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アナザー・ワールド 〜 the oldest hero 〜  作者: とんぼ
第1章 闇より生まれし星
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9 果実の行方

ーー2人が神樹にたどり着くほんの少し前。神樹へと走りながら今後のことを考えていた。


「あの魔族はグレムに任せるにしても、お前の精霊と奴の話から他にもいるかもしれないわけだが。どうやって残りを相手取って果実を取るつもりだ?」


「••••••」


「考えてないんだな。だと思ったけど、じゃあ俺の作戦に従ってもらう」


「作戦? クレスが考えたの?」


「そうだけど。こういう事はすぐに思いつくのでね。昔から悪知恵が働くって言われてる」


「そう、実はすごかったんだね」


少し寂しげな顔で言うアリスに、困惑する。


「そ、そうか ? そんなことより作戦だけどーー


※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※※


「目視できる敵は、人が12、魔族が2。人は魔法や異能は使えないはずだから、戦力としては取るに足らない。魔族に関しては、視覚を奪えばクレスでも抜ける、はず。••••••本当に大丈夫なの?」


精霊の加護により、正確に情報を把握したアリスは、心配そうに見つめてくる。俺が信じられないのだろうか。だとしても従ってもらわないと、成功するものも成功しない。


「アリス、それは愚問ってやつだ。やれるかやれないかじゃないんだ。これは、やらなくてはいけない、なんだ。お前は作戦の要なんだから頼むぜ? 俺はお前を信じてるから」


そう言うと、立ち上がり現在位置からさほど遠くない岩陰に忍び込む。アリスは未だ心配そうな顔を浮かべているが、心配を振り払うように頭を横に振り、クレスとは逆方向にある岩陰に隠れる。そしてーー


「うおおおおおおおおおおおっ‼︎」


大声を出しながら一気に駆け込んで行く。


「⁉︎ なんだ奴は!」


魔族はすぐに気付くに決まってる。人にも認識されただろう。でも、それでいい。一度こちらに気を向けさせれれば俺たちの勝ちだ。


2人の魔族が不審者を迎撃するべく、詠唱を開始する。周りにいる人は、魔族の後ろに隠れてはいるものの、全員がクレスのことを見ていた。


「届け〜!」


クレスの言葉をきっかけに、アリスが敵の目の自由を殺ぐ。

突然の閃光により、視覚が一時的に機能しなくなる。それと同時に完了しかけていた詠唱も止まる。後ろに控えていた人も魔族と一緒にその場でうずくまることとなる。

その隣を、目を出来うる限り隠し切って閃光に影響を受けなかったクレスが通過していく。


「どこだ! どの木に生えてるんだよ⁉︎」


そこには、果実が全てもぎ取られた木々しか無かった。


「クソが! 貴様何者だ! 目が開けらんねぇじゃねぇか!」


魔族の内の1人が這いつくばりながらも、こっちに近ずいてくる。


「貴様の目的は果実だろ! そうなんだろ? 残念だが、ここにいる奴らに全部食わしたところだ!」


「そんな⁉︎」


魔族の言葉に驚きの声を上げる。急いでアリスの方を見ると、手で口を押さえ、同じく驚きを隠せていない。


まずい。どうすりゃいい⁉︎ もしかして、こんな事で。ほんの少し遅れただけで終わりだってのかよ。そんなの、受け入れられるかよ! そんなの••••••待てよ。あれって、もしかしたら。


「ああー残念だー。すぐにここから出ないと殺されるー。とっとと逃げないとー」


間延びした言い方。これは退却の際にクレス1人だけではないことを相手に伝える効果がある。今の状態では戦えない敵は、慎重にならざるを得ない。


「⁉︎ 貴様、逃げる気か! 待て、待ちやがれ!」


「待つもんか。用が無いんだよ、こっちには」


吐き捨てるようにそう言うと、アリスのいる方へと急ぐ。


「アリス、もしかしたらまだあるかもしれない。果実が」


「え、でも。あの魔族が」


「あそこにいるときに、もう一つ道があるのを見つけた。もしかしたらだけど、そこを進んだところにあるかもしれない」


「道って、そんなのどこに?」


アリスの問いに上を指差して答える。その姿は、出会った時のアリスと被ることに、苦笑する。


「••••••穴っぽいってだけだけど、天井の中心にぽっかりと。こんな広い中で、あんなちっこい木しか無いなんて事はない、はずだ」


「小さいけど、確かにある。でもそれ、希望的観測過ぎるよ。可能性としてはアリだと思う、けど」


「だろ? じゃあどうやって登るかだが。なんか無いか?」


すると、少し考えたと思うとすぐに顔を上げる。


「精霊術に浮遊魔法に似たものがある。でも、ワタシは完全に使いこなせてない。それでもいいなら」


「もちろんだ! どっちにしても早くしないと、奴らが動き始めちまうからな」


魔族達の様子を見ると、人が何人かふらふらしながらも立ち上がっていた。


「うん、わかった。急がないとね」


アリスは精霊に祝詞を捧げ、クレスは様子を見続ける。


「精霊よ、風を操る精霊よ、盟約に従い、風の力を分け与え給えーーウィンド・フリート」


すると、アリスの体が浮かび上がる。


「やった! 成功した!」


今まで一度も成功したことが無かったのだろうか、喜び方が尋常じゃない。


「喜んでるとこ申し訳ないけど、そろそろ時間がない。とっととあそこに行くぞ」


手を繋ぎ、アリスがクレスを穴の中へと引っ張り上げていく。



「グレム、もう少し遅れそうだ。けど、絶対に手に入れてやる」






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