2部 外圧
いよいよ外圧の登場です。
4月、税収が110兆円と決まると即座に暫定予算が組まれる事になったが、外様はそのうちの5兆円を金を貸してくれた3国への融資に使う事に決め、野党に賛成されたがアメリカが怒りだした。
「何故米軍基地問題で日本を守ってやってるのに、アメリカへの融資が少ないのだ?」と言い出したのだ。
お金を貸さないと、アルミと鉄鋼の関税を引き上げると脅しをかけてくるが、日本はへこたれない。
「アメリカの覇業にこれだけ貢献した日本を批判するとは、血迷われたのですか?大統領殿・・・?」
「そんな事はどうでもいい。金を寄越さないと関税引き上げるぞ。アメリカ車の日本での販売を促進するべく関税を引き下げねば、テロ支援国家に認定するぞ。それでも良いのか?悪いのは日本だ」
アメリカの大統領と某国は、黒字化した日本にたかろうと経済制裁をちらつかせて交渉してきた。
だが最近はアメリカとは商取引も控えめだし、アメリカと取引停止になるのは構わないと外様は思う。
「どうぞご自由に。だけど日本を見捨てたら、ギリシャ危機など及びもつかない程の大恐慌が・・・」
脅しには脅しで対抗するしかないが、「アメリカを脅すのか?テロ支援国家の分際で生意気な」となってしまい、西洋列強はアメリカを支持する事になるが、日本との商取引は止めない。
「アメリカにお金貸して、ご機嫌を取った方が良くありませんか?秘密にアメリカに貢ぎましょう」
「外様もアメリカを敵に回しては商売ができなくなることに気付いてほしいと思うのだが」
結果アメリカは企業からの賄賂を10兆円も秘密裏に貰い、日本に対する態度を軟化させた。
「外様総理。アメリカは何故態度を変えたのですか?企業が賄賂を渡したとの情報もありますが」
予算審議で予算が成立した後この問題で、外様は叩かれる事になるが平然と言い返した。
「あれは企業が勝手にやった事。外様政権が指示した事ではないと思いますが。違いますか?」
確かにその通りだが、この好機に外様政権の支持率を下げようかと思う野党であった。
「否定するのは当たり前。外様政権と裏取引のあった企業すべての証人喚問を要求する」
事実無根なので証人喚問を拒否したのがいけなかった。
「与党は企業と裏取引をしている。即刻辞任しろ」と世間の目には映るのである。
「なんだとお?俺は潔白だ。デモを裏で組織して略奪行為に励むような奴に負ける訳にはいかない」
もともと予算を成立させる為だけに成立した外様政権であるので、風向きが変わると世間の目は冷たい。
「こんな奴だと~?議会軽視の外様政権を退陣に追い込もう。アメリカの力を借りよう」
「証人喚問を要求する。外様政権は財政の黒字化に成功したからもういらない」
外様政権は証人喚問に応じたが、元々が無実なので何も答えが出てくる筈もなかった。
「俺は無実だ。アメリカには1円も支払っていない。タイとトルコとフィンランドには5兆円貸したが」
「黙れ。外様政権は嘘を付くな。国民は全てお見通しだぞ。大人しく辞職しろ」
「内閣不信任案を提出する。外様はサッサと総理を辞めて一般人に戻れ~」
汚職の容疑で警察まで動員して調べ始めたが、アメリカに賄賂を贈った企業がわんさか出てきた。
当然外様に名前はそこにはないのだが、野党は納得せずに追及を続ける。
西方では国民の300万人規模のデモが起きていたが、外様は鎮圧出来なかった。
鎮圧すれば、デモを弾圧した総理として名前が残るだけである。
「え~いやけだ。解散総選挙でも行ってやろうか?国民に真意を問うのが一番だろう」
税収は110兆円(支出102兆円)食料自給率65%、出生率1.52%の功績もある。
辞めると言ったら引き留めてくれるかも知れないと外様は思った。
だがこれは最後の手段にすることにしよう。
「小麦の自給率が65%。税収が110兆円。出生率が1.52%の俺の治世に文句があるのか?」
外様政権3年目の4月に、これだけの成果を上げた事は野党を黙らすのに十分であった。
「内乱を2回も起こされる国に住みたいとは誰が思うか?あんたのせいで何人が濃く材追放されたか」
「就職内定率が95%の日本にしたのは誰だと思っていやがる。争いは止めよう・・・」
だが外様がこう言っても、野党が黙る訳はないので外様は野党の悪事を公表して、野党の主力派を辞任に追い込むことに成功するが、外様政権も2人が辞職する事になった。
「外様総理は俺達がデモ隊にお金渡してることを知ってるらしい。下手に騒げば証拠を開示される」
「だがこうなったら俺達のクビは覚悟しておいた方がいいだろう」
外圧によりこの時アメリカは日本を正式にテロ支援国家に任命した。
金の無心を断られた腹いせに、テロ支援国家に指定するような国であるかは分からないが。
「経済制裁だ。従わない国はテロ支援国家に指定して、日本の二の舞になるぞ」
アメリカは内戦が続くY国への軍事介入で疲れ切っていた。
Y国に逆らう武装勢力風の党を完全に駆逐する為にY国の政府軍を傀儡化しようと企んでいる。
「風の党鎮圧の為の兵を出すなら、テロ支援国家を解除してやろう」
「断る。そもそも日本を非武装国家にしたのはアメリカじゃないか。今更方針転換は困る」
「テロ支援国家が生意気だ。貴様らはアメリカの言う通りに働いていればよいのだ。
アメリカは怒って日本との取引を全面的に禁止して、日本が枯渇するのを待つ事にした。
「証人喚問は中止だ。アメリカ問題を話し合うぞ」
「外様が無実なのは分かった。お金払っていたらアメリカの機嫌ももう少し良いだろうからな」
取り敢えず鉄だけでも輸入先を確保しておかねばならないので、備蓄鉄を消費することにしたのだ。
備蓄鉄を使いつぶしながらアメリカの機嫌が直るのを待つ事にしよう。
「10兆円融資したのに、テロ支援国家にされてしまった」
「俺達の稼ぎを返せ~」
まあこうなっては仕方がないのでアメリカとは密貿易をする事にした。
アメリカだって日本を完全に敵に回したら自分たちも危ない事位分かってる筈だと日本企業は思う。
日本は好景気もつかの間、外圧によってたちまち苦境に陥る事になったのだ。
しかしヘイトスピーチとかは、個人や民族を攻撃しなければ大丈夫でしょう。
アメリカは多民族国家ですから。