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暁の姫君と黄昏の守護者  作者: zzz
第一章
20/79

Act.19 [向き合う覚悟]

 



 それは困難な道かもしれない。苦難の日々かもしれない。


 それでも。守りたいと思った人がいた。助けたいとずっと悩んでいた人がいた。



 だからその為に私は強くあろうと思った。



 ********************




 ルイシエラ・ロトイロ・ヴァイス・アウスヴァン



 人々が住まう大陸、イリス大陸での大国ジゼルヴァン王国の王位継承者の一人であり建国の祖、初代国王の実の兄であるアウスヴァン公の血の後継者。

 世界にその名を轟かせる紅蓮の獅子将軍ガウディ・ヴァルバロス・アウスヴァンとタナシュト公国の魔女、最後の精霊術師であるスーウェ・セシル・アウスヴァンの一粒種。

 女神ルーナの祝福をその身に宿し、世界を滅ぼす闇を浄化できる唯一のお姫様。


 しかし身に余る魔力に身体は丈夫とは言えず、心に身体が追いつかない苦悩に悩む一人の少女だった。



 彼女に転機が訪れるのは五歳の時。


 父親から紹介された一人の少年。同じく神からの祝福を授かり、その力故にアウスヴァン公爵家に預けられた哀れな子供だった。

 二人は常に一緒にいた。お互いの欠点を補うように、同じ悩みを分かち合い、不安を打ち明けそして笑っていた。幸せな日々だった。

 まるで本当の兄妹のような二人に周囲も微笑ましく見守り、やがて少年は守りたいと思った心を忠誠心に変えて小さな姫君にその剣を捧げた。


 それは二人だけの内緒の約束。

 お互いが慣れないことにぎこちなく、でも「絶対に」と誓った心。

 少年は何があっても守り抜く事を、少女は彼の心が安らげる場所である事を、お互いが望む姿を知っていたからこそ二人だけで結んだ約束。


 しかし幸せな夢は身勝手な欲望により儚く散った。



 この世界で唯一、闇へと対抗できる少女はその能力に眼を付けた人間によって命を散らしたのだった。


 それがゲームの中のルイシエラの一生。8年という短い生涯。


 その運命を変えようと今まで頑張ってきたけれど……違うんだ。今は私がルイシエラ。私はゲームの中の存在ではない。だからこそやらなきゃいけない事が、出来る事がある。

 ゲームの中では闇は世界を覆ってしまう程に広がりそして幾多の悲劇を起こしていた。ゲームの中ではただの一文で足りる説明だったけど……その中には確かに犠牲になった人たちがいる。

 それらを助けたいと思った心があった。設定だからと言われればそれまでだけど、でも出来る事ならばそれを助けたい。だから強くならなきゃ。助けられるように、力になれるように。



 私はこの世界で生きていくんだから――。





 *



「お嬢様。あまり無茶はなさいませんようにとお伝えした筈ですが?」


「ご、ごめんなさい」



 眼の前にはにっこり笑顔なのに何やら背筋が凍るほどの雰囲気を醸し出すゼルダ。確かに私が悪いんですけど病みあがりにその表情は止めてくださいお願いします!

 自業自得ですが、ゼルダの説教モードが解除される事なくベットの上で小言を喰らいます。



 うぅ……ゼルダ怖い。


 ガタガタブルブルと震えます。



 ちなみになんでゼルダから説教されているかと言うとまだ病みあがりなのにも関わらず部屋を脱走して庭で遊んでいたからでした。……うん。分かっていたよ。脱走している時点でゼルダの説教からは逃れられないって……でも限界だったの!もう部屋で独りぼっちは辛いんだよ!


 前までならば翡翠さんとかが居て寂しさも和らいでいましたが、今は基本的に一人で部屋で安静中です。つまんないし、会話の相手も少ないしもう暇で暇で。限界についつい風の妖精さん達の甘言に誘われるままに脱走しました。

 だって窓の外で楽しそうに空中を漂っているのを見て身体がふらふらと……うん。今度からはきちんと了解を得てからにします。



「お嬢様」


「ひっ!はい!なんでしょう!!」


 今ぞわってした。なんか背筋がぞわってしたよ!


 今まで聞いた事のないくらい低い声にぞっとします。悲鳴が出たのは不可抗力です。


 しかしゼルダは私の冷や汗だらだら流れる顔を見て何を思ったか深い、それは深ーいため息を吐きました。


 あ、どうしようすっごい嫌な予感が……



「お嬢様がそんなにお寂しいと感じているとはこのゼルダ気付けもせずに申し訳ありません」


「え、えっと」


「不肖このゼルダ、お嬢様の為にこういったものをご用意させていただきました」


「うわ」



 さっとどこからともなく眼前に出てきた物に私の頬が引きつります。


 ば、ばれてたのか……。


 それは真っ白な布。まだ一つの色も無く、彩りを挿される事を今か今かと待つものでした。それをピンっと張る木枠に色とりどりの刺繍糸。うん、誰がどう見ても完璧な刺繍セットです。ありがとうございます。

 しかもスッと優雅に差しだされたのはすでに糸が通された一本の針。というかまず幼児にこんなもの持たせないで下さい!!


 実は前世から師事した人が匙を投げる程の不器用な私です。胸を張って出来ないと断言できます。


 以前淑女マナーの一環として軽くですがメイドのルーナさんから教えをいただきました。しかし結局は血染めのハンカチができましたとも。即刻処分しましたよ。


 しかしいつゼルダにばれたのか。ルーナさんには内密にしてくれとお願いしたのに!!


 ゼルダは完璧主義なのか出来ないものや不得手なものほど克服するために労力を惜しみません。

 しかも完璧にこなすまでとことん、嫌になるほど課題の山が課されます。以前、苦手な語学の授業の際目の前に積まれていく宿題の山に魂が抜けたのも記憶に新しいです!!



 ――元々、手芸とか細かい作業は苦手な分それとなく躱していたのに!!何故バレたんだ!?



 嫌そうな表情を浮かべてもゼルダは怖い笑顔を深めるだけ。いやなんか背後に黒いオーラとか背負ってません?なんか部屋の中が暗く……あ、気の所為?そうですよね。



「さぁお嬢様。立派な淑女になるために苦手なものも克服なさいませんと」


「……うぅ」



 フフっと笑うその声さえひやりとします。……ゼルダさん楽しんでいません?



「そんな滅相もない!全てはお嬢様の為でございます」



 しれっと言いますが明らかに私の嫌そうな表情にある意味いい笑みを浮かべるゼルダ。うん。これ以上突っ込むともっと最悪な結果になりそうです。


 誰も好んで藪を突きたくはありません!

 私はニコニコと笑みを浮かべるゼルダから眼を逸らしていそいそと刺繍のキットに向き直りました。

 それを見てゼルダは紅茶を用意して退室していきます。


「後ほどまた窺いにまいります。」そう言って笑みを深めるゼルダ。

 ああ、この後きちんとチェックするんですね。そうですか。



「それでは」


「うぅ……わかりました」



 音なく閉まる扉。再び部屋に私一人です。





 嫌だ嫌だと不貞腐れてベットでため息を吐きます。


 ふと眼の端に映ったのは()()翡翠さんの石。



 ――あの時、私が彼に掛けた術は闇を浄化し、そして周囲に影響を与えないように封印するものでした。


 無我夢中で詳細はあやふやな部分もありますが何かに付き動かされるように突き刺した手。怪我自体は高い自己治癒能力で治りましたが術を使った反動なのか、傷跡だけはまだ残ったままです。

 それでもこの傷から流れ出た血は魔術の触媒として高い力を発揮し、翡翠さんと同化し封印石として成りました。


 “封印石ふういんせき”とはその名の通り何かを内に封印する力を持つものです。

 これは魔力自体が結晶化した“魔石”を使用し、基本的には属性魔法を封じ込めて使いますが、魔石の純度が高ければ高いほど封じる力は強大で妖精や精霊を中に閉じ込められる能力もあります。

 古来より闇に染まってしまった……俗に言う“闇堕やみおち”した者たちを封印するのに封印石は存在します。

 そしてその石をイメージして行使した術。

 私と翡翠さんを繋ぐものもまたこの身体に流れる血液だからこそ完璧な程に出来た術でしょう。


 私が翡翠さんと契約した時、身体に契約印は刻まれていませんでした。

 それに思い出したのは契約時、意識を失う前に真っ赤に染まった視界。それを私は頭痛が齎した幻覚や幻視の類いだと思っていましたがどうやら本当にあの時私の視界は真っ赤だったのでしょう。

 私と翡翠さんが交わした契約は、魔術を使った契約としてはとても重く、代償が最も過酷な契約<盟約めいやく>と呼ばれるものでした。


 これは契約を行う側と、契約を受け取る側を血を媒体に魂を結ぶちぎりです。例えこの世界の神々でも切ることの出来ない繋がりを私と翡翠さんは結びました。

 この契約は契約を持ち掛けた側が命も魂も相手に捧げて初めて結ばれるもので、逆に契約を受けた側は例え死んだとしても相手側の生死与奪を握る誓約です。


 “未来永劫共に在れ”と望んで結んだえにし。今世が終わっても来世でもまた会える約束を互いに結びました。


 しかしこれは対等のモノではなく、一方の代償が大きいため不平等な契約として今や失われたちぎりです。

 真名まなと呼ばれる魂に刻まれた個の名前を交わし、いにしえより魂が融けた“命の水”とされるその血液を交換して初めて結べる契約です。

 全てを私に捧げてくれた翡翠さん。

 私たちの繋がりは神のことわりや森羅万象すら捻じ曲げます。


 それに私があの時口にした“翡翠”の言葉。

 私は単純に彼の瞳の色から名付けていましたが、翡翠とは前世では様々な意味を持つ石でした。


 かの石は古来より病気などの浄化を手伝う力や清浄をもたらすものとされ、色の緑は自然を表し命の目覚め、芽吹きを表します。


 だから私は彼の名前を呼びました。

 今世の言葉ではなく、前世の言葉で。

 これで闇を浄化できたらと思って口にした言葉でした。

 お陰で元々魔術的要素が高い日本語に加えて、癒しや浄化などの言葉も盛り込んだ呪文。効果は抜群です。


 この石は翡翠さんそのもの。そしてこの石の色は翡翠さんに侵蝕した闇が表面化しているためにこんな真っ黒になっています。まるで黒曜石のようです。

 この中で翡翠さんは眠り、少しずつではありますが闇を浄化していっている状態です。この闇を浄化しきれば翡翠さんは眼を覚まします。



「……だから早く、起きてくださいね」



 つんつんと突いて呟きます。それまでこの石は私が絶対に守るんですから!




 ころりころりと転がる石を膝の上に乗せて手には刺繍針。反対の手には木枠を持ちます。

 布の大きさからいってこれはハンカチ用でしょう。無地の布を木枠に挟みピンっと張り詰めます。


 まずはゼルダに怒られない様に少しは進めていなければ。……結果はどうであれ。





 ちくちくと一針一針糸を指していきます。ご丁寧にも見本の物まで一緒に用意されていたのでそれを見つつ、慎重に針を刺します。



 でも限界は近いです。もう手はプルプルいってますし、っていうか三歳児にこんなのやらすなと言いたいです。

 ぐさぐさ指に刺し傷が付いた先から治って行きます。でも痛いモノは痛いんです!



「疲れた……」


 ぽつりと呟いた言葉に返答はありません。いつもはいる筈の護衛の方々は最近いないみたいですし。いつも以上に厳重に張り巡らされた結界は虫一匹たりとも侵入させません。

 どうやら祝福の覚醒の影響か今まで以上に視える物がとても鮮明になりました。今まで気付かなかった結界の陣とか見える様になりましたし、そろそろ反則的な程ですよね。


 それは兎も角、珍しく本当にたった一人の部屋で針を置いてつかの間の休憩に身体を伸ばします。

 未だに整わない体調はすぐに熱を発したり、昏倒したり前世を彷彿とさせるほどの病弱となってしまいました。


 まぁ、病弱な身体との付き合いは長いですから自分なりの限界も知っていますしそれは良いんですが、少し困ったのはそんな私に今まで以上に過保護になってしまった周囲のみんなです。

 心配してくれるのは良いんですが、ちょっと心配し過ぎだと思います。



 ふっと体の力を抜けば途端に感じる疲労。ゼルダに強くなりたいと教えを乞いましたが、まずはきちんと身体を整えなければ。


 今までこの世界がゲームの世界だと知り、死亡フラグを折るために奮闘してきましたがそれはあくまでことが起きてからの備えでした。

 もっと最悪な未来にならないよう動けるのにも関わらず、私は過去に起きた出来事だったからとそれをスルーしてしまうところでした。確かにゲームの時間軸では過去だったかもしれませんが、今の時間軸から言えば私の記憶に残っている過去は今の未来です。何のために記憶を持っているのか。その本当の意味と有意を知ろうともしなかった以前の私をぶん殴りたいです。


 ルイシエラが死ぬのは八歳の時。今の私から五年後なのでまだ時間はあるとも言えるでしょう。


 考えないといけない事は山ほどあります。

 ゲームでの攻略対象者だった男の子たちの現在の状況と世界の実情。それらも調べなければなりません。今の私はまだまだ弱いです。身体はもう丈夫とも言えない状態ですし、一人では出来ない事が多いので味方も作らなければ。他国にも干渉するならばそれなりの伝手つても見つけないといけないでしょう。



 それに今頃思いだしましたが、今ルイシエラである私が三歳と言う事はメインの攻略対象者がこのジゼルヴァン王国に揃っているという事です!


 一人目はルイシエラとの幼馴染である騎士団長。

 二人目は確かルイシエラと同い年の筈である国一番の魔術師。

 そして三人目は魔術師の二歳年下のこの国の王子が居る筈ですが彼らの話を一切聞いたことがありません。


 基本的に攻略対象である彼らは私と同じく神々の祝福持ちです。同じ祝福持ちならば噂など聞いてもおかしくないのに何故聞いたことが無いんでしょうか?

 何か事情があるにしてもその辺も調べた方が良いでしょう。


 世界の現状としては、まだ闇が広がっているとは聞いた事が無いのでまだ余裕はあると思います。しかし油断は出来ません。

 闇が力をつけてしまう原因は争いや人間の負の感情。それらを抑えればある程度は回避できるイベントはあります。



 と言っても私が主に攻略したのは王子、魔術師と傭兵、そして本命の騎士団長なのでその四人のストーリーに絡んだ物しか覚えてないです。

 一応スチルフルコンプで特典があった為、隠しキャラ含めて全てのキャラの攻略はしましたがうろ覚えの所もあります。それらをかんがみて出来る事を模索します。




「私は……どうするべきなのかな?」



 ころころと小さな手の平を転がる翡翠さんの石。



 目覚めた祝福。眠ってしまった翡翠さん。弱くなった身体。出来る事、出来ない事。自分の限界と自分がしなければならないものを思考し熟考し答えを導きます。



「私はみんなを守りたい。」



 一つ呟く。それは私が今一番強く想っている事。



「私は生きたい」


「私は助けたい」


「私は……」




 つらつらと零していく言葉は心の吐露です。

 いつも前世の時から悩みがある時は自分がしたいことを、思っていることを呟く癖があります。


 傍目から見れば不審人物ですが今は私一人だけなので安心して言葉として口から溢していきます。



 そうして心に残ったのは一つの想い。



 ――私は世界を見てみたい!




 どんな人がいるんだろうか。どんな生き物がいるんだろうか。ふと思った疑問は次々と沸いてきます。


 それは実に単純な想いでした。生きたいと願った私が何故そう強く想ったのか、何故死にたくないと後悔を叫び恋をしたいと純粋に思ったのか、その根底の考えに眼から鱗が落ちる気持ちです。



 私の世界はあの白い病室の一室だけでした。


 お気に入りのぬいぐるみにゲーム、花瓶に活けられた花々。変わりの無い日々。時間通りに用意されるご飯に検査と治療の日々。


 外に出た事はたった数回だけ。それも車で移動して半日しか許可されませんでした。触れ合える自然は少なくいつも窓越しに見る遊びまわる子供たち。


 幸いネット環境などは整えて貰ったのでテレビとネットで知識は蓄えました。でも圧倒的に触れて直に見聞きし経験したこと無いのにそれを胸を張って知っていると言えるのでしょうか?


 ふと思った疑問に即座に否定する心。



 ああ、私は知りたかった。経験をしてみたかった。

 人と触れて、触れられて喧嘩したり笑って泣いて直に友達を作ってみたかった。恋をしてみたかった。世界を旅してみたかった。世界をこの目で見たかった。画面越しでも窓越しでもなくて。



 本当に魂で叫んでいた事の意味を今頃気付くなんてなんて私は馬鹿なんでしょう!


 何のために生きたいと思ったのか、どうして“私”じゃなきゃいけなかったのか。それを今更知るなんて!



 過ぎ去ってしまった時間を思い、これからの時間に想いを馳せます。


 ――まだ時間はある。出来ることはある。


 今度こそ今ある時間を有意義に使わなければ。時間は無限ではなく限りなく有限です。



「でも、楽しまなきゃ」



 女神ルーナとの邂逅の際、彼女は幸せになってと言ってくれました。ならば私なりにこの生を謳歌しましょう。

 ゲームの世界だなんだのと未来を考え縛られるのではなく。ルイシエラとしての人生をきちんと考えて生きましょう。


 ()()()()()()()()に胸を張って生きたんだ!と言えるような人生を。


 後悔をしないように。翡翠さんが目を覚ました時、彼が誇らしく思えるような自分でいたいのです。




 ――コンコン


「はい!」



 決意も新たに掲げた拳。



「失礼致します。お嬢さ――……」


「あ」



 パチリと目が合ったのは美しい程に澄んだ灰色の瞳。




「……」


「……」



 お互い時が止まったように動くことなく無言になります。


 ……片や血だらけの縫いかけの布を持って拳を掲げる少女。片やお茶のお代わりを持ってカートを押す美老人な執事。



 気まずい事この上無いです。



 何故返事した自分!?と内心自分自身を罵りますが既に注目を浴びている拳を下ろすことも出来ず蛇に睨まれた蛙のごとく固まります。


 どれくらいの時間が経過したのか、長くとも短い時間にゼルダがいきなり震え始めたではないですか!!



「え、あのゼルダ……」


「お嬢様!このゼルダ感動いたしました。まさかそんなに気合いを入れてらっしゃるとは……」



 WHY?



「お嬢様のそこ心意気を無駄にせぬよう私も心を鬼にして参りましょう!」



 いやいやいや!何言ってんの!?


 つーか震えてたのは感動してたから!?




 え?え?え?



「さぁお嬢様!」



 キラキラと疑い無きまなこのゼルダ。


 いや、そんなキラキラした目で見ないでください!

 ってか段々とギラギラしてきてるのは……あ、気のせい?そうですか。




 ドサッと目の前に山となる布の塊に頬が引き攣るのを感じます。



「あの、ゼル……」


「さぁお嬢様やりましょうか!」



 ど う し て こ う な っ た !?







 ――その後の記憶は私にありません。


 ただ鬼のようなゼルダと血に染まった布達。指に突き刺さる針の感触だけがおほろげに覚えているだけでした……。




 大事な事なので二回言います。



 ど う し て こ う な っ た !?








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