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黒と蒼空の魔導戦線  作者: 悠
7/15

第4話

第4話でございます。うまく時間を調整して、土日で1話投稿していく感じにしようかなと思っておりますので、よろしくお願いします。

 「おう、お疲れさん。無事で何よりだ。」

 天照へ戻った後。彼女たちが制服に着替えてロッカールームを出てくると、翠人はいつも通りに気の抜けた言葉をかけた。当の詩織はといえば、腰に両手をあてて膨れ面をし、「怒ってますよ」オーラを全身から放っていたが、翠人はまるで気付いていない。他のメンバーはと言えば、時雨はただボーッと突っ立って虚空を見つめ、舞はその背中越しにニヤニヤしながら二人を見ているしグラフィス兄妹は妹が兄のだらしなく着崩された制服を直していた。何度もいうが、本当に纏まりがない。

 「えーと・・・何か怒ってる?言ってくれなきゃ分からないぞ?あと、無言で近づいてくるの怖いんでやめてくれないかな?」

 「・・・(怒)。」

 詩織は黙りこくったまま。翠人が顔を青ざめさせながら1歩下がると、詩織は無言で1歩翠人へ近づいてくる。さながら、隠し事がばれた彼氏に彼女が詰め寄っている、という修羅場をまんま再現したような光景だった。

 「やっぱ何か怒ってるよな!?あれか!?俺の指示が紛らわしかったのが気に障ったか!?それぐらいで怒るとか大人げなっ・・・痛ァー!」

 「・・・っ!(怒)」

 発着場に翠人の悲鳴が響き渡る。見れば、超至近距離まで詰め寄った詩織が彼の脇腹をつねりあげていた。周りのメンバーはといえば、舞とアイナは必死に笑いを堪えているし、レオはレオで大爆笑、時雨はやっぱり無表情だった。まぁ、周りからすれば、いつも二人一緒にいるのもあって「夫婦漫才」みたいな感覚に見えているのだろう。

 「ちょっ、それ以上はまずいって!?それ以上引っ張られたら肉が、肉がァァァ!?」

 ・・・まぁ、やられている本人からすればただの苦痛でしかないのだが。

 「・・・なにしてんだ、お前ら?」

 と、発着場の出入り口からそんな声がして、雲河と優衣が入ってきて、ようやく翠人は解放された。床に踞って脇腹を押さえながら痛みに震える翠人を尻目に、詩織はさっきと打って変わって爽やかな笑顔と共に、

 「ちょっと翠人にお仕置きしてました⭐」

 などと嘯いた。他のメンバーは相変わらずニヤニヤしながら二人を見ているし、雲河と優衣の二人からは呆れた目を向けられて、翠人は心中で「理不尽過ぎる・・・」と呟いていた。

 

 「まぁ、とりあえずお疲れ様でした。明日もよろしくお願いしますね。あ、お仕置きされたくないからってサボらないでくださいよ、翠人さん。」

 そう優衣に言われ、翠人は「ふぐっ」と唸った。ちょうど、「お仕置き食らいたくないし、明日は体調不良を装ってサボろう」と考えていた所だったのだ。

 「あ~き~と~?サボるつもりだったのかな~?」

 「ソンナワケナイジャナイデスカヤダー・・・っとぉー!」

 脇に伸ばされた手を無駄に綺麗なバク転でかわし、その勢いで発着場を出る。「んじゃ、お先!」などと言葉を残すと、全速力で走り去っていった。

 「あっ、こら、翠人!まだ話が終わってない!・・・あぁ、もう。すいません、私も先に戻りますね。」

 そう言うと、詩織も小走りに出入り口を抜けて翠人が走り去った方向へ駆けていった。残された6人の内、メンバーの4人は「平和だなぁ」などとのたまっていたが、苦労人の残り二人はそんな4人と、出ていった二人の顔を浮かべて溜め息をついていた。


 「もう・・・しっかりしてよねー。翠人は副隊長なんだから、もっと自覚持ってくれないと困るんだけど?」

 「悪かったって・・・。そんな怒るなよ。ていうか、元から俺はお前みたいに上手く指示出すの苦手なんだから。上手い指示出せって方が無茶なんだ。」

 「はぁ・・・全くもう、このバカ翠人・・・。」 

 哨戒任務を終え、皆が解散した後。小隊寮にある二人の相部屋で寝転がっていた翠人を捕まえて散々説教をした時には、もう夜の8時を回っていた。今は若干遅めの夕食を共同で作っている最中だ。これが出会ったばかりの男女ならばラブコメ展開が始まる場面だろうが、この二人に関してはその限りではない。

 何しろ翠人と詩織はもうかれこれ8年以上も顔を合わせ、彼の両親が行方不明になってから今までの8年は一つ屋根の下で同居してきたのだ。今更ラブコメ展開なんぞ起きたりなど、そうそうあり得ない。

 「はい、これ先に並べておいて。後は一人でも出来るから、翠人は座ってていいよ。」

 そう言って詩織が差し出してくる料理をてきぱきと翠人が食卓へ並べていく。端から見ると、よくある夫婦のやり取りに見えるような光景だった。

 「「・・・じゃ、頂きます。」」

 二人揃ってそう唱和し、遅めの夕食を食べ始める。食卓には豚肉料理や山盛りのサラダなど、まぁ何とも詩織らしい料理が並んでいた。

 「あー・・・やっぱ詩織の料理は旨いなぁ。ここが空の上じゃなかったらさらに良かったんだけど。」

 「褒めたって何もないからねー。あ、ちゃんとサラダも食べなきゃダメだからね。バランス良く食べないと体に悪いから。」

 「へいへい、分かってるよ。」

 という感じの、いつもの会話。こうしてみると、今の翠人は以前と比べてだいぶ変わったなぁ、と詩織は思う。日常生活や小隊活動もそうだが、何よりも彼女と一緒にいる時の彼の様子が違うのだ。

 以前の翠人は、彼女と一緒にいる時、表面的にはリラックスしているように見えても内面では常に回りに気を張っていた。だが、今の翠人は彼女と一緒にいる時や小隊仲間と馬鹿騒ぎしている時、心の底からリラックスして、日常を楽しんでいるような・・・そんな雰囲気を纏っている。それが、最近の詩織が一番嬉しいと思った事だった。

 「ほんと、良かった・・・。」

 そんな独白が漏れる。その顔には、心からの安堵が見てとれた。

 「・・・ん、何か言った?」

 「ううん、何でもない。さ、早く食べて片付けちゃおう。余り遅くなると明日の哨戒任務にも支障が出るしね。」

 そう言って、いつの間にかかなり減っていた料理をかきこむと、今度は二人で後始末をする。静かに、時間は過ぎていった。


 次の日、いつも通りに登校し、予定通りに哨戒任務をこなす。翠人の指示に従っての行動が効いたのか、黒呪生物(カーズ)の気配は見当たらなかった。

 その状態が何日か続き、哨戒任務20日目をこなした頃。深夜4時半という、まだ日も上がっていない時間帯。黒呪生物(カーズ)の襲撃を知らせる警報が鳴り響いた。

 

どうも皆さま、おはこんばんにちは。悠でございます。

まずはここまで読んでくださった方、ありがとうございます。まだまだ至らない部分はあるでしょうが、今後とも読んでくだされば幸いです。

えー、それでは、この第4話についてですが・・・まぁ、一言しかありません。


「これ、よく考えたらラブコメ展開になってないか?というか二人の場面描写明らかそうなってない?」


・・・はい、これですね。ひたすらこれに尽きます。本来の予定だと、二人のこういう姿は後半になってから出す予定だったんですよ。詳しくはネタバレになってしまうので言えないんですけどね。

でもまぁ、二人のキャラ設定上、どうしてもこういった展開が多めになるのは目に見えてたんですよね。なので、開き直ってこういった展開も日常の中では惜しみ無く出していこうかな、と思ってます。

前書きにも書きましたが、これからは土日で1話~2話を週1間隔で出していこうと考えています。何とか時間を調整した結果、これが一番時間を確保して執筆できると判断しました。

余り長くし過ぎるのも良くないでしょうし、これくらいにして挨拶をば。

皆さま、改めて、この第4話を読んでくださりありがとうございます。次の話では、いよいよ戦闘回に入りますので、私も気合いを入れて書いていく所存です。

ありがとうございました。

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