プロローグ2
ーー『運命の刻』の発生推定時刻から1時間後ーー
怪物たちが蠢き村を崩壊させていく。
そこら中に村人たちの死体が転がっている。
中には崩壊した建物の下敷きになり息絶える事の出来ないものや、今まさに怪物に四肢をもがれ、無惨な姿で死んでいく者もいた。
そんな惨状を目の当たりにしながら、自らの母親を救おうとしている少年がいた。
「・・・母さん! 母さん死なないでよ。目を開けてよ、母さん!」
「・・・クレス、かい?」
「母さん⁉︎ 良かった、そうだよクレスだよ! 早くここから逃げないと、奴らが来ちゃう!」
あ
「クレス・・・先に、お逃げ。すぐに・・・追いつくから。早く・・・」
「イヤだ! このままだと、母さんが奴らに!」
「クレス・ハザード! 早く行きなさい!」
「・・・っ⁉︎ 母さん! 僕は・・・」
「母さんなら、だいじょうぶ・・・だから。早く、奴らが来る前に」
「・・・わかった。でも絶対に助けにくるから、絶対にくるから!」
「クレス、貴方さえ生きていれば、私は」
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怪物が去っていった村には悲しみの雨が降り、少年を慰める。
その悲しみの雨もやがては止み、清々しいまでの日の光がさす。
少年は怪物の出現によって殺されていった村人たちを弔い終え、母親の亡骸の前に1人立ち尽くしていた。
その姿は、悲しみに震えているようにも、狂い笑っているかのようにも見える。