表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

とある馬鹿やろうの悪夢から目覚めた朝のこと

作者: 現地住民

途中まで、今朝見た夢をそのまま書きました。

ちょっと精神的にアレな、鬱な雰囲気です。苦手な方もいるかもしれません。

最後は前を歩いていく感じで明るいつもりですが、無理と思ったら読むのやめてください。

最初の二つの台詞枠が空欄なのは、単に忘れてしまったからです。すみません……。なんかしっくりくる台詞が見つからなくて。いい案、あったら教えてください(笑)


電光掲示板。裏に響くのは聞かせるためじゃない全部ずれた音響ばかり。

ここは聞かせるための場所じゃない。聴かせるのを今かと待ち続ける人間が待つ場所だ。

ほとんど初対面のメンツに頼まれて飛び入りした俺はうたいたい人間。望まれてうたいたい男。選ばれてうたう男。

それまでこいつらとうたってきた男が誰か。俺はそれを知らないが、俺は俺のうたい方しかできない。

「            」

はっとした表情で誰かが俺を見上げた。三白眼よりの目が、見上げた気配。それを俺はちらりともみない。

俺に言えるのはそれだけだから。

もうステージが俺たちを呼んでいる。慣れてしまえばもう時間だと、行かなくてはとわかってしまう。俺たちはその空気に押し出されるようにして、自然と足がステージへと向かっていくのだった。




電光掲示板。裏に響くのは聞かせるためじゃない全部こもった音響ばかり。

その場所にいることが心地いい。俺は聞きたいわけじゃない。聴かせるのを今か今かと待ち続けている。

今日は二回目のライブの日。会話をまともにしていなくても、音を聴かせることは十分にできた。俺たちはそれで飯を食いたい男たち。

それまでこいつらとうたってきた男は彼らのその夢と同じ夢は見なかったとネットできいた。よくある話、へえと思った。

「                 」

え、と言ったか、そんなことより、え、と思った。

なに、冷水ぶっかけられた? 目だけでそいつをおそるおそる見る。ホラー映画で戦々恐々と見てしまう気持ちで。

どう聞いても悪意で、ぶちまけられた。それが、それでも信じたくなくて。

でも、どう見ても、見ても、そいつは俺に悪意をぶつけた顔してた。

これ、だ。血の気ひくって、これ。超気持ち悪い。生唾、ごくん。でものどカラカラ、で、結局気持ち悪い。

悪意は、含んだ音の中で、俺の耳が間違いなく拾ってしまった。

「って、クソ美が言ってた」

ええ? ええ? クソ美って、なに。視線で促されるように、悪意の向こうに悪意がいた。

「ぶっちゃけるなよ。馬鹿かお前」

「えーなんで、ぶっちゃけちゃえって言ったんお前ら」

「それオレオレ」

「てか、お前さ」

もう、涙が出そうで。怖い。でも、涙出せねー。だって、怖い。まだこいつら俺に悪意、俺を殺すの。

「まさか自分がすげーとか、かっけーこといったとか思ってんの」

一番奥でデリカ。そう俺のこと。デリカの名前が点滅してる。

でも目をかっぴらいで俺が目を離せないでいるのは、デリカじゃない。悪意だ。

ロンゲのギター持ってる一番大人なその男、クソ美。

「それっぽいこと言ってドヤ顔とか、お前なにわかった気になってんの。俺たちがどんだけの思いで続けてきたと思ってんの。それを昨日今日はいった新入りのお前が、なに。お前、ナルシストのナル男くんなの」

ガツン。これやばいよ、ぶたれるよりあれ、超クルよ。怖い、なにこの人ら。なんでゲスく笑ってんの。ああ、怒ってんの。俺を傷つけたいから笑ってんの。

「うたうたえるから入れてやっただけのやつが、調子こいてんじゃねーよ」

そいつが言ったのはそれだけまでだった。

もうステージが俺たちを呼んでいる。慣れてしまえばもう時間だと、行かなくてはとわかってしまう。どんなに俺がうたえねーよと思っても、俺たちはその空気に押し出されるようにして、自然と足がステージへと向かっていくのだ。向かわなければいけない、それが最後に残されたプライドだ。



それっぽいところでそれっぽいひとがいた。

俺はそれっぽい人がポケットからちょろりと見せつけるそれがそれだとわかって、それを受け取った。



「何してるの、デリカ?」


学生服。よく知ってる女の子、な気がする。

ボブカットな茶色に髪染めた、それだけの普通のいまどき女子高生。

からりと晴れた空色を見上げて、してやったりと口をにんまり弧をつくった。


「薬、やっちゃった」


もうそれから覚えてない。ただ、それから誰も俺のそばに、そばに誰、誰もいない。誰もいないんだ。そればっかり。



俺は求めて、自分がそれがほしいから、余裕なんかなくて、それがわかってる笑顔でそれを見せつけるそれっぽい人から、それを受け取る。

俺はそれを求めていたわけじゃない。だけど、やっちゃったら、もうそれを求めてるに変わっちゃって。ああ、あっちゃあぁ……だ。

あてつけ、そう、きっとあてつけだった。あてつけでちょっとやって、やらかし、してしまった。ただそれだけだった。俺の痛みをわかってよ。痛かったんだよ。でもそれっておれ、あいつら、俺をきっと見限る。

あれからなんだかんだで、何も言葉、言わなくなって、でも、そしたら俺はあいつらのバンド、続けてる。

関係、仲良くはない。ただ、俺はあいつらの言う通り、うたってりゃいい。それだけ求められてて、なにも言われない。

もう、怖くって、のどがこびりついて、喋れない。薬ないと、俺、もう外でらんない。

俺が薬やってるってわかったら、きっとあいつらは俺を、俺をもっと見下す。最初、見下してたそれが、もっと、馬鹿を見る目に、ひどくなる。

すんばらしい人はあの怖い悪意を、乗り越えちゃうの。そんな、無理だ、俺には。できない。

だって俺はクソ美の言う通り、ナルシストのナル男くんだ。間違いないよ。なんかあの時、ちょっと俺の鼻ピノキオだった。

本当のこと言われたから、めっちゃ恥ずかしくって、ダメでダメなやつ。でも、俺はあんなの無理だ。どうして、どうしたってあんな集団の、仲間になるやつ全部の悪意、怖いし。一方的にぶっけられても、こんな、こんな気づいたらひとりで、どうやって道が、俺は正しくなるの。みんながすんばらしいっていってくれる、正しいって言ってくれる正しい俺になんの。

ただ悪意を悪意でしか受け止められない俺が、どうしてひとりで怖い俺が、あてつけに薬やっちゃう俺が、もう怖くて怖くて逃げまくって悪くない周囲を悪者にしてでしか自分を保てない俺が、正しいもの見つけられる。そんな、無理だよ。怖いんだよ。息が、息が、苦しくって、なんでそんな俺じゃだめですか。生きてる価値ない? 正しくないって、ナル男だって言われたら、そんで悪意ぶっけられたら、もう今までの俺じゃいらんない。俺でいたくない。俺でいたら怖い。また、ナル男って、いうんでしょ。

書店探してもどんなに探しても、俺みたいなクソなやつのただし方、書いてないんだよ。みんなすんばらしい心の人が不当に傷つけられてそれから立ち直って生きるための方法しか書いてない。クソの生き方書いてねーよ。

クソな俺は死ねってこと? 無言に俺に死ねって言って、無言で次は俺に死ねって言ってる、言ってるんだ。無言に世界が俺に死ねって言ってる。別に死んでもこまんないから。いなくても、なんだかんだで世界はまわるし。

バンドもそう。まだだまってうたってるからいられるだけで、薬やってるってばれたら、また調子こいたこと言ったら、余計なことしたら、またあいつらみたいに俺に悪意ぶつけるだけぶつけてぽいっと捨ててしまう、捨ててしまえばあいつらにとってはもうそれで終わりなことだから。ご縁がありませんでした、さようなら、お元気で。面倒なやつ、わざわざ関わりたいって思うかよ。俺だってやだよ。こんなクソ。超面倒なの。

だけど俺、俺は本当にダメなの、だまってうたって、調子こかない俺で、薬やってるってばれない俺で、こんなクソなままで、別にどんなダメでも「ダメじゃない」なんて本やテレビ越しに言われても、そんなん3日で忘れてしまう。俺、いてもいいって、誰か生身で言ってほしくて。そんなこと思ってる、超独りよがりな俺が、気づいたら、うわ、キモイって、思ってからキモイって気づいて。でも、それってやっぱりフツーの人からみると、ダメなやつなの。死んじゃえばいい? ああ、きっとどうでもいい。

認めてってすがったらだれか優しいカウンセラーが俺を認めてくれる。どんなクソであっても。なんてすんばらしい世の中なんでしょう。お金と引き換えだから全然不安じゃない。あは、馬鹿か俺。違うのに、そうじゃない、そう違うのに。

無条件じゃないんだ。なんかして、その代わりに俺に何かを思って、文句言って、認めてもらえる俺になんなくちゃいけないのに、俺がダメだから。人に余計なこと言うの、言ってそれでなんか思われるのが怖いんじゃ、どーしようもないじゃん。

すんばらしい俺になんなくちゃって思っても、その時点で俺って正反対の人間じゃん。クソ男はクソのままでした。

デリカの名前が電光掲示板。真ん中に、それは見慣れた。明日、明後日、3時間後、一年後? あれ、パッてもう消えてるかもね。俺、そう思ったらまだ涙あふれそう。だからまだだいじょうぶ。




もうずいぶんと誰かの目を見ていない。見れない。見ようと思うと薬飲んでも、吐き気めまい、のどカラカラでコンディションやばい。うたえることだけが俺がここにいていい理由なのに。それだけは逃せない。そこだけは踏ん張りたい。うたえばうたえば、俺は世界の参加権補欠枠ゲットー。

でもちょっと心の中で期待してる。俺がずっと黙ってるからこいつらが気にしてくんないかな。ただステージじゃないとこで「デリカ」って呼んでくれたらそれだけでいいのに。って俺、まじ成長しない。そんなんだからクソなんだって。独りよがりのよがり君。次はそう呼ばれちゃう。ああ、怖い。恐ろしい。よがり君って……わら。

吐いて見せたらかわいそうって思わないかなと思うよがり君。馬鹿だな、違うだろ。同情ひこうとしてるって蔑まれる、んだ、ろ。どうしよう、そっちのが現実的。

痛かったって訴えたら、以下略。捨てられるオチは揺るぎない。

うたう、うたう。俺なんでうたってんの。ああ、そうだ。文字通り、俺って生きるためにうたってんだ。お前いらねーからって、いわれるその時まで、もう何するのも怖いから、うただけうたって、それで用済みんなったら、俺は文字通り崖転げ落ちて、そんで死ぬ。死ぬ、しぬ。死ぬ、……死ぬ、俺死ぬのか。あいつらがいらないっていったら、俺は死ぬのか。なんで、なんででなんで。なんでだろう、どうして俺、あいつらが俺いらないなら死ぬんだろう。あいつらだってびっくりするわ。


ああ、そっか。俺はあいつらに後悔させたいんだ。そうだ、全部そうだった。何がクソって、それじゃん。俺の何がクソって、最初から全部、俺が苦しんでるの、全部お前らのせいだって、俺が苦しいのとおんなじくらい苦しんで、もっとそれ以上に、苦しませたくて、だから、俺は、ずっとあれから、全部そうしてきたんだ。復讐だ。

俺はただそれだけのために、悪意の傷口自分でぐりぐりして、こじ開けて化膿させて、そんで腐らせて、腐臭漂わせて、まき散らしたかった。

そんで、それで、クソな俺を心から認めてほしかったんだ。頼むからいてくださいと言ってほしかったんだ。

わかっちゃったじゃん、もうだめじゃん。わかっちゃったら、もう、そんな、ダメだ。馬鹿だ。本当、馬鹿だ。しょうもない。迷惑なやつ。気持ち悪い。吐き気する、自分。なるほどクソ美は俺を見透かしてたの。ナル男くんだって、愛され系男子目指しちゃってんの、痛い、馬鹿なやつってわかってたの。

ああ、もう、俺死ねない。

これで死んだら、だってマジもんだ。本物のキモ男で、ナル男くんで、愛され願望男で、そんで最低最悪の自己中ヤローになっちゃうじゃん。

俺死んで泣くやつとかいんのかな。ちょっと思うだけ、それだけ許してよ。もうそんなことしないからさ。





俺、バンドやめた。期待しちゃってたけど、拍子抜けするほどあっさりやめられちゃって。俺、ほんとう馬鹿だって、笑って、ひとりで泣いて、ちょっと浸った。人に見せなきゃ許されるはず。

音楽ってか楽器、わかんないけど、キーボード買って、ドーレーミーから音出して、挫折。仕方ないから、歌詞とかいろいろ書いてみる。あは、なんか悦に入っちゃってんのかな。自分のうたうたうのってなんかすごい泣いてしまう。

誰とも顔合わせらんなくって、でも、いいんだ。今は、はずかしくって顔向けできない。人いない夜中にこっそり窓開けて、冷たい風あたるとなんか一番落ち着く。家こもってるとなんでか何かが内側タマルよね、え、たまんない? それって俺だけなのかな。いや、きっとマイノリティってだけ。世界のどっかできっとだれか思ってるでしょ。

俺の全部がそのまんま理解できなくても、俺のそういうの、ちょっとした気持ちとか、感情ってか、思うこと、似たこと、一部一部なら世界のどこかでおんなじ気持ちになってる人、絶対いる。

好きなバンドの歌詞とか、全然興味ないアイドルグループのとある歌詞とか、カウンセラー先生様のホームページのとある文章とか、小説の登場人物ですごい悪役なんだけどとあるひとつの感情表現とか、見て、あ……これ俺もちょっとわかるわーって。そう思えたら、なんか、俺、ちょっとずつ生きてても別に問題ないかな、なんて。

俺、もし誰かに生きててほしいとか言われても、きっと、結局嘘だって思っただろう。求めてたくせに、手に入れたとしても、きっと、絶対信じなかっただろう。笑える。ほんと、馬鹿。そう思うとひとりパソコンに向かいながらニヤニヤしちゃう。俺ってバーカーわらわら。そんで自分バカって笑ってると、なんか暗くなくて、軽くて、よっしゃ、とりあえず、俺も、俺みたいなマイノリティかもしんない、世界のどこかにいるかもしんない、少数派馬鹿のために、少し心を軽くするために、歌詞かいちゃって、悦に入ったりしつつ、泣きながら、うたっちゃおうかな。

そんなことを思う、悪夢から目覚めた朝の出来事でした。

デリカはわたしだ、と思いました。

ものすごい、みんながデリカを責めていて、薬やってたら蔑まれるとか、こうだったら捨てられるとか、そのあたりで、書いた通り、目が覚めました。それがだいたい、今朝4時半ごろ。父が仕事に出た音で目覚めました。

しばらく苦しくて私はデリカのままで、現実では、今、そうではなはずなのに、私はデリカになって、いつかの自分を重ねて思い出していました。私はデリカでした。

私は最後にそう思うところまでしかいけませんでした。

きっと誰も期待してなくて、それが一番よくて、そうでなくても生き続けることが大切なのだと。誰かに自分の命っていうものすごく重たいもん背負わせようとしてはいけないと。自分の命をまず自分で背負っていくのが人生だと。

もしかしたらどこかで誰かが「そんなん間違ってるよ!」とか思ったり、実際本当に間違ってたりするかもしれません。

でも、それでいいんだって私は思います。それで私もそれを聞いて間違ってるかもしれないと思いを変えたければ変えればいいし、私はそうは思わなければそのままでいればいい。

私は生きていていいと認められているからいきてるわけじゃないし、死ねといわれたって、もしそれが生存本能だからって、死にたくなければ死ななければいい。

私は私が死にたいと思っても、結局生きてるんなら怖いんなら、全部いやだって思っても、空が青くてきれいなだけで笑えちゃえる強さがあるかぎり、自分の意志で死んだりなんか絶対にしたりしない。


なるべく等身大で書こうと思って、勢いだけで文章も選ばず、読みにくいかもしれません。

しかし、あえてありのままで読みにくくて他人考慮せず、掲載します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ