Act.29 [応える心]
眼を瞑り心を閉ざし、耳を塞いで繋がりを絶った。
口を噤んだその先は――自己の放棄。
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ティリスヴァン公爵家の忌み子。
それがゲームでの攻略対象の一人。
《レイディル・ティリスヴァン》の設定でした。
膨大な魔力と豊富な知識。
文武両道を体現し、やがて産まれる王子の側近である彼。
彼は過去、母たる人の命を奪い産まれてきた子でした。
実母の生命力を、魔力を、全て奪い産まれ落ちた魔力の申し子。
その額に刻まれたのは狭間の神トワイライラの紋章。
幸い彼の親兄弟は母親の忘れ形見である彼を家族として愛してくれました。しかし多忙な家族は常に一緒に居られる訳がなく。
一人家に取り残されているレイディルを取り囲むのは針の筵と化した環境と化け物として彼を恐れる使用人達。
膨大な魔力を持つ彼に触れれる者は疎か近づける者さえいなかったのです。
人にはそれぞれ魔力の許容量があります。
それは“器”と称され、人の身体に宿る魔力の根源である魂魄の受け皿の事を指します。
その大きさは人によって異なり、その広さも、深さも人それぞれです。
彼はその器も魂魄の大きさも予想以上に大きく、ましてや制御出来ないその力。
器に収まるはずの魔力はいつしか器から漏れ出て、やがては他人の器へと収まろうとしてします。
濃厚で濃密なその魔力。それは他人の器では耐え切れぬほどのものでした。
人の身体に宿る魔力は、魔穴と呼ばれる魔力の通り道を通って、放出魔力、含有魔力共に一定で恒常してます。
しかしレイディルの魔力を受けてしまうと、その一定の流れは乱され、逆流し、器を壊してしまうのです。
器が壊れる=死です。しかもその死は想像を絶する悲惨な物となります。
許容量が少ない=器が小さい者は近付いただけで器に異常を来し体調を崩します。
今回の私の様に体内で魔力が暴れるのです。
頭痛、眩暈、吐き気はとても軽い症状です。重度になれば皮膚裂傷、内臓破裂、精神破壊、しいては身体が破裂する事もあります。
魔力を封じる魔道具やエヴァンス様直々の封印をしていても起きてしまう悲劇。
公爵家としてそれに見合う程の器を持っているエヴァンス様達でさえ容易には触れられないほどの魔力。
それ故にレイディルはずっと一人でした。
愛してくれる家族が居ても触れられない寂しさは埋まりません。それに加えて口さがない者はレイディルの事を呪われた子、化け物と口にします。
そんな孤独だった彼を癒したのは古い歴史を誇るティリスヴァン公爵家に保管されている膨大な蔵書と、唯一彼の側に居られた我が国の王子でした。それからはもう王子一筋。何でもかんでもイエスマンになり、やがて暁の神子が召喚されてきます。
最初こそは王子を守るためと暁の神子にツンなレイディルでしたがちょっとした事故に二人の手が触れ合ってしまいます。しかし暁の神子はレイディルに触れて身体が破裂しないどころか彼女にはレイディルの魔力を制御できるというおまけつき。そこからレイディルのデレタイムです。
えぇ、レイディルはツンデレな魔術師としての設定でした。
正直、あんなベタベタセクハラしてくるデレはいらないと画面に向かって叫びましたとも。
幼少期から人に触れていなかった反動か何かにつけて触れてくるレイディル。ゲームの対象年齢は他のと比べれば高めだったので色々と危うい描写とかスチルとかあって……騎士団長ならば泣いて喜んだのに……くぅうっ!
しかしネットとかを徘徊すると野良猫を手懐けたような達成感が堪らない!と書いている掲示板が多かったです。
まぁ確かにツンツンしてましたし気まぐれで気分屋な性格が猫を連想させてその気持ちは分からなくはないのですが……。
しかし今の彼を見ればツンもデレもしなさそうですけどね。
「エヴァンス、一体これは……」
「っレイディル!何故こんなことを!?」
父さまがエヴァンス様に尋ねますが、エヴェンス様はそれどころでは無いようです。
まぁそれもそうでしょう。今の爆発は確実に人の命を簡単に奪えるほどの威力を持っていました。
私の声が間に合ったからなのか、幸い怪我人も居ない現状ですが彼の力はもう、エヴァンス様の封印では抑えられないのでしょう。先ほどの力が存分に暴れ出してしまえば止める事など……。
方法はたった一つ。でもそれはこの場にいる誰も望まぬ手段です。
レイディルは虚ろな目をしたままこちらを向きます。ですがその焦点は合わず、彼の意識が無いことが分かります。
彼を基点に大体目測で半径10メートルでしょうか。先ほどまで見事に咲き誇っていた花々は消え去り、荒れた地が目の前に広がります。私たちの背後には無事だった温室。そこから見える影に私は声を張ります。
「ヴェル!」
「お嬢様!ご当主!一体これは……」
温室から飛び出してくる彼の姿を見てホッと息を吐きます。先ほどの爆発は魔力に物を言わせて弾けさせた物です。お陰で花は塵と消え、大地は魔力を乱された所為で不毛の地へと変わり果ててしまいました。
そして爆発した魔力の波動はどこまで影響を及ぼすのか、想像も付きません。
あれほど大きな魔力の塊ならば周囲に悪い影響を及ぼしてしまいますが、そういった魔力に敏感な妖人の一人であるヴェルデが無事ならばまだ人に影響は無いのでしょう。
こちらに向かって来ようとするヴェルデの姿が見えますがそれに制止の声を上げます。
「——ヴェル!今すぐ母さまの所へ行って!こっちに来てはダメ!絶対に母さまを部屋から出さないようにルーナへ伝えて。他の皆も同様に……ごほっ!」
「ルシィ!」
止まらぬ咳に塞いだ口。
その手には若干ながらも血が付いていました。
今血吐いてる場合じゃないんだけどね!?
どうしようもない身体の不調が恨めしく思いますが、仕方ありません。
ついつい笑って誤魔化し、汚れた手はさっと後ろに回して服で拭います。
だってハンカチとか持ってないし
「お嬢様……」
しかし残念ながらゼルダにばっちり見られていたみたいで呆れながらもさっと差し出されたハンカチ。
うん、流石はゼルダ。家でもハンカチ常備なんですね。というかルーナさんといい。屋敷の使用人たちはハンカチ常備の義務でもあるんですか?
ハンカチで手元と口を拭いながらちょっと意識が逸れました。
「お嬢様!」
「姫さんっ!」
ガキンっと金属音のような甲高い音が鳴ります。
ハッと顔を上げればそこには私と父さまを庇う様に立つベルンとヨルムの二人。
何かしらの攻撃があったのでしょう。各々の武器を構えて相対するのはいまだどこを見ているのか分からないレイディルです。
ぶつぶつと何かを呟き焦点の合わない眼をこちらに向ける彼ははっきり言って不気味です。
しかしその彼の身体に纏わり付く“それ”に私の顔は険しくなります。
「ルシィ……」
力強く回される腕。世界で一番安心できる父さまの腕の中です。
でも行くな、と縋るようにぎゅっと抱き締められる身体。
金色の瞳と私の瞳が合います。
心配そうに、でも何かを問われているその眼に私は頷きました。
大丈夫。
そう気持ちを込めてにっこりと笑顔を忘れずに。
「父さまはどうしてほしい?」
「……それは俺が決めていいのか?」
いつもの父さまらしくない気弱な発言に笑ってしまいます。
周りを見回せばヴェルデはもういませんでした。私の言葉通り屋敷へと向かってくれたのでしょう。
エヴァンス様もイース様もラウディ様もいつの間にか側に居て私を囲んでいます。
ざっと今の現状を確認して再び目は父さまへ。
――エヴァンス様のお願いとは彼の暴走を止めてほしいということでしょう。それは想像がつきます。
古くから女神ルーナの祝福を持つ者には、共通してある能力を持っています。それは全ての祝福者への干渉能力。
ゲームではルイシエラがその能力を持っていたかは語られていませんでした。しかしそれでも女神ルーナから祝福を受けていたこの国の王子。並びに暁の神子は他の祝福者の能力の増減を可能にする力を持っていました。
暁の神子はその能力で他の祝福者=攻略対象者への力の増幅並びに増強。王子はその能力を使って自分自身を強化し心身ともに人類最強を体現するような完璧超人になっていました。
まぁ王子はその所為で何でも出来るから傲慢な人間になってしまうんですけどね。
それは兎も角、その干渉能力を頼ってここまで来たのでしょう。
でも、残念ながら私の眼にはレイディルの祝福の力が暴走しているようには見られません。
私の眼に視えるのは……
「父さま。父さまは私に何を望む?」
「!」
眼を伏せ、父さまに告げます。
試すように、その気持ちを問い掛けます。
「ルシィ……お前は」
「私は……彼を助けたい、と思うよ。ちょっと怒ってもいるしね?」
「……お前、スーウェに似てきたな」
にっこり笑って言えば父さまの顔を引き攣っているのが見えました。失礼な。母さまはもっと凄いですよ?何が、とは言いませんがね。
「ガウディ」
そんな私の目が笑ってない笑顔に引いてた父さまに声を掛けるのは疲れた様子を見せるエヴァンス様です。
どこか憔悴しているようで、でも何かの覚悟を決めたようにその眼には強い力が宿っていました。
「こうなってしまってはもう、どうしようもない。身内の不始末は身内で付ける」
すまなかった。と頭を深く下げるエヴァンス様。
嗚呼、彼は理解したのでしょう。
今のあの子にはもう自分たちの声が届かない所に行ってしまった事が。そして自分たちではあの子を楽にするだけしか術を持たないことを。
私が吐血したことを見て顔を青ざめていたエヴァンス様。私の病弱さを目の当たりにして、負担を掛けさせるくらいならばと思ってしまったのでしょう。
確かに血を吐いている子供に今からあの暴走を止めろなんて、言えないですよね。
大の大人でも止める事の出来ない魔力の暴走。
それはもう普通の人間でも可視化出来るほど高密度で、濃厚な魔力です。
あの魔力が今一度放たれてしまえばこの辺一帯の地域ごと吹っ飛ぶことでしょう。しかも魔力の塊の爆弾は大地を作物の実らぬ不毛の大地へと変えますし、生態系にも異変を来し、最悪魔物などの温床である澱みを生み出します。
それを血反吐吐いてる三歳の子供に止めろなんて言えません。寧ろ言った瞬間、人の心は無いのか!?と思いますとも。鬼の所業です。
でもそれは普通の子供の場合。私では当てはまりません。だって私が死ぬのは“ここ”ではないのですから。
「エヴァンス……お前はそれで良いのか?」
静かに父さまがエヴァンス様へと尋ねます。しかしエヴァンス様は父さまの言葉にその疲れた表情を変えました。まぁ言っちゃえばプッツンしました。
「——良いのか?良いのかだって!?良いわけあるか!あの子は私たちの大事な家族なんだぞ!!ずっと守ってきた、大切にしてきた息子だ!あいつの忘れ形見だ!誰だって殺したくなどないっ!」
「父上……」
「だが!仕方ないだろう?!あの子の暴走はもう止められやしない!これ以上は抑えられないんだ!今だってあの子に掛けた最後の封印が解けかけている……解けてしまえばあの子は全てを破壊するだろう。全てをだ!この地はもちろん、国ごと壊すことだって出来る!だから今、今止めねばっ!」
父さまに掴みかからんばかりに迫るエヴァンス様をイース様が抑えます。その剣幕は必死に息子を守りたいと思う父親の顔でした。
「父さま……」
親友のその姿に目を閉じる父さま。何かを苦悩し、何かを思考するその表情に私は見つめます。
「ルイシエラ」
「はい」
すっと互いに交わる金と赤紫の視線。
「……頼めるか?」
「ふふっ父さまが信じてくれるなら、大丈夫!」
心配そうに見つめるその目を真っ直ぐ見て答えます。
そうか。と少しだけ力を抜いて笑う父さまに頷きます。
「ガウディ?何を……」
父さまの腕の中から下ろされ地に足を付けます。
そんな私たちの行動に疑問符を浮かべるティリスヴァン公爵家の方々に、私は笑いかけます。
だってまだ諦めるには早いんですから!
でもその為には彼らの気持ちを聞かねばなりません。例え無事彼を救えたとしても、同じ環境では意味が無いのです。
だから私は問い掛けます。親であり、立場あるその人に。
「——エヴァンス様、貴方はあの子をどう思っていますか?」
「それは……?」
「彼は人を殺しています」
「っ!?」
私の言葉に場の空気が凍ります。
表情を強張らせてこちらを見るティリスヴァン公爵家の面々を見回し、そして私の眼はエヴァンス様に向かいます。
その小さな異変も見逃さないように、心の揺らぎを見つめるように、彼の眼を覗き込みます。
「貴方の最愛の妻である方を」
「それは……!」
何故それを!?と驚きを露わにするエヴァンス様。
さっと目配せするのは父さまですが、父さまも驚きに眼を見開いています。
まぁ表向きには産後の状態が悪化して亡くなったという事になっているのでレイディルが原因とは知られていない筈です。ですが私は知っています。
勿論ゲームの知識があるからですが、今の私は“視える”のです。この瞳はその為にあるようなもの。
だからこそ、告げます。その覚悟の真意を。もし彼が助かった先。どうなるのかを。
「残念ながら彼にはその罪が生きている以上どうしても付いて回る事でしょう。“親殺し”と彼は心無い人間たちに言われ続けてきました」
彼の記憶を垣間見た。その中に何回も何回も繰り返して思い出される言葉。
望んでなんかいなかった。何故自分を産んだんだ!と慟哭の様に叫ばれる言葉。
大切な父親の、大切な兄弟の、大切な、大切な母親の命を奪ってしまった自分。
自分自身を責める言葉は何時しか自分を呪う呪詛となってしまった。
「あの子は産まれてきた事を後悔しています。自分の所為で母親の命を奪ってしまったことを。家族の大切な人を奪ってしまったのだとずっとずっと自分を責めているんです」
私の言葉に絶句するエヴァンス様。
その胸中には私ではまだ理解できない複雑な想いが渦巻いているのでしょう。
最愛の妻の忘れ形見。愛しい我が子。
大事に守り、大切に育ててきた。亡くなってしまった妻の代わりに人一倍愛情を注いできたのに……。
当の本人の気持ちを聞かされ、その命を子供自身に否定されて……。
エヴァンス様にイース様、ラウディ様は慣れない子育てに苦戦しながらもレイディルの成長を見守っていました。
その強大な魔力を持ってしまったが故の苦難を少しでも軽くしようと国中を駆け回り、仲間を、理解者を集めます。そんな忙しい中、少しでも時間を作っては側にいました。
だけど……要らぬ言葉を囁く周囲。心無い言葉に人知れず傷付いていったレイディル。
私はレイディルに怒っていますが、それと同じくらい同情もしています。
だって下手すれば私だって彼と同じ立場になっていたかもしれないのですから。
私もまた母さまの命を脅かしながら産まれました。幸い私には女神ルーナが手助けをしてくれたからこそ母子共に健康ですが、もし自分がレイディルと同じ立場だったらと思うとぞっとします。
だからこそ、出来るだけこの家族が幸せにあれる未来を紡ごうと言葉を重ねます。
「あの子はずっとその命を後悔して、自分の心を否定しています。それをどう思いますか?」
安い挑発です。人の精神を逆なでするように……良心が滅茶苦茶痛いですが表情は笑って告げます。すると。
「——そんなの関係などない!」
「イース」
「レイがどんなことを思っていようが……あの子は俺たちの唯一の弟で家族だ!!」
エヴァンス様より一歩離れたイース様が叫ぶ。
でもその言葉は何より、私が聞きたかった言葉でした。嗚呼、良かったと内心ほっとします。
色々と煽った言葉になりましたが、ここで何も言われなかったらどうしようと思いました。
真剣な表情で力強く頷いてくれたエヴァンス様達にならば、と告げます。
「ならばどうか、どうかあの子の事を諦めないでください。最後まで何があっても、あの子が戻ってくることを、あの子の強さを。あの子は逃げました。力を恐れる周囲に眼を瞑り、耳を塞ぎ、口を閉ざして全てを拒絶して、もういいやと全てを投げ捨てました——自分の命さえも」
ひゅっと息を吸ったのは誰だったのか、ごくりと生唾を飲み込んだ音が聞こえました。
「だからこそ、それをあの子に言ってあげてください。他でも無いあの子じゃないといけないんだと。自分自身を否定するあの子を何が何でも肯定してあげてください。そしてあの子が戻ってきたときは叱ってやってください。こんなに大事に思ってるんだと、何をしているんだと。もっと頼れと怒っていいんです。叱っていいんですよ」
エヴァンス様達とレイディルにはもっと会話が必要だと思った。
もっと腹を割って話して、喧嘩だってしたっていい。殴り合いだって大いにすればいい。そうして衝突して大事なんだと力づくで分からせないとあの弱虫は気付けないから。
自分が必要な人間なんだって。
——化け物、親殺しと後ろ指を指され、罵られて来た小さな世界でも一つだけ安心できる時間がレイディルには確かにありました。
それは大切な家族と共に過ごす一時。しかし母親を奪ってしまった負い目にレイディルは彼らに本心で向き合うのが、甘えるのが出来なかったのです。
父親も兄たちもそんな一歩引いて接してくる子に、弟にどうすればいいか戸惑いが多かったのでしょう。ゲームでは暁の神子と親密になった時に彼が零すセリフがありました。
『私ももっと家族と喋れば良かった』と。後悔を滲ませて口にしたレイディルは寂しそうに儚げに微笑んでそう言うのです。
そんな未来など、今ここで覆してやろうではありませんか。
「そうしないとあの子はずっと勘違いしたままで、心の中に引き籠っちゃうので」
ふふっと笑って見上げたその先。
エヴァンス様は泣き笑いのような表情をしているのが見えた。
「ルイシエラ嬢」
「はい」
「……またあの子と言葉を交わせるのだろうか?」
「はい」
「あの子と笑い合えるのだろうか?」
「もちろん」
「——あの子を叱れるのかな?」
「そこはエヴァンス様が毅然とした態度で怒っていただかないと」
寧ろイース様かラウディ様でも良いですよ?
「あの子を……助けてくれるのか?」
そう言われた言葉に私はゆっくりと頭を下げます。優雅に礼をした先。私なりの覚悟を決めて見上げたのは助けを求めるティリスヴァン公爵家の人々。
「≪ルイシエラ・ロトイロ・ヴァイス・アウスヴァン≫の名において、お約束いたしましょう。この身、この力をもって女神ルーナより授かりし祝福に誓って——貴方方の大切なお方をその手にお返しすることを」
それは名前を懸けて、魂を、誇りを懸けて誓った誓約の言葉。
くしゃりと顔を歪めるエヴァンス様。
大丈夫と込めた笑みはどう映っているのでしょうか。
でも頼むと、下げられた頭に私は頷きます。
さぁ——あのバカの眼を覚ましてやろうではないですか!!




