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守護のカカシと魔法使い  作者: タングステン風味
2/5

魔法使い

松明をもった村人が風通しの良くなった家に集まって来た。

俺が放った雷でようやく村人達が襲撃に気づいた様だ。

誰もが遠巻きに狼の死体を見ている。


「村長にこの事を伝えに行ってくれ!!」


村人の何人かは、村長の家に向かうらしい。


~おい?!誰か!!キャロルと魔法使いを見てやってくれ!!~


暗闇で家の中まで見えないのか?

くそ!こうなったら!


~サンダーアロー!!~


壊れてしまった家の壁から裏口に抜けるようにサンダーアローを放つ。

一瞬だが稲光があたりを照らす。


「うわ!一体何だ?魔法か?」


~気づけよこのマヌケ!!~


「あれ?誰か倒れてないか?」


村人の一人が倒れている魔法使いを指差した。


「大変だ!早く助けないと」


「こっちにもキャロルが倒れているぞ!血が出てる!だれか、清潔な布を用意してくれ!!」


良かった気づいたみたいだ。

あー安心したら急に眠くなってきた。

MP切れとかかな?

まあいいや…今は…眠…ろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

5日目?朝


ん?何だ暑い?

世界が逆転している。

俺はどうやら逆さまになってしまっているようだ。


「おーい、そこの廃材も一緒に燃やしちまえ」


「合点承知!」


……俺、ゴミと一緒に燃やされてないか?

おいおいおい冗談じゃないぞ?!


次々に村人Bは廃材を火に投げ込む。


~おい村人B!俺は、ゴミじゃねぇぞ!!~


ボロボロの布の服に火が燃え移った。

うおまじか?!魔法で何とかならないか?!そうだ、このゴミ山ごと雷でって、そんなことしたら余計に燃えそうだ。

ええい死なばもろとも!少し離れたところにサンダーボルトで衝撃破を起こす!!


~轟け!サンダーボルト~


ぴしゃん…


……?


え?なにこのショボい雷?

雷というより静電気じゃないか?

どうやらRPGの様に寝れば、MPが全回復するというものではないようだ。


もう胸の辺りまで火が上がってきていた。

熱いが我慢できない程じゃない…が、完全に焼失したらいくら何でも死にそうだ。


冗談じゃないぞ!!

狼を倒してやったのにこの恩知らず共め!!


…まあ知らないだろうな。

俺、端からみたら只のボロボロのカカシだもんな。


「ち、ちゅんちゅん!!」


雀ちゃんが何処からか飛んできて、俺を火元から離そうとしてくれている。

しかし、悲しいかな。

雀の力では俺を引きずることは出来ないようだ。


~もういい…雀ちゃん、ありがとう。君にとって俺はただの寝床だっただろうけど、俺にとってはこの訳の判らない世界で唯一の友達だったよ…~


胴体が全て焼け落ちた。


はあーまた死ぬのか。

でも、女の子を二人も助けたんだ。

ふふ、あの俺が勇者みたいに、魔法を使って美少女を助けたんだぜ。

前世では何でも出来たのに何もしなかった。

それがどうだ?

カカシになって何も出来なくなったら、美少女を助けられた。

この違いはなんだ?

魔法が使えたとか、環境だとかも勿論あるだろう。

けど、一番は本気になれたかどうかだろう。


ああ、来世があればもう少し本気で頑張ってみるかな。


とうとう雀ちゃんが力尽き、ゴミ山から転げ落ちていく。


いい友達、いや、いい親友も出来たしな。


俺は、転げ落ちていく雀ちゃんを暖かい眼差しで見送った。


左目の視界が消える。

もう顔の半分は焼けてしまったのだろう。


もう半分の視界も消え


「エアバースト!!」


?!俺、飛んでる?


ひらひらと布一枚きりになってしまっているが、確かに生きている。


あー下に魔法使いちゃんが見える。

火を消したのはいいけど、あれどうやってどろうかな?って顔してる。


「ぴぴ♪」


そこに雀ちゃん嘴でナイスキャッチ。

俺は、地上に舞い戻った。


えっと雀ちゃん?涎でべとべとなんですが。


でも、ありがとう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「君は只のカカシではないよね?何者?それにこの鳥、多分小さいけど雷の霊鳥…」


肩に饅頭雀をのせた魔法使いの少女、いや美少女は俺を手に取り話かけてきた。

まぁ、今の俺はカカシですらない布の切れ端だが。


~聞こえないと思うけど、俺はカカシだ名前は田中~


じぃ…と俺を見つめる魔法使い。


「…確かに何か感じる。ねえ、何か私に分かる合図とか出せない?」


合図ねえ…魔法だな。


女の子の体に静電気をパチリと流した。


「ひゃん!!…今の合図?」


俺は肯定するように2度、ぱちぱちと静電気を流した。


「ん!、ん!私の言葉を理解しているようね」


俺の電気で悶えている姿を拝見させてもらっていると、何か嗜虐趣味に目覚めてしまいそうだ。


「で、物は相談なのだけれども君、私と一緒に来ない?」


一緒に?どういうことだ?


「一緒に、っていうのは私の使い魔にならないか?ということよ」


使い魔

あれか?魔女の肩にのってるカラスとか、黒猫とかああいうのか?

…願ってもいない話…だと思う。


今の俺は誰かの庇護下でないと生きていけないし、キャロルにカカシとして直してもらって一生麦畑を見て過ごすというのは、人間の精神に耐えれるとは思えない。

まだカカシとして転生して一週間も経っていないが、確実に言える。

一か月ともたないだろう。


肯定の意味を込めて電気を2度パチリパチリと流す。


「それは了承したということ?私の身の回りの世話とか、荒事もこなしてもらうわ。見返りは庇護と魔力の供給といったところね」


もう一度パチリパチリと流した。


「ふふ、主従契約成立ね。心を開いて私を受け入れるのよ?」


初めて魔法使いが笑った。

かわいい。


視界いっぱいに唇が映し出され。


ちゅ


キスを通じて俺の心にアクセスされている感覚。

彼女と回路の様なものが形成された。


「自己紹介がまだだったわね。私は、イシア魔法学園高等部所属レーナ=ヘルグレーンよ」


~魔法学園?やっぱり討伐隊とやらとは別口か?~


「討伐隊?ああ、村長が依頼したって言ってたわね。それとは違うわ。私はただの学園生よ」


どうやら回路パスを通じて会話ができるようだ。


~俺は元人間のカカシ。タクマ=タナカだ。よろしくご主人…ちゃん~


「ご主人ちゃんって…え?元人間って…?」


~ああ、ご主人ちゃん。俺は元人間で、転生したらカカシになっていた。何を言っているかわからないと思うが、そういうことになっているらしい~

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