?日目
「KINGがあなたの行動に気が付いています」
「…それをどうして君が?」
暗闇に影が2つ。両方共のシルエットはわからない。
「元々は『QUEEN』側が管轄する者の監督ミスですから」
ミス、たった二言で大事な百舌鳥は表現されてしまうのか。
影の1つは胸の中で抑えきれない衝動を感じていたが、対峙する影はその感情をも把握した上で、あえて挑発とも取れる言葉を放つ。そうしていることもわかっていた。
だから、影はぐっと唇を噛みしめることで衝動をどうにか抑え、沈黙を貫く。
「……」
相手が絶対的な力の差を認めたことに気をよくしたのか、影は温情とも取れる言葉をそっと相手に投げかける。
遥か高みから、許しを与える立場にいると知らしめながら。
「QUEENはあなたの好きにしてもよいとの仰せでした」
「……」
そこでふっと笑う気配がする。
「琴鳥(物まね鳥)が百舌鳥の真似事をしても百舌鳥になれないことはわかりましたか?」
「!?」
怒りの感情のまま声を出そうとしたが、相手はいつの間にかその場から消え失せていた。
「に……さ……」
残された影は肩で荒く息を繰り返した後、寂しそうに鳴いた。