値上げ
今回は高齢者問題の話です。
国内で産業の値上げをする余地が全くなかったので輸出商品の値上げを発表したがこれは好調だった。
大体値下げが不当で関税をかけるのが良いなら、最初から値上げしたってよさそうなものである。
実際その方が儲かるので、ほんのちょびっとだけ値上げさせてもらってそれでも日本製品はよく売れる。
為替レートでは、1ドル=150円程度だったので、外国産の商品が高いのも日本経済の足を引っ張っていたが、輸出品を値上げしてしまえばアメリカは日本商品に脅かされる事もなく日本製品も売れるのだ。
「外様は総理を辞めろ~。独裁者は退陣して日本を救った英雄の名誉を守れ~」
数百万人規模のデモは、日本製品の値上げと国内の物価高に悩まされた年寄りの反乱である・・・。
年金頼みのお年寄りは、暮らしが豊かでないのでデモを起こすが暴動に発展しないので好きにさせた。
春闘でついに労働者の給料が月額40万円を超えた事もあって、労働者世代は外様の支持者であるが。
「爺さん。だから老人ホームに入れば少なくとも金の心配だけはしなくて済むぜ。俺が費用出すから」
「好景気なのに高齢者虐待する理由などないじゃないか。俺が面倒を見るから心配するな」
そうしてもらえると国の負担が多少減り助かるのだが、親を老人ホームに入れようとする者は多かった。
老人ホームにさえ入り込めれば、金と病気の心配のない安らかな老後を送れるからだ。
今の労働者階級には、親を養う金があるのでどんどん老人ホームに入れればたぶん高齢者も幸せだろう。
「老人ホームねぇ。そういえばちっとも考えていなかったな。俺の両親はいないからなぁ」
でなければ26歳の若さで農家になれる筈がないので、ミリアと譜代も納得したが、当面の問題は高齢者対策であるので、デモを起こすような元気な年寄りには仕事をあっせんしようと思う外様である。
「高齢者は学識豊かだから次世代の幹部の教育係とか出来そうだがなぁ。まあ物価は下げないと」
TPP加盟国からの安い商品に対抗する為低価格な時代が訪れていたがそれでも物価は高いのだ・・・。
「仕事紹介してやるからデモは止めような?デモを起こされると年金機構の株も下がるぜ。そしたら年金が減るかもしれないんだぞ。分かっていてデモを行うなら俺に止める権利はないがな」
これを聞いたデモ隊の一部は若者の人材教育係の職を得て満足そうに国会議事堂を後にした。
嘱託社員は正社員に比べて給料が安いらしいが、それでも年金暮らしよりは収入が期待できる。
「俺にも仕事紹介してもらえるか?俺は一応教員免許持ってるんだが塾に就職したい」
「私は株で儲けてるから仕事しなくても良いけど、出来たら株取引の相談役にでも」
「分かった仕事を紹介してやる。だからデモだけはやめてくれ。本当に株価で大損するんだよ」
外様政権を財政面で支えている鉄血の1万人は、この高齢者の1割を受け入れ、老人向け外食チェーン店を開いたが、勝算はあるのだろうと思う外様であった。(鉄血の1万人は農地も手に入れていた)
「無職の高齢者を減らす事で、医療費負担を減らす努力をしてみたい。財務大臣には200兆円をな」
この金をどう運用すれば確実にお金が儲かるか考えた挙句、外国の通貨を買う事にしたのだ・・・。
ドルを買えばドルの価値が上がるので円安になるが、国力の衰えたアメリカには止める力はない。
「為替操作は止めてくれ。ドルを手放さないと経済制裁をするぞ。それでも良いのか?」
アメリカが脅しをかけてくるのは最初から分かっていたので要求に屈することにするが、この時200兆円分のドルを売りに出して、40兆円も荒稼ぎをしてしまう外様であった。
形の上では外圧に負けた事になるので、アメリカも文句が言えないのが辛い事である。
「もやし農家は値上げにより大儲けしています。もやしがあるとスーパーは栄えますから安心です」
値上げしても売れるとは思わなかったが、最近はもやしを高級食材として買い集めるラーメン屋の主人とかがいるし、たぶん値上げしてもスーパーの自己責任で値下げする事もあって繁盛している。
「高齢者も農業を日本に広めるために使えたらなぁ。募集してみるか。日本の農業の未来の為だしな」
この時募集に応じた高齢者が200万人いて、農業人口は1200万人に膨れ上がっていた。
60歳で仕事を辞めて、どうしようかと悩んでる高齢者が農業相談員に立候補してきたらしい。
因みに借金は残り40兆円だが、次の税収まで返済できる余地がなかったので放っておいたのだ。
「外様は意外に話の分かる総理だぜ。もっと早く話し合えば良かったな」
「高齢者の年金生活者が300万人減ったぞ。これで孫に財産を残せる。農業だがな」
高齢者の就労者数を上げて、老人医療費と年金額を減らす改革は上手くいき、外様政権は今度はユーロを買い占める策に出て、50兆円儲けてしまった。
国際的に日本の信用は低下するが、訴え出る事はしなかったので210兆円の現金を確保することになるが、いま日本を訴えたら世界的に株安化が起こり、多くの国が迷惑するので黙ってる。
「だが余り調子に乗るなよ。外様の悪行を見逃してやるのはこれが最後だと思え」
朝貢貿易で今回10兆円貢いだ事もあって、某国1は日本をかばってくれたのだが、国民受けが良くない外様政権は、「人柄が信用できない」という理由で政権から追い落とす策を考える者もいた。
だが合法的な手段で幾ら訴えても、外様を支持する労働者層は動かないのでどうしようもない。
議員にも炎の党に寝返るものは皆無であったので、暫くは外様政権が続きそうだ。
某国1からの下賜品は、8兆円程度の材木だったが、これをアフガニスタンとモンゴルに売り大儲けをしてしまう外様であった。(3倍近い30兆円で売れた)
「230兆円も貯金があると高齢者対策も楽だ」
「某国1に頼んで木材確保の為、緑化計画に参加させてもらいましょう」
ミリアの意見で某国1に砂漠地帯の緑化をお願いすると、某国1は快く応じてくれたので早速大量の苗木を調達して、某国1の民を雇って植林を始めた。
この植林に応募した高齢者は、意気揚々と植林の指導に当たり、食事と給金が目当てで集まった100万の民衆に植林をさせていたが、砂漠の多い某国1西部はなかなか植林が進まない。
「外様さん。この重要な時に植林する余裕があるのか?それと川の水質浄化にも手を出したと聞くぞ」
「某国1の植林や水質浄化が進めば、某国1から材木が輸入出来るだろう」
外様は高齢者が生きがいを持って生きられる世の中を作ろうとしてるらしいが、国内だと仕事がどうしても不足するので、外国に送り出すことによって活路を見出そうとしてるようだ。
「外様チルドレンの中にも某国1に植林に出かける者が後を絶たない。凄い人気ぶりだな」
最近卑屈な朝貢貿易のおかげもあって、某国1の政府が日本にやさしく接してくれるのだ。
相手が好意的なら日本だって某国1に親しみを覚えるようになるだろう。
「朝貢貿易も長年やってると、儲かりますからな。日本は名を捨て実を取る戦略に出たようだ」
この某国1と某国2にだけは通常価格で朝貢品を売っている日本である。
朝貢貿易とはいえ通常の交易は行ってるのだが、某国1と2に商品とお金の1部を貢ぐ義務があった。
「じゃあ苗木は一度日本で育ててから植樹するで良いな?失礼だが植林の技術は日本の方が上だ」
「酷い言われようだな。確かに俺らより日本の方が技術は上だが某国1の国民は認めたがらないぞ」
それでも高齢者による植林は勧められ、日本の莫大な資金投下によりそれが一部完成した。
「100万人も人手があれば植林などどうとでもなるが、軍隊も動員してくれんか?」
「我らの軍隊は、人民を守る為にある。喜んで協力させていただこう」
こうして某国1の軍隊3千万人と共に植林を始め、7月には植林を完成させてしまったのだ。
書いてるうちに内容が題名と違う感じになるのは大目に見てください・・・。