21 炎の舞
遅れて申し訳ないですm(_ _)m
今回は前回よりも多いです。と言っても平均ぐらいの量ですが(ー ー;)
ついでに、感想とか貰えたら嬉しいです^ ^
アリスの頭上で鳴り続ける甲高い金属音。
「どうして、音が」
バルバトスの剣は確かに金属であり、金属音が鳴るのはわかる。打ちつけあう物が硬質で形がある物であるならば。
しかし、クレスの剣は炎が剣の体を成しているに過ぎない。
それなのに、クレスの剣はバルバトスの剣を弾き返し、形を崩す事もない。
「クレスの剣って、炎でできてるんじゃないの?」
アリスのつぶやきは、誰に聞かれる事もなかった。
しかし、偶然にも時を同じくしてバルバトスもつぶやいていた。
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「なぜ、貴方の剣は形を崩さない?」
「それは企業秘密という事で」
剣同士が激しくぶつかり合う度に、火花なのか火の粉なのかわからない物が散り、金属音が鳴る。
「教えてくださるはずもなく。ならば」
バルバトスがクレスとの距離を瞬時に詰め、鍔迫り合いへと持ち込む。
「……なるほど。そういう事でしたか。貴方のその剣、簡単に言い表すなら火山の溶岩といったところでしょうか」
バルバトスの推測を聞き、少し身じろぐ。
その推測は、根本となる部分では全く違うが、大体の部分では当たらずとも遠からずであった。
クレスのイラプションという技は、一言で表すなら流れる炎。炎を現象ではなく、物質として見なし、マグマのように表面を固め、鈍器や刀のようにする技であり、たとえ破損してしまっても、内部の炎が湧き上がり、外部を再度固める。そして、それは別の攻撃方法わを作る。
「……残念、ハズレだよ。でも惜しい」
一度距離を取り、剣先をバルバトスへと向ける。
「……貫け、炎!」
クレスの言葉に反応し、炎の剣の先端が赤く燃え上がり、凄まじい熱量を持つ炎が飛び出す。それは炎というよりは熱線に近く、まるで赤い槍のようであった。
「くっ⁉︎ 水よ、壁となれ!」
クレスのやろうとしていたことをいち早く悟り、詠唱を無くした魔法で壁を出現させる。
ジュっ!という音がしたかと思えば、次の瞬間には壁を貫いていた。しかしーー
「やっぱ避けられるか」
「避けきれていませんがね」
熱線はバルバトスの肩を貫いただけに留まる。
「おもしろいですね。貴方はやはりおもしろい。私との決定的な肉体差さえも風により無くしているのでしょう?」
今度ばかりは驚かずにはいられなかった。クレスのサイクロンはクレス自身を浮かせているだけでなく、バルバトスの剣を受け止める際に、体を支え、衝撃を和らげるために使っている。
しかし炎だけでなく、風についても紐解かれるとは考えていなかった。こいつの洞察力は厄介だ。
「もっと私を愉しませてくださいね」
バルバトスはこちらを不愉快にさせるように、ケラケラと笑う。
「おいおい、そんな笑い方したら俗物みたいに見えちまうぞ」
「ご心配無く。そんな事より、もう終いでしょうか? ならば期待ハズレですが」
バルバトスの目の色が変わる。顔は笑っているのに、目が笑っていないとはこういう事なのだろう。
「終わりじゃねぇよ」
再び剣を相手に向ける。が、そこで終わりでは無く、さらに続ける。
「さっきのはただの小手調だと思ってくれて良いぜ。何せ練習だからな」
相手に向けた剣を腰辺りまで持っていく。まるで帯刀しているように。
「剣よ、切り裂き、貫き、爆ぜ、燃え尽きろ」
バルバトスは闘い慣れしている事もあり、クレスの所作一つ一つに気を配っていた。それでも予測仕切る事は出来なかった。
「イラプション、壱の型・炎舞」
次の瞬間、炎の剣は霧散する。
「……なるほど。これは予想していませんでした」
代わりに、炎の幕が2人を円状に囲む。
「存分に楽しめ、俺の炎を」
右手を横に広げると、炎の幕からユラユラと炎が流れていき、長刀へと形を変える。
「いくぞ、バルバトス!」
クレスは刀を下段に構えると、次の瞬間にはバルバトスの目の前まで来ていた。
「なっ⁉︎」
「フッ!」
下から大きな弧を描くように刀がバルバトスへと迫る。
バルバトスは、それを驚くべき反応で避け、反撃をしようとするが、目の前にはもうクレスの姿は無く、元の位置へと戻っていた。
その手には弓矢を持って。
「まさか、避けられるとは思わなかった。けど、これならどうだ」
クレスは矢を連続で4本を放つ。
前後左右4方向から。
「また、どうやって!」
バルバトスはさらに上へと飛翔する。しかし、その先にはクレスがいた。
今度は両手に長さの違う刀を持って。
「二刀流は初めてだけど、なんとかなるだろ」
「またか⁉︎」
「せぃや!」
バルバトスは自らの剣でクレスの二刀を防ぐ。
クレスは風の補助のお陰でバルバトスを押さえ込み、仕掛けを待つ。
「まだまだ、気を抜くなよ?」
視線をバルバトスから下へと向ける。
「何を? ……⁉︎」
バルバトスが避けたはずの4本の矢は、途中で異様な曲がり方をしてバルバトスへと迫る。
「我は狩人、王を従えし悪魔なり」
二刀が膨大な質量に押し返される。
「⁉︎」
4本の矢は爆風により届かない。
「……その姿が本当のお前か、バルバトス」
「そういうことになりますかね」
頭部からは2本の角があり、漆黒の翼が背中に生え、強靭な四肢の先には長く鋭い爪を持つ。
「これなら全力で愉しめる」
ーーその姿は正しく悪魔のそれであった。
もうそろそろで、1章として考えている分は終わりになります。
そこからは不定期になるかも知れないので、告知だけでも、と。
これからもよろしくお願いします(^^)




