1部 改革始動
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「取り敢えず貧困対策だな。予算を通すのは野党も認めているから、国債を発行しよう」
外様竜一は官房長官とラミラ・ゴードンと図り、内閣の任命を急ぐ事にした。
内閣さえ揃えてしまえば、幾ら短命内閣前提でも2ヶ月は持つ。
その間に何が出来るか考える事にしようと外様は思ったのだが、早くも反対者が出る。
「野党と話し合わないで決めるなんて専決処分だ」
「独裁内閣を倒せ~」
こうなっては与党に歯向かっても、内閣不信任案を出されるだけである。
話し合うべきだが、この話し合いで国家予算の2割を公務員と政治家の給料にするとなった事が、民衆50万人のデモのキッカケとなった。
しかも今年中の消費税5%の増税を約束させられる。
今は4月だから、8ヶ月は内閣が持つ事になるが、民衆は黙らなかった。
「取り敢えず国債で発行するから今年中の増税はない。あっても来年以降だ」
野党はどうせ来年は外様竜一は失脚してるだろうから問題ないと判断して国債での給料支払いに同意した。
だが国民は納得しない。
「公務員はもっと身銭を切れ~」
「公務員の給料増額出来るなら年金生活者の年金支給額上げろ~」
この状況下で自衛隊も外様竜一を見捨て、警察官も護衛を拒否した。
ここで民衆を怒らせたらマジで一生牢屋から出られなくなるかもしれなかった。
政治家を投獄する理由など作ろうと思えば幾らでも作れる。
「俺を信じてくれ~」
竜一は叫ぶが、民衆は完全無視で総理の辞職を要求し続けた。
内閣支持率が0.2%。
政治家と与党の身内しか支持していないのだろうと思える位低支持率である。
不支持率99.8%。
「俺は1月以内にこの低迷した経済を立て直して見せる」
こうなったら嘘も方便と割り切って大見えを切る事にした。
これで市場が騙されて株価が上がれば1月位は政権が持つかもしれない。
「嘘吐き総理には騙されないぞ~」
「即刻辞表を出せ~」
この調子で内閣成立1日目の人事改革は、民衆のデモ対策で少しも進まない。
それでも内閣は一応出そろった。
財務大臣には、ラミラ・ゴードンが切り崩しに成功した辣腕鈴木を登用する。
「総理。民衆のデモ隊が大阪で暴徒化してます」
これは野党が仕組んだ偽情報であった。
鎮圧に向かったら、「総理は武力で民衆を弾圧した」と決めつけクーデターを起こす予定なのだ。
「この情報は懐疑的ですね。信頼出来る部下に調べさせましょう」
「そうしてくれ」
こうしてその日のうちに結論が出たのか、外様竜一は数少ない配下を引き連れて暴徒鎮圧に向かった。
「はははっ。まさかこんなにアッサリと引っかかるとは思わなかったぜ」
クーデターに賛同した1600名は、東京を襲撃して首都を占領するべく立ち上がる。
「国会議事堂を占拠して、官房長官の譜代大吉と美香を討ち取れ~」
「外様は一生地下牢に幽閉だな」
だがクーデター兵が東京に着くと、東京は300人の警察官に守られていた。
外様を見捨てた警察官である。
「お前らか。さあ一緒に暴君外様を倒そう」
などと言うクーデター兵に警察官がいきなり投石で対応した。
銃弾は警察官の備品だから、許可なく発砲する訳に行かない。
「何をする?お前ら外様が憎くないのか?一緒に戦おう。そして日本に未来を・・・」
これに対して警察官たちが答える。
「外様は憎いが、だからってクーデターで人心を乱して良い筈がない」
「あんたらは命に代えても警察官として、俺達が逮捕する」
「サッサと軍門に下れ。外様にはチクっておいたから、直ぐに戻ってくるぞ」
これを聞いたクーデター兵は200人が武器を捨てて降伏した。
残りが首都圏の田舎都市に立てこもり、抵抗を続ける外様派を圧倒する。
「おい。外様を支持しなければ今のようにクーデターが起こるぞ。それでも良いのか?」
「お願いです。今は夫に従ってください」
譜代大吉と美香による説得に応じた者が数百人、首都近郊に集まってきている。
クーデター派の横暴を見て、事態の深刻さを悟った自衛隊は外様を支持する事にした。
たちまち首都は自衛隊の鉄壁の守りに固められる。
デモ隊も取り敢えず自主的に解散して、逃亡してしまった。
「おのれ~。俺達理想に燃えた革命軍よりあんな若造を選ぶのかぁ?」
「サッサと街を占領して、革命軍の旗を掲げましょう」
などと言ってる狩猟の野党指導者棒葉に小石がぶつけられた。
「何をするかぁ」
と叫んだその時、警官隊と自衛隊に警護された外様が現れる。
「そこまでのようだな」
「とっ外様ぁ・・・」
ここで棒葉はクーデターが失敗に終わった事を悟った。
今なら弁護士をつけてもらって無期懲役位には減刑されるかもしれんが。
「逮捕しろ。安心しろ。現行犯なら誰でも逮捕出来るのが日本の決まりだ」
これを聞いた自衛隊と警官はクーデター兵のこん棒と槍兵の中に突撃を開始した。
槍兵位警察学校で鍛えたその腕で蹴散らす事は可能だからだ。
「待て、抵抗するな。抵抗したら内乱罪になってしまう」
いや、今の時点で十分に内乱罪だから、一生牢屋からは出られないと思うよ。
「降伏すれば最高の国選弁護人を付けてやるぞ」
権力の乱用だが、平和の為には仕方ない事なのだ。
クーデターを抑え込まないと、アラブの春の二の舞になるだけである。
「本当に国選弁護人つけてくれるか?」
兵士の1人が問う。
「内乱罪は首謀者のみが死刑になる。だから最悪でも命だけは助かる筈だ」
て事は棒葉さえ差し出せば、兵士たる俺たちの命は助かると?
「棒葉さん。お許しください」
いきなり背後から棒葉を殴りつけて数人がかりで取り押さえた。
「お前ら。俺を裏切るのか?」
「俺にも妻や娘がいるんです・・・」
「俺の娘がテロリスト扱いされるのも棒葉のせいだ」
内乱起こす前に気付けよと思ったが、ここは寛大な処置で恩を売っておこう。
「さあ棒葉の身柄は引き渡す。降伏を認めて裁判にかけてくれ」
「よろしい。残りのメンバーは、飛行機を手配してやるから外国に亡命してくれ」
この少子高齢化の時代に1600人もの若者が他国へ行くのは痛いがどうしようもなかった。
このクーデター事件で自衛隊と警察官の支持を得た外様は、東京の8兆円の経済圏を手中に収める事になり、支持率も0.5%まで跳ね上がる事になる。
クーデターに参加した野党議員は根こそぎ辞職を余儀なくされ、司法取引で田舎に去った。
外様竜一の政治改革は軍隊と警察の支持の下、かろうじて継続される事になったのだ。
今の日本にクーデター起こそうなんて考える議員はいないと思いますが。