世界観設定
皆様、こんばんにちは。悠です。登場人物紹介に続き、世界観設定を書かせていただきました。多少分かりづらい部分は言ってくだされば補足いたします。
2025年8月14日、ある海水浴場で不可解な事件が起きた。その内容というのが、「午後6時半頃、ビーチで海水浴を来ていた客が一人残らず、30分程の内に失踪した」というもの。
その海水浴場はあまり知られていない、所謂「秘境」と呼ばれるもので、その海水浴場を管理していて定期的に町の方へ出てくる旅館の人間以外に人が通る事など滅多にない場所だった。当事旅館には一般客・VIPを含め118名の宿泊客がいたのだが、その内の90名が午後3時頃から事件発生の午後6時半までビーチにいた事が確認されている。残りの28名は温泉に入っていたり、宿泊している部屋で休んでいた。
旅館の支配人によれば午後6時半頃は宿泊客に出す食事を準備していた時間帯であり、当事は外に出ている従業員は一人もいなかった。食事の準備が終わったのが7時過ぎ。支配人がまだ戻ってきていない宿泊客がいる事に気づいてビーチに向かった所、宿泊客に旅館側が貸し出したパラソルやビーチチェアが散乱しており肝心の宿泊客が全員いなくなっていた、という訳だ。そして何より不可解なのはーーーそのビーチのあちこちに飛び散っていた黒光りする粘液と、ビーチに残されていた、巨大な何かで砂が削り取られた痕跡であった。
この粘液は警察により回収されて総合科学研究所に送られ、詳しい成分検査が行われたが結果は「成分不明」。全くもって未知の物質である事しか分からなかった。余りにも不可解すぎるため、この事件は日本政府にも伝えられ、政府代表を通して国際連合の会議場で全世界に伝えられた。すると、驚いた事に他の国からも似たような事件の報告が挙がったのだ。
例えば、アメリカ・ハワイでは浜から30キロほどの沖で漁をしていた漁船団が海から突き出てきた巨大な触手に襲われ(生き延びた漁師談)、6艘の内1艘だけがボロボロになりながらも帰還した。
サウジアラビアでは深夜、空から現れた黒い生物に油田が襲撃されて大火災となり、多大な経済的損害を被ったという。そしてその現場には、決まって黒光りする粘液が残されていたのだ。
国際連合は以上の事からこの案件を最重要案件とし、各国に協力を呼び掛けた。幾度となく会議が開かれ、この案件について話し合いが持たれたが如何せん手掛かりが少なすぎる事もあり、平行線を辿り続けた。そうしている間にも同じような事件の報告が挙がり続け、2052年12月20日。決定的な事件が起きた。
日本の首都・東京。クリスマスムードに湧く渋谷の上空に、突如として巨大な生物が現れた。それは長い尾と巨大な翼を持ち、身体中を黒光りするあの粘液で覆われた竜だったのだ。一瞬にして渋谷はパニックに陥り、人々は逃げ惑う。それを睥猊していた竜が咆哮を上げると、今度は楕円形の扁平な身体をした虫が空から飛来し人々に襲いかかった。華やかなクリスマスは一瞬にして、地獄のクリスマスへと変わってしまったのである。
各国でも同じように、空から黒い化け物が飛来し人々を襲った。各国は軍事兵器で対応していたが、際限なく湧いてくる化け物に対してこちら側の物資は激減していくばかり。どの国も疲弊しきった頃、アメリカの首都・ワシントンで化け物の大規模襲撃が起きる。主導者であったアメリカがやられれば人類は終わる・・・人々が絶望しかけた時、どこからともなく放たれた炎が化け物を焼き払った。人々が視線を向けた先にあったのは、一人の青年が両手に灯した炎を化け物に向けて撃ち込む姿。結果として化け物達はその青年により全滅させられた。
その青年以外にも、各国に青年とよく似た力を使う者たちが現れた。彼らはは国際連合の要請を受け、彼ら自身もよく知らないその不思議な力の解明に協力し、後にこれを「魔力」と名付けた。そして彼らの遺伝子を小さな子供に与え、魔力を持つ人間が自然交配で生み出るようにした。
2100年代になると自然交配により魔力を持つ人間は少しずつ増え、一時期は最盛期の半分以下にまで落ち込んだ世界人口も生存率の上昇により再び増加、最盛期の6割ほどにまで回復した。次の段階に会議を進める事が出来るようになった国際連合は地上に住む人々を守るために魔力を持つ人間ーーー「魔法士」を空に常駐させる事を決定し、2097年にアフリカのダイアモンド採掘場から偶然発掘された魔封石(魔力を内部で半永久的に生成し、蓄える性質を持っていた事から名付けられた)を動力として各国ごとに所属する、魔法士を育成するための「学園特化型空中都市」、黒い化け物ーーー黒呪生物の研究や魔法士の武装開発などをするための「研究特化型空中都市」、他とは違って決まった属国を持たずに黒呪生物の討伐を目的として各地を飛行する「戦艦型空中都市」の建設が進められた。
それからさらに時が過ぎ、2752年。現在の空中都市の数は300を越え、魔法士の数は3万ほど。
長文を読んでくださった皆様、ありがとうございます。この世界観を基本に物語は進めますので、これを読んでいただければ本編にて「どういう事?」となるような事にはならないと思いますが、もしなってしまった場合は言ってくだされば補足いたします。