総選挙は先にして、挙国一致内閣の実施に向けて動き出したのだが困難だった。

小波の会は解散して、450議席の衆議院が全議席炎の党で埋め尽くされる。

「いや~。外様の功績をたたえて各国から日本政府に送られた寄付金が500兆円とは、国を経営するってのは儲かるものですなぁ。不況の時代とは思えない気前の良さだ」

「日本を見殺しにすれば次は自分の番だと分かってるからですよ。外様さんの夢をかなえないと」

「外様は崩御なされたんだ。次は俺の時代だという事を忘れるなよ」

このかき集めた寄付金はTPP加盟国と某国への軍資金に注ぎ込まれたがまだ500兆円残っている。

「メグさん。このお金は日本を富ます事によって俺達ヨーロッパアフリカ南米中央アジアが豊かになればと思えばこそです。大切に使ってください。国民が苦しい生活の中からひねり出した寄付金ですよ」

「分かったわ。取り敢えずTPP加盟国から豊かにしてみせるよ」

追加の融資100兆円をTPP加盟国に送ったら、TPP諸国の株が軒並み上がった。

全世界もこれに釣られて株高になり、当面は目的を果たした事になるが、2043年4月、春休みの日本は一気に鉄血の1万人の財力を3倍に引き上げてしまう。

「日本円は1ドル15円にまで跳ね上がりました。これでは外国製品が日本に入ってくるのでは?」

この好景気の日本では、高くても国産を買おうとする人間が非常に多い。

この国産にはTPP諸国の作物も含まれるが、日本では東南アジアの野菜は余り食べなかった。

「仕方がないだろう。日本は自由貿易を行っているんだから外国産も受け入れないと」

だが憎いアメリカの商品は、日本では余り人気はないので行商人も諦め日本から去る事になる。

一応石油の備蓄はしておくが、この時やっと原発の廃炉が完了した。

放射能の残骸は、仕方がないので無人島に捨てる事にするが、早急に放射能魚装置を開発しないと。

「メグさん。TPP諸国からの輸入品が円高の影響で安く手に入るのは有難いですな」

「そうですね。国内では3倍位で売れますから。でも直接日本に商品を持ち込むので日本はそんなに儲かりませんよ。TPP加盟国から直接注文すれば儲かりますけど、東南アジアは海賊が出ますし・・・」

海賊退治にはTPP加盟国有志のハルカ団2のメンバー300万人が加わり、海賊の船を奪い抵抗した。

海賊の拠点を制圧したり、海賊に改心を強要して味方に付けると5月海賊は全面降伏する。

「本当に降伏すれば自由貿易を認めてくれるんでしょうね?俺達だって食っていかねばなりません」

「妻や娘が俺の稼ぎを待ってるんです。保釈金出しますから刑務所だけは見逃してください」

議長国の日本に問い合わせたら、別にいいんじゃないかという返事が返ってきたが、重罪人は駄目であるので、降伏した20万人の海賊は3千人が終身刑に、残りは保釈されてハルカ団2に加わった。

幾ら何でも海賊の経歴を持つ者を野放しにする訳にもいかないからだが、給料出したので喜ばれる。

海賊の財宝を公務員に分け与えて派手に使わせたら、TPP諸国の景気がちょっとだけ上向いた。

「ハルカ団2にはTPP加盟国の警察官になっていただきたいのだがよろしいか?給料出すぞ」

下手な軍隊より余程強いハルカ団を敵に回したら東南アジアが火の海になりかねないので懐柔した。

「勿論良いですよ。このTPP加盟国から犯罪行為を一掃して見せますよ」

こうしてハルカ団2がTPP諸国の国際警察官として雇われる事になったが、実に寛容だった。

軽犯罪なら(セクハラ以外は)罰金さえ納めれば大目に見てもらえることが多いので、犯罪者達の中には詐欺とかでたらふく儲けた後自首して罰金だけで済まそうとする者さえ現れたのだ。

勿論財産の殆どは被害者に返金されるが、それでもひと財産作ってしまうものがいたらしい。

だがハルカ団2は、寛容な精神こそTPP諸国の平和につながると信じて軽犯罪に寛容であった。

「6月、犯罪発生率は8割減った。ハルカ団の寛容のおかげだと思うが、意見はあるか?」

議長国の日本がTPP諸国の代表に尋ねるが、それには異論はない。

人間食える状況なら犯罪を犯そうと考える人間は(性犯罪は別だが)非常に少ない。

日本の東京にはハルカ団2の本部が置かれ、日本と共同で犯罪者狩りにいそしんでいた。

最近ブルマとスク水が復活してから、性犯罪の発生率が何故か減っている。

「日本の犯罪発生率はこの2年で22件です。そのうち18件が窃盗ですが・・・」

日本はハルカ団2と共同歩調を取り、犯罪の撲滅に狂奔していたのだ。



外様の崩御については描写を避けました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ