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総選挙

日本はまだまだ国力は残ってます。

「総選挙に打って出なければ何時までたっても具体的な改革は出来ない。借金が増えるだけだ」

外様内閣の意見は解散総選挙で一致したが、何時やるべきか悩む所である。

小波の会は少数与党の上、支持率がやっと15%を回復してきたところだし選挙しても勝ちめない。

しかし選挙で多数派にならなければ、国民は難儀な目に合う事になるのは間違いなかった。

幸い東京は自衛隊と警察が抑えてるので選挙は出来るが、他の地方は独立機運が高まっており、政府の方針に従わず、なお自治体は総額で21兆円もお金を貯め込んでいるのだ。

これに税金かけるなら理不尽だが、お金があるなら地方交付金減らすのは当然だろう。

「では解散総選挙をやる事にするが異議はないか?マシなアイデアがあるなら聞くぞ」

「いえありません。解散総選挙で国民に訴えましょう。軍資金を辣腕鈴木に集めさせます」

そして予算審議に入ったが、野党はここぞとばかりに外様政権を糾弾し始めた。

「定額給付金しか出来ない金満政権を倒せ~」

「総理。内閣不信任案を国会に提出したいと思います」

こうなっては審議される前に解散総選挙に打って出るしかなくなった。

仕方なく外様は計画通り解散総選挙を宣言した。

「俺は議会を解散して、総選挙に訴える事にする」

たちまち議場はブーイングの嵐となる事になる。

「不信任案逃れの解散総選挙だ」

「総理は恥を知るなら辞職して、仏門に入れ~」

だが外様は選挙で国民に訴えるべく、人気が回復している東京から遊説する事にした。

選挙戦は解散宣言の翌日から始まっている。

「俺を信じて豊かになろう。就任1年目で税収を80兆円にして見せる」

外様を信じた老人や若者は、消費に励んでいた。

程々に借金までして物を買っていた。

税収は10兆円は上がるだろうと外様は信じている。

タバコ税の収入も案外頑固な喫煙者のせいで10兆円増は確実だった。

それに消費税の資産価値の増収分が1.6兆円あれば税収80兆円は可能な筈だ。

「国民は結束して、国の税収アップに貢献しないといけない」

「何お~。自分だけが贅沢したいが為に公務員の給料を増額しやがってぇ」

野党は自分達でごり押しした公務員の賃金アップを総理の責任にして糾弾した。

「クーデターで国を転覆させるような奴らに国を任せて良いのか?」

「何を~。やったのは風の会の過激派で、俺達には関係ない」

「次元の違う話を持ち出して、俺達を誹謗中傷するんじゃない~」

選挙会場にことごとく表れて小波の会を誹謗中傷する野党に、国民も徐々に冷めた目で見始めた。

国民にとって、外様の人柄はどうでもいい。

こいつが総理であるからには、こいつに生活を保証してもらわないと高齢者は食っていけない。

だがら日本の3千万人の高齢者は、外様を信じるしかないのだ。

「外様さん。あんたを信じるから選挙に勝って俺達の生活を保証してくれ」

「最初あんたを馬鹿にして悪かったよ。頑張って日本の黄金時代を復活させてくれ」

こんな事を言い出す高齢者の有権者や障碍者の有権者が外様の支持者には多い。

定額給付金で貧困層の消費を底上げする方針であるからには、貧困層の人気は当然高いのだ。

「おのれ~。外様を買収の容疑で告発してやる」

この計画は警察官によって不起訴にされたが、外様支持派は急速に力を拡大した。

「何故だ~。なぜあんな金満政治の指導者が国民の支持を受けるのだ?」

「外様を何とかしないと本当に日本は小波の会に乗っ取られてしまう・・・」

だがこれと言って名案は思いつかない。

そのうちに選挙の開票日が来てしまった。

結果、小波の会の議席は300席。

野党が150議席となり、ここに名実共に外様第二内閣が誕生する事になる。

「外様さん。勝因は何だと思いますか?」

鬼ダルマに墨と筆で目を入れながらマスコミのインタビューを受ける外様であった。

「国民が俺を支持してくれたという事だ。これで国家予算が改革に使えるようになる」

だが取り敢えず国有地を売却して、国の1千兆円の借金返済しないといけないんだよな。

どこぞの総理みたいに、8億円も値切り倒されたら問題だから売却は譜代大吉に任せよう。

国の国有地なんて、400兆円分あると言われてるが売りに出したら半額以下だろうな。

「まあそれでも売らない訳にはいきませんよ。国有地の管理費高いんですよ」

譜代大吉と美香に指摘されると早速商人と交渉に入る事にしたが、前途多難だろう。

外様竜一は、辣腕鈴木に資金を集めるように指示したが、多分1兆円位は集めて来る筈だ。

「じゃあ内閣は全員留任で良いんですね?大丈夫、口は堅い奴らですよ」

大臣がうっかり失言とか言うと、辞職させるまで別の審議をほっといてまで追求する奴がいる。

それを防ぐ為に閣僚は口の堅い奴を優先して選ぶ事にしたのだ。

「さあ政治改革だ。だが取り敢えずは米の収穫から始めないとな」

季節は既に8月に入っていたが、米は程々に凶作で食料自給率は30%近くにまで落ち込んだ。

「総理。作物は例年にない大凶作です。これでは農家が食っていけません」

緊急輸入で何とか急場をしのぐことにして、市長選挙とか村長選挙で、小波の会の支配力を増す事に集中しないとどうにもならん状況であった。

野党の30人にクーデター騒動の関連疑惑が持ち上がり、この時観念して辞職した事もあって、小波の会の議員が330人、野党が120名になっている。

「定額給付金を行う為の、国債発行10兆円を議会に要求する」

チマチマと定額給付金やっていても経済成長率は微々たるものだ。

ここは大規模に定額給付金を行い、経済成長率と借金返済と税収アップの3つを達成して見せる。

「定額給付金?国の借金をまた増やす心算なのか?」

「金満政治家は退場せよ」

野党は相変わらず文句を言うが、外様は強行採決に走り10兆円の国債発行を可決してしまう。

「撤回しないと2度と審議に応じないぞ~」

「独裁者を倒せ~」

外様はこの国債発行で得た金を8兆円を低額給付金。

残りを保育士の給料に充てる事にした。

少子高齢化は深刻で、子供が増える可能性があるなら、2兆円位惜しくはない。

これにより経済成長率は一気に3.5%にまで跳ね上がる。

「ここまで欲望に忠実な政権は初めてだな」

「いやあ。こんなに気前よくお金使えると、財務大臣が楽しくて仕方ありません」

この時外様は、公務員の給料アップと消費税増税の約束を撤回する事を発表して支持を失った。

一応期待はしていたらしい。

「貰えるならと思っていたが、やっぱ貰えないのか。あの嘘吐き総理が・・・」

「まあそう言うなよ。無理な事位最初から分かっていた事だろう?」

優しい公務員と自衛隊員に支えられて、外様政権は各地の選挙で勝ちまくった。

反抗勢力は地盤の固い九州と大阪に拠点を設けて、市長の議席を守っている。

「総理。政治家のパーティやればお金が調達出来ますよ」

「却下。俺はお金には困っていない。俺は一応農家だからな」

僅かながらの土地を耕して小銭を稼いでいるが、ようやく1億円現金が貯まった。

「あれは政治家同士の親睦会ですから、出席しないと孤立しますよ」

「俺は26歳だぞ。爺さん婆さんの多い政治家のパーティで、どうやってもてなせと?」

ああそういう事かと譜代大吉と美香は思った。

確かに高齢者の多いパーティなど開催したら、若造と年寄りでは話が合わない。

「外様さん。それでもパーティは行った方が良いですよ」

「竜一さん。政治家のパーティは、レアアースよりお金になりますよ」

外様や閣僚の生活費位自力で調達してくれないと財務大臣としては困るのだ。

日銀は金融緩和をやってるが、財務省は財政の引き締めを行わないといけない立場である。

当然国会議員の給料は半額返上な状況である。

「まあ俺達はまだまだ理想に燃えてるから給料半額も良いけどさぁ」

「総理だけは満額支給しておいてくださいね」

下手に総理の給料を削減して、汚職にでも走られたら、国会議員と党は破滅する。

国は停滞して日本の影響を受けている諸国民が迷惑をこうむり、深刻な不況に悩むだろう。

それだったら、総理には甘い汁を吸わせておいた方がはるかにマシだ。

「俺金には困ってないから、給料返上でもいいんだが」

「総理だけは満額支給で給料貰ってください」

国会議員の総意で、総理の給料だけ満額支給なのは国民的に受け入れがたいものがあった。

だがこの総理に汚職に走られても困るのでしぶしぶ我慢する。

しかも景気対策で、耕運機と脱穀機を買ったのが、贅沢をしてるように受け取られてしまった。

「総理も頑張って消費に励んでいるんだ。俺達もお金使おうぜ」

「贅沢しないんだったら、何の為に大企業はお金を儲けて蓄えるんだ?」

富裕層もアメリカに無理やり買わされた大型車や米などを、国の土下座により引き受けた。

「大型車なんか買ったってしょうがないんだけどな」

「日本の道路でアメリカ車を走らせるのは無理があるだろう」

アメリカの高級車を日本の道路で走らせたら、多分エンジンにダメージを受ける。

「それでも関税の方は取り下げてくれないんだぜ」

「アメリカは自分さえよければ他国がどうなろうと構わないのさ」

「それを言うな。買ってやらないと何に関税をかけられるか分からん」

総選挙で勝った今こそ外国との貿易にも本腰を入れられるが、暫くは止めておこう。

「国有地は売れそうか?」

外様が譜代大吉に尋ねたが、譜代は自信満々に答える事になった。

「土地と資産を担保にお金借りました。原価の20%ですから80兆円位」

そしてわざと金を返さず借金取りの裁量で売却される。

返済して余った分は返さないといけないから、400兆円確実に回収出来るのだ。

「一応議会で承認してもらってくださいね」

「分かった」

こうして議会で借金返済法が強行採決され、400兆円が確保された。

そして日本の借金は一気に610兆円に減ってしまうのである。

まさに天才的な借金返済方式であったが、多分リアルの国会でやったら違法だろう。

これにより外様の支持率が一気に30%。

不支持率が70%に跳ね上がる事になる。




400兆円の資産を大企業が分配する事によって内部留保が減る効果もあります。

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