漁業権の戦い
漁業権がテーマです。
6月、政府は自衛隊の主力部隊陸上自衛隊5万と海上自衛隊1万を全国の漁業に派遣した。
まあ農業と違って漁業ではやれる事も少ないが、取り敢えず魚の餌やりと放流の手伝いを行う。
養殖魚の管理と販売を手伝う事によって、魚の生態調査と漁業権が不明の漁場を探し出す努力もする。
新規に参入を希望する漁師が、認められずに密猟者になるのを防ぐべく不明の土地は登録を抹消出来れば、密猟者も喜び、悪事を辞めるに違いないので臨時国会で討議するように野党に通告した。
「いよいよ漁業改革か。まああると思ってはいたがどうする?総理に反対意見出すか・・・?」
そうは言っても外様をけなすだけならやらない方がマシなので、野党議員も及び腰だ。
「下手に文句言うような状況でもないだろう。この事案は賛成しておこうぜ」
野党のこの言葉で、臨時国会は4日で終了したが、野党は外様を失脚させる機会を待ってるだけだ。
与党と野党では、どうあっても仲良く出来ないのが普通の国の国会であるのでそれは仕方がない。
漁業権の一部初脱法と名付けられたこの新法は、全会一致で可決されるがこれに反対する国民もいる。
漁業権の侵害を恐れる漁師と、釣りが出来なくなるのではないかと危ぶむ釣り師達である。
反外様派は、この漁師と釣り師を背後で操って、西方でデモをやらせて打倒外様の機運を高めた。
支持率も強権的な政策が災いして、26%と低めだが消費は落ち込んでいないので見捨てられてはいないらしいと、外様政権の譜代大吉などは思っている。
「外様政権は漁師と釣り人の権利を守れ~。ついでに釣りを合法化しろ~」
などと叫んで一部暴徒化する民衆もいたが、政府が説得すると即座に逃げ去った。
釣りは漁業権を持つ漁師にお金支払わないと出来ないシステムの筈だが、守る奴は少ない・・・。
「外様政権を倒す為100万人規模の署名をしよう。重複署名で70万人は浮かすぞ」
「署名人数の水増しは不味いんじゃないか?外様に余計な弾圧の口実を与えるだけだと思うぞ」
などと評判は悪いが、北のマグロ業者や鮭業者に蟹漁師は外様の手腕に期待した。
食料自給率を1年で21%も押し上げた奇跡の英雄に期待しようと支持を表明したのだ。
これらの漁は、昨年から禁漁になっているので、高価な輸入産のマグロに鮭に蟹を国民は食している。
「密猟が絶えないので中々数が回復しませんが、今年は調査漁は行う予定です」
魚の生態調査と漁師の訓練の為に、幾ら禁漁でも多少は漁をしないといけないのがジレンマだ。
まあ日本の漁船を見ると外国の密漁船は一応逃げるので、調査漁は欠かせない。
「もう心配するな。幾ら外国船が横暴でも、海上自衛隊の軍艦に楯突いたら戦争になるからな」
「日本を敵に回しても良い事は無いだろうと、分かってくれるといいんですがね」
それでも1日でも早く育てて数を回復させようと餌やりと養殖魚の普及は積極的に宣伝した。
それを聞いた某国は激怒して日本を批判するが、最近は文句だけで暴動を起こさないから有り難い。
「日本は我らの海を不法に占拠している。日本には我が国の名において厳重に抗議する」
最近和平の機運が高鳴ってきてるので怒らせてはいけないと、話し合いは行う事になる。
結局話し合いは、某国と日本が日本海の魚を共同管理することで落ち着いた。
だが某国漁師の反対で交渉は白紙に戻る事になり、日本に漁業権の割譲を要求してきたのだ。
話し合いに応じた事で日本与し易しと思われたらしい。
だが今度は外様も無視したので、某国は日本の領土に軍艦を派遣して脅しにかかる。
「流石に軍艦に発砲はしないと思うんですがね。日本は弱腰だからすぐに他国の要求のむしな」
「交渉も失敗に終わった事だし、食料の確保に努めましょう。自衛隊には調査をお願いする」
「川魚なら某国も脅し取りようがないから、川魚食べたらどうですかね?ブラックバスとかブルーギルとか結構美味しいから俺達は食べた事あるんですよ」
この言葉でブラックバスとブルーギルが大量に捕獲され、売りに出される事になった。
外様の言う事を信じる外様信者が人口の10%もいて、それらが外来魚を安く買っていく。
こうなると残りの民衆も興味本位で食べるようになるもので、外来魚はほぼ駆逐された。
人間が本気で外来種を絶滅に追い込んだら、こんなスピードでは収まらないだろう。
「カミツキガメがこんなに美味しいとは思わなかった。ザリガニも美味いよなぁ。こんなのが1匹300円で売れるんだぜ。俺もザリガニ業者に転職しようかなぁ」
何か楽そうな商売に思えたらしく、自衛隊員の1人がぼやくが漁師達もそれには依存は全くない。
罠を仕掛けておくだけでザリガニが勝手に集まってくれるのである。
集まったザリガニは知り合いのフランス料理の店に持ってけば小銭をもらえるのだ。
「俺達の海から出ていけ~」
しまいには日本の排他的経済水域の目の前で軍事演習を始める始末だ。
それでも日本には抗議するしか出来ないのである。
「じゃあ漁業権をやるから密猟はやるなよ。この次は見逃さないからな」
横暴な某国はほっておいて、密猟者に漁業権を割り当て始めたのだが、漁師の反発は激しい。
特に自衛隊の勢力が浸透していない西部では、反外様派が漁業権の確保を叫んでいた。
「強行すればストライキをやると言っています。ストをやられたら税収が減りますよ」
「竜一さん。漁師は禁漁で苛立っています。小麦と豚肉を売りにいけばいいと思いますけど」
美味しいものを食べれば少しは気分が、反抗する気も失せようというものだ。
「漁師諸君。俺は別に諸君の利益を侵害する気は全くない。ただ漁師のいない漁場に魚が沢山いるのを放っておく事は日本国や漁師諸君の利益にも反すると信じるからだ」
外様竜一がテレビで演説をすると漁師達はネットに投稿して、反対意見を述べた。
だが外様の言い分ももっともなので、反応は鈍いばかりか漁師の体制を批判する声も出てくる。
漁師の下に大量に届けられた食料も(これは一応商取引です)漁師の反抗心を鈍らせている。
「私が諸君に求める事は、密猟者達や新規の漁業志願者に漁場を分けてほしいという事だ」
誰も漁師がいない海なら、分配してもどっからも文句は来ない筈だろう?
「俺は漁業はまだまだ1兆円は税収を取れると思っている」
この言葉に漁師の目が光った。
この貧乏に悩む漁師から、1兆円も新たに税を徴収する心算なのか?
「禁漁してるのにどうやって1兆円も税金納めさせる心算なんだよ?これは許せん」
「まずは外様から税金を納めるのが筋論ってものだ。外様はいくら納税していんだ?」
それでも出稼ぎに出て税金を納めようと考える漁師もいたが、外様なら漁師農民林業を救ってくれると信じればこその行動であり、それは近い将来実る事になるだろう。
税収103兆円の皮算用は、7月の時点で民衆に広まっており、それが漁師のやる気を上げている。
将来どうなろうと、少なくとも来年は大丈夫そうふぁと思う漁師達であった。
「出稼ぎ労働者も正社員扱いじゃないといけないのか?こいつら望んでフリーターやってるんだろ?」
漁師にしても、正社員扱いでは農業が出来なくなるから非正規社員でないと困るのだ。
「外様を助ける為に財産の殆どをはたいたんだから、暫くは社員の賃金下げたい・・・」
「駄目だ。給料下げるなら俺達はストライキ起こすぞ」
「じゃあ値上げするしかもはや方法がない」
「もやし農家は一袋19円で販売してるんだから、もやし農家を見習え」
社員は人手不足をかさに着て強気一辺倒の回答だ。
値上げすれば安いスーパーに客が流れるだけだから、困るのは企業だけである。
「最近魚が仕入れられなくて困っているんです。奇妙な魚ばかり店頭に並ぶし」
兎に角釣り客から買い取ったり、レアな魚で穴埋めしたり業者も大変だった。
漁師はこの不景気に対応するべく、自衛隊に頼る事になる。
人のいない漁場をどうしようと文句言われる筋合いはないと思います。




