26 目覚め
地の文の書き方を変えてみました。
ちょっと読みにくいかもです。
かすかに目に映るのは見知らぬ天井。今時珍しい木造の建築物なのだろうか木の香りが鼻腔をくすぐる、気がする。
微睡みの中であるとはいえ聞こえてくる騒がしい声。完全に覚醒していないからなのか声の区別がつけられない。具体的には男女の区別とその大凡の規模。
「目が覚めましたか?」
すぐ近くからかけられた声に一瞬思考が停止する。凛としていてどこか安心させるような声音に視線を向ける。そこには読みかけの本を持ち、こちらを見つめている少女がいた。
知らない顔だと、ぼーっとしていると本を閉じ立ち上がる。その所作が洗練されているように見えた。有り体に言えば美しい、ということなのだが。
「反応が薄いようですね。まあ無理もないでしょう。少し待っていてください、アリスさんを呼んでくますから」
そう言うと、自分が寝ている寝台を挟んで反対側にある扉を開け部屋から出て行く。その際、先程から聞こえてくる騒ぎ声がより一層しっかりと聞こえたことから、騒がしいのは建物の外ではなく中なのだろうと考える。
少ししてから3人部屋に入ってきた。
1人は先程の少女。1人は見知らぬ少年。最後に入ってきたのは見知った少女。
「……アリス」
やっとの思いで出した声が弱々しく、本当に自分の声なのか一瞬疑った。
「クレス、よかった!」
アリスは泣きそうな顔のまま近くに駆け寄り、そのまま顔を埋めてくる。
「良かった…本当に良かった! ……」
嗚咽混じりのその言葉に苦笑してしまう。
「…ごめんな。また心配かけたみたいで」
本当に申し訳なく思う。これでアリスに心配をかけたのは3回目だ。それに今度ばっかりは自分の力不足が招いたのだから本当に申し訳ない。
暫くアリスの頭を無言で撫でていたが、他の2人のうち少女が少女に「お兄様」と声をかけると、それに短く「分かってる」と答える。
「事の説明の要求と顚末の報告に来たのだが、今は止めておくよ。また後でくるからね」
少年は暖かいものを見たと部屋から出て行き、少女も一礼した後その後ろに続く。
それからまた暫く経ち、アリスが幾許か落ち着きを取り戻したようで、今は顔を朱に染め俯いている。
そういえば、と今頃になって思い出した事を聞く。
「…確か俺、バルバトスとの戦闘中にきを失ったはずなんだが。あいつ見逃すような事をするわけがないし、もしかしてあの2人が関係してるのか?」
自分でもびっくりするぐらい頭から戦闘中だった事が抜け落ちていた。その時に確か腕を切られてそのまま落ちるところまでは覚えている。でもそこから先を全く覚えていない。恐らくは気絶していたのだろうが、それをバルバトスが見逃すはずがない。あの獣のような殺気は本物だった。間違いなく殺されるはずだった。なのに生きているという事は誰かに助けられたのだろう。
「その話はさっきの2人から聞いて欲しいんだけど、これだけはわかる。ワタシ達は間違いなくあの2人に助けられたの」
その後、アリスが2人を呼びに行き連れ戻してくる。その間右腕があるべき場所を見たが、肩あたりから布団が沈んでおりその先が無いことを表していた。
ぼーっと右腕を見つめているとアリスが2人を連れて部屋に入ってきた。
「クレス、紹介するね。此方がヘルムズさん。それで此方がクラリアさん」
アリスに従い少年が多少の補足をつける。
「紹介に預かったヘルムズ・シグ・カレイドだ。長くて面倒だと思うからヘルで良いよ。職としては騎士をしているんだ。と言ってもこんな姿じゃそうは見えないだろうけど」
はにかみながら言うヘルはどこか気品を感じさせる。良いとこの出なのだろうか。
「私はクラリア・シグ・カレイドと申します。クラリアとお呼び下さい」
ヘルとクラリアの名前に首を捻る。
と、それに気づいたヘルが補足する。
「ああ、名前の事なら考えている通りだよ。僕らは兄妹で僕が上なんだ」
なるほど。と、相槌を打つ。
「それで、聞きたい事があるんだが」
「わかっている。あのあくまとの戦闘の事だよね」
それからバルバトスとの戦闘の話を聞かされた。
なんでもグレムとバルバトスの戦闘の時から魔力が発散され続けた半端ではない量の魔力が感知されており、一時を境にその発散されていた魔力が急激に感知できなくなった。最初から変だと思っていたが、急に魔力が感知されなくなったために更に怪しさがうなぎのぼりし、駆けつけたら炎のカーテンが空に上がっていた。そこで俺が気を失った所をヘルがギリギリ助けだしたが、バルバトスにはドールと呼ばれる獣を市街地に呼ばれ逃げられる。なので妹のクラリアに怪我の治療を任せ、自分はドールを討伐に行った。そこでアリスとグレムやその他大勢の住民がドールに襲われているところに出くわし、これを討伐したところアリスが俺の事を助けて欲しいと話してその場所まで案内してもらい現場に着くとその相手が俺であると判明し、そのまま背負ってこの宿まで来たのだそうだ。余談だが被害はそれほどでも無かったらしい。
「という事なんだが、君らが何故ああいう事になったのかはアリス様に聞いたので知っているが、それでも途中まで、との事なので君の話も聞いておこうと思うんだが」
今、聞きづてならない単語を聞いた気をした。アリス、様?
ジト目をアリスに向けるとコケっと可愛らしく首を傾けやがった。
「……その前に、アリス様ってなんだ?」
口に出して漸く合点がいったのか苦笑している。
「なんだ、とはどういうことだい? アリス様はアリス様なのだが」
そこでクラリアが口を挟む。
「お兄様、恐らく何故様を付けているのか、とお聞きしたいのか思いますが」
妹の方は意図を察してくれたらしい。
「ああ、そういうことか。まず、僕らの騎士団が仕えている王国の国軍があるんだけど、その国軍の5人の将軍のうちの1人が彼女の叔父であり、一時お爺様もされていたんだ。そのため、僕らは彼女の事を様付けして読んでいるのだ」
そこまで聞いて、驚いた顔のままアリスを見るとそういうこと、という言葉が返ってきた。
「じゃあ、改めて話を聞かせてもらっても良いかな?」
それから自分の知っている事全てを話した。話終わる頃には窓から見えた景色が起きた時はまだ夕方ぐらいだったのがもう暗くなっており、ちらほら明かりが見える。
「ということは君もこちら側の人間ということになったわけだ。せっかくだ、君を天上世界に連行することにしよう」
「「なっ⁉︎」」
アリスと2人で絶句する。それを見越していたのか、さらに畳み掛ける。
「先程グレム様には了承を得ております。『2人は経験が少ない、特にクレスの方は能力を使いこなせないだろうからあっちで鍛えてやってくれ』とのことですので、アリス様は身支度を済ませてください」
「お爺様が•••そうですか」
これからの事を考えてクレスとアリスは深い溜息を吐く。




