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アナザー・ワールド 〜 the oldest hero 〜  作者: とんぼ
第1章 闇より生まれし星
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5 決断

異能、それは人知を超えた力。

魔法とは同じものであると同時に違ったものでもある。

魔法が体内のマナを利用するのに対し、異能は体外のマナを利用する。魔法と異能はどちらも修得には長い時間がかかる。

ーーと、聞いたんだが。

どうやら果実で修得できるらしい。全くもって意味がわからん! お手上げである。


アリスは、この場で1人混乱しているクレスにフォローをする。


「果実を食べたからといって異能が発現するわけじゃないの。人工物にはよくある事なんだけど、適性によっては発現したりしなかったりするの」


つまりはどういうことだろうか。必死に考え一つの結論に達する。


「えっとー、結局その人の生まれながらの才能に依存するってこと? だったらなおさら俺には無理だろ。平民だし、そこそこの身体能力はあるけど良くて中の上だし」


クレスは、結局自分には無理な話だと、バッサリと切り捨てる。

それに対し、グレムが付け加える。


「確かに君の言うとおりだ。果実は個人の能力に依存し、能力が無いものには効果をなさない。しかし、私たちには君にその適性があると考えている、たったそれだけのことだよ」


「たったそれだけってーー」


自分にはその期待には応えられない。自分のことは自分が一番わかっている。


「だったらそれだけでも、ワタシたちには十分な理由になるの」


どういうことだ? なんで、それだけでも十分なんだ。


「アリスは精霊と話すことができる。だから、アリスの勘は精霊が由来だと考えていい。つまりは、精霊が君のことを認めているということだよ」


「なっ⁉︎」


絶句するほかなかった。精霊が自分のことを認めている? 俄かには信じがたいことだ。しかし、それは嘘だと、捏造だと、そんな訳がないと切り捨てれるほど知識があるわけじゃない。


「それに関しては、確かに精霊は君のことを認めてるみたい。でも、だからと言ってワタシは君に能力があるとは思わない。」


なおもアリスは続ける。


「それでも、適性だけに関しては精霊が認めてる通り、あるとは思う。それでも、まだ不服? 理由としては不十分?」


なんだか少し機嫌が悪いようだ。

俺がなかなか受け入れないから? そんな理不尽な。

それでも受け入れるしかないと言うのなら。


「••••••じゃあ、適性があったとしよう。その果実にデメリットはないのか? あるに決まってるよな。そんな都合の良いもんがあるはずがない。それで、質問に対する答えは?」


デメリット。それは時として看過できないものとなる。クレスはその点は明らかにしておきたかった。

それに対するグレムの返答はーー


「••••••その通りだとも。確かに、デメリットは存在する。しかし、それは大したものではーー」


「そんなことを聞いてるんじゃない」


ごまかそうとしたグレムの言葉を、怒気の混じった声音で遮る。その声に自分自身に驚きながらも苛立ちを隠そうとはしない。


「クレス、落ち着いて。お祖父様は別に隠そうとしたわけじゃなくて」


「グレム、とっとと答えてくれ。どんなデメリットがあるんだ。俺は初めからそれしか聞いてない」


アリスの言葉は聞こえていないかのように振る舞い、あくまでグレムの答えを待つ。


「••••••適性がある者が果実を食べると、体内で破壊と再構築が始まる。結果として、体もしくは精神がボロボロになって死ぬか、異能が発現する。それでも、その確率は五分五分である。これが、君の知りたかった最大のデメリットだ」


最大のデメリット。それが、肉体か精神の崩壊による死。

それをきいたクレスはーー不敵に笑っていた。


「どうかした、クレス?」


「やってやろう、犬死に上等。やってやるよ。その果実、俺が食ってやる。それで、死ぬならもとより神に挑むなんて無理だ。そうだろ? 二人とも」


「そう、だが。君は本当にそれで、良いのか? 君は••••••」


「俺は神を殺したい。たとえ果たされずに朽ちるとしても、何もしないよりは少しでも抗える方を選ぶ。その方が悔いが残らない」


母さんや村のみんなを殺されて、村を出るときに決めたんだ。もう悔いが残らないようにするって。絶対に復習してやるって。なら、少しでも可能性がある方を選んでやる。この先ずっと、後悔しないようにーー


「••••••君の覚悟は伝わってきた。君に、神樹ユグドラシルの果実を託そう」


そういうと、グレムは立ち上がり小屋の扉をあける。






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