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ル・ガル帝國興亡記 ~ 征服王リュカオンの物語  作者: 陸奥守
大侵攻~ル・ガル滅亡の真実
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イナリvsヒルダwithウォルド

~承前




 その時、唐突に激しい衝撃が城全体を揺らした。

 不意の衝撃でカリオンは思わずたたらを踏む。


「何が起きた?」


 下から激しく突きあげる様な衝撃。

 そして同時にストンと落ちる様な浮遊感。



     ――――――戦っているな……



 言葉にはしないまでも、誰もがそれを理解している。

 ネコの女王と九尾のキツネによる異次元の戦闘だ。


「……ヒルダが正体を現したのかも」


 リベラの陰にいたリリスはそんな言葉を漏らした。

 巨石インカルシごと持ち上がったり落ちたりしているのだ。


 そんな事をやってのける存在など、そうそう居るわけない。

 リリスをして異次元の存在であるふたりの直接対決は、結果が全く予測不能だ。


「強い魔力を感じますが、それ以上に何かこう……」


 今は作り物の身体になっているウィルは少し辛そうに言った。

 強い電波を出すアンテナの近くでは蛍光灯が自然点灯するのと同じだ。


 魔力により動いているのだから、自分以上の強い魔力には影響される。

 かつてキツネの都へ赴いたリリスがそうであったように……だ。


「これは魔力とは言いますまい」


 まだ肉の身体でしかないハクトも少し辛そうだ。

 言うなれば、相手の威に圧される状態とでも言うのだろうか。

 魔力操作に長けている分だけ、誰かの魔力には敏感なのだろう。


「葛葉御前よ」


 リリスは頭を抑えつつそう言った。

 強烈な魔力の拡散。そして、世界への干渉。


 不可能を可能にする圧倒的実力者は、その牙を剥こうとしていた。

 同じ様に圧倒的な実力を持つ存在と対峙しているが故に……だ。


「とにかく前進する。歩きにくいがな」


 玉座回廊から大広間へと続く大階段は、遠い日に歩哨として立った事もある。

 あの頃は守る側だったが、今は守られる側だ。

 しかし、それと同時にカリオンは確信していた。


 今は国民を守る立場である……と。

 自らの双肩に5000万余の国民が命を預けているのだ……と。


 そう思うからこそ、現状の無力さで苦笑いを浮かべたカリオン。

 隊列の先頭にいたイワオはわずかに首肯して歩き始めた。


「しかし、これ程の実力者が世界には居たのだな」


 何処か達観したかの如くに呟きつつ、ハクトはそう漏らした。

 大魔導士尾頭に使える三賢者の一角として世界に君臨していたウサギが……だ。


 そこには多分に己の不明を恥じる部分があり、また見識の狭さを嘆いている。

 だが同時に、新しい知見を得て世界を広げたと言う悦びもある。


 世界の全て。森羅万象の理を解き明かしたい。

 神の摂理に触れた魔導の研究者は、誰でもそう願うものだ。

 だからこそ、己をはるかに超える超上級者がそこに居るという事に感動した。


 しかし……


「あそこにいるのは魔法使いでも何でもない。単なる化け物さ」


 いつの間にかやって来たセンリが吐き捨てる様にそう言う。

 つい先程までヒルダに捕らえられていた筈なのに……


「あのネコの女王。あれはいったい何なのだ?」


 足を止めたカリオンは率直にそう問うた。

 それは、センリの正体をへの疑問でもあった。


「見た通りさ。ネコの中に居た特別な才能がある者を幾人も集め、禁呪を使って交配を繰り返し魔力を増幅させるのさ。そして、一定の水準に達したバケモノを集めて、今度は融合させる。魂自体を融合させて、そこに溢れるほどの命を乗せる。そうするとああなる」


 心底嫌そうな口調でそう説明したセンリ。

 そんなセンリへ今度はウィルがたずねた。


「では、そなたは何なのだ? 本来ならあの女王の一部となる筈だったのかね?」


 それは魔導師ならば誰でも知りたい部分だろう。

 センリは顔を顰めてから言葉を返した。


「そうさ。その通りだ。魂が九つまで重なったネコは尻尾が割れて二股になる。あたしはそんな実験体の生き残りだ。産み月に入った女に禁呪を使って子供と融合させるのさ。その状態からさらに幾人もの男に何度も抱かれて何度も胤を注がれて、同じ事を繰り返して命を幾つも重ねてくのさ」


 あまりにおぞましいネコの社会の暗部。

 だが、それをせずにはいられなかったネコの社会の現実。


 圧倒的な魔力と魔導による国体防御が必要な社会。

 獅子の国と国境を接すると言う事の現実が突きつけられた。


「では、そなただけでなくあの女王も?」


 カリオンの問いに嫌そうな顔をしつつセンリは頷いた。

 そこに見えるのは怒りではなく哀しみだった。


「ふたつの意思が一つの身体に宿る。それ自体が神への冒涜だ。けどな、当人たちはもう後戻りできない。だから次々と融合していく。ただ、過去幾度も実験して見た結果、12名は越えられないことが分かった。だから……」


 遠い目をして唇を噛むセンリ。

 もはやそれ以上の問いは彼女への暴力だ。


「陛下。脱出を急ぎましょう」


 良いタイミングでヴァルターが声を掛けた。

 ウォークが居ない関係でヴァルターが側近ポジションにいた。


「そうだな。このままでは――」


 カリオンが何かを言いかけた時、足元がグッと持ち上げられる錯覚に襲われた。

 城が、城を乗せた岩自体が再び大きく持ち上げられている。

 そう確信したのだが、ここでは対処が出来なかった。


「急ぐぞ」


 カリオンの右手がスッと上げられ、パタリと前へ倒れた。

 言葉にならぬ『走れ!』の指示であり、突撃の意思表示だ。


「承知!」


 ヴァルターは剣を抜いていきなり走り始めた。

 それを見たコトリとイワオも走り始める。


 大広間を抜け、謁見の間へと続く回廊を横切り、再び階段を降りてゆく。

 その先にあるのは帝国議会に使われるふたつの議場だ。


 議員の控室が並ぶ通りは城の大手門へと続くメインルートでもある。

 そこを走って行った時、前方から誰かが掛けて来た。


「何奴! そこへ直れ!」


 騎士式に誰何したヴァルター。

 だが、その声に怯まぬ声が帰って来た。


「親衛隊長! 王は何処に!」


 走って来たのはウォークだ。

 抜き身の剣を持ち、僅かに返り血を浴びている。


「ウォーク! 余はここぞ! どうした!」

「陛下! 大手門にネコの剣士が! 御下がりを! いまルフが対処中!」


 その後、ウォークは手短にあらましを説明した。

 最短ルートを辿って大手門へ行こうとしたが、獅子の剣士に遭遇した事。

 そんな剣士に対し、同じく脱出中だったルフが合流して対処した事。


 一本道でしかない所では魔法による攻撃が殊更によく効く。

 ルフの炎系魔術により怯んだ獅子だが、そこにネコが参戦した。

 そちらの対処に当たったウォークは、多勢に無勢と悟ったようだ。


 だが……


「最終的には親衛隊が駆けつけてくれたので派手な乱戦になりました。現在も戦闘中と思われます」


 それを聞いたカリオンは大きく頷いた。


「よろしい! 余も参戦するぞ。押し返せ! イワオ! コトリ! 全て城外へ叩きだせ! 良いな!」


 カリオンはブロードソードを持ち直し、そのままズイズイと歩き出した。

 ウォークはそれを止めようとしたが、そんなウォークをリリスが止めた。


「もう遅いわよ。やる気になっちゃったんだから」


 ウフッと笑いながらカリオンの後に続いたリリス。

 それを見ていたウォークは小さくため息をこぼして言った。


「陛下! 獅子の剣士は100名を越えます!」


 普通に考えれば多勢に無勢だろう。

 ル・ガル中から集まった選りすぐりの親衛隊でも荷が重いはず。


 だがここには、親衛隊ですら問題にしない戦力が幾つもそろっている。

 なにより、オリジナルの覚醒者が居るのだ。

 それを思えば獅子の剣士など物の数では無かった。


「心配するなウォーク! 余はル・ガルで最も幸運な男ぞ!」


 ハハハと笑いながら歩くカリオン。そんな一行の前に獅子の剣士が現れた。

 好機とばかり襲い掛かって来るのだが、その前にイワオが覚醒体になった。

 狭い通路を塞ぐように立ち塞がったイワオの拳が唸りを上げる。


 その次の瞬間、剣を構えた獅子の剣士がただの挽肉へと変わった。

 圧倒的な戦闘能力差が獅子を圧倒し始めるのだった。






     ――――――同じころ






「バカな……」


 巨大な肉塊でしかないヒルダは半ば呆然としていた。

 持てる魔力の全てを使って引き裂こうとした相手が、まだ笑っているのだ。


「そなたはどこから来たのだ」


 どこか遠くから響いてくるような声。

 全ての生物が持つ根源的な恐怖を励起するような声。


 圧倒的な神々しさをまき散らしつつ、真っ白い存在がそこにいた。

 イナリ・ミョージンと呼ばれた存在を最も単純に表現するなら、それは神だ。

 キツネをまとめ総べる圧倒的な存在であり、人よりも上位にある存在。


 多くのキツネは口を揃えて言う。

 キツネはイナリの眷属であり、僕であり、従卒である……と。

 獅子を相手に大立ち回りを演じ、ウサギやネコ相手に魔法戦を行う。


 そんなオールラウンダーなイヌの上位であるキツネたち。

 彼等はその全てがイナリの為に存在すると心魂より信じていた。


「これはどうだ!」


 ヒルダの11体が一斉に事なる魔法を使った。

 詠唱も魔力を練り上げる事も無しに、様々な効果が顕現した。


 だが……


「それはもうよい。時間の無駄に過ぎぬ」


 イナリはまるで煙でも払うように手を払った。

 するとその瞬間、ヒルダの放った魔法がスッと空中に溶けて消えた。


 世界を形作る理自体への干渉を可能とする存在。

 多くの魔導士が光や熱への干渉を能力の限界とするものだ。

 ヒルダはそこを越えて重力や空間座標への干渉を可能とする。


 しかし、そんな高位魔術を行使できる者でも辿り付けない領域がある。

 ひとつは生命の神秘と呼ぶ領域への干渉だ。魂に命を注げるのだ。

 そしてもう一つ、超高位魔導師ですら触れる事すら出来ぬ物がある。


 それは、時への干渉だ。


 時間は加速も減速も出来ないし、それをコントロールする事も出来ない。

 ましてやそれを飛び越えて、過去や未来へ行くことも出来ない。


 それが解っているからこそ、ヒルダは眼を向いて驚いていた。

 己の放った魔術の効果それ自体が時干渉によって掻き消されたのだ。

 具体的に言えば、限定された僅かな空間のみ時間を加速させて霧散させていた。


「……ばけもの」


 ヒルダが震える声でそう言った。

 どんなものにもメカニズムはある。論理があり理屈が付いて回る。

 イナリはその全てを飛び越え、必要な結果をいきなり顕現出来るのだ。


「こうなれば止むをえまい!」


 ヒルダは傍らに残っていたウォルドを鷲掴みにした。

 そしてそのまま、己の本体らしい肉塊の中へ取り込んだ。


「まっ! 待って! 待って! 止めて! あぁぁぁぁぁ!!!」


 小さな断末魔が響き、肉塊の中にウォルドが沈んでいく。

 何が起きているのかは解らぬが、11名のヒルダが一斉に声を上げた。


「あぁ! 素晴らしい!」

「感じる! 感じるぞ!」

「これで私達は完成する!」


 肉塊の片隅がボコリと盛り上がり、グネグネと鼓動し始めた。

 ややあってそこから両手が突き出てきて、グググと伸び始めた。


「そなたを歓迎する」「我らが姉妹よ」「そなたの命も心も我らと共に」「新しい世界を我らと生きよう」「我らを死が分かつまで」「強き美しき妹よ」


 ヒルダの頭たちが一斉に喋る中、両手から両腕が伸び、やがて頭が出た。

 キツネ耳を乗せたウォルドの身体が肉塊から生え始めたのだった。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!!!!」


 まるで断末魔の様な声が響いた。

 心弱きものであればそれだけでショック死するような声だ。


「やっと! やっと八尾になれるのに! あのイヌの王の娘から取った淦玉で進化出来たのに! 1500年掛かってたのに! 何てことしやがった!」


 自分自身の身体が生えている肉塊を拳で叩いて悔しがるウォルド。

 そんな姿を見ていたヒルダ達は一斉に怒った。


「痛いでしょ!」「何すんの!」「ばかっ!」「やめてよ!」「何すんのよ!」


 それは当然、自分自身の痛みでもあるのだが、ウォルドはそれを意に介さない。

 どれ程嫌がっても取り込まれた被害者でしか無いのだから、もう破れ被れだ。


 そして……


「やっ! やめて! やめてよ! お願いやめて! あぁぁぁ!!!」


 ヒルダの11名が一斉にウォルドを指差していた。

 何が起きるのかを興味深そうに見ているイナリの前でだ。


 肉塊から生えていたウォルドの身体がズブズブと肉塊に沈み始めた。

 必死の形相で『やめて! 許して!』と叫んでいるが、止まらずに、そのまま。


 ややあってウォルドの身体がほぼ肉塊に沈みつくした。

 胸から上だけのウォルドは声にならぬ声で泣きながら許しを請うていた。


「……で――」


 少し興醒めした様な声と共にイナリは切り出した。

 なにか小汚い物でも見るかのように、どこまでも醒めた眼差しで。


「――次は何をするのだ?」


 その言葉が癪に障ったのか。ヒルダの11名は一斉にイナリへ顔を向けた。

 まるで1万年の仇を睨み付けるかのような、怒りと憎しみの眼差しで。


「……何を偉そうに」


 クワッと開いた22の目がイナリを睨む。

 そして、そこにウォルドも加わった。

 言葉にならぬ声で、お前のせいだと叫びながら。


 ただ、この時その異常に気が付いた者は居なかった。

 ウォルドを取り込んだヒルダがウォルドの思考に影響を受け始めていた。


「お前が神か? 勝手に人を差配して偉そうに」


 ヒルダの放った言葉にイナリの表情が変わる。

 問題の核心を見抜いたかのような、その冷徹な眼差しにイナリが気付く。






     ――――――問題の核心






 それが何であるかはもはや意味を成さない。

 自分の身に降り掛かる諸問題の根本がそこにあるだけ。


 良いか悪いかでは無く、勝つか負けるかの局面。

 そしてそれは、己の存在を勝ち取る為の闘争だった。


「敵……か。私が」


 イナリが小さくそう呟くと、ヒルダを構成する12の顔が一斉に笑った。

 人の身でありながら神に戦いを挑もうとした存在。

 ウォルドがそうであるように、ヒルダもまた同じだった。


「この世を作りし主の御名において、お前を闇に返す」


 イナリの顔から一切の表情が消えた。

 慈母の笑みも、傲岸な支配者の余裕も……だ。


「負けるか……負けるもんか……」


 ヒルダ達はギリギリと音を立てるかの如き力で歯を食いしばった。

 そこにあるのは純粋な敵意だった。それ以外に介在する余地のない敵意だ。


「人の命を…… 心を…… 存在を何だと思ってる…… ふざけるな!!」


 ヒルダの持つ全ての手が空へと突き出された。

 その次の瞬間、一瞬にして空がパッと暗くなり、その直後に空が……割れた。

 青空のど真ん中にまるで割れた岩の如き線が伸びたのだ。


「闇へ返すだと? 上等だ! 返せるものなら返してみろ! 出来るものならやってみろ! 逆に飲み込んでやる!」


 ヒルダの手が何かを引っ張るかの様にギュッと引き絞られる。

 それに呼応する様に、空中に出来た巨大な割れ目から何かが出て来た。


 ありとあらゆる物を飲み込む無限の闇とでも言うのだろうか……


「次元の割れ目へ封印してやる!」


 重力への影響を行使出来る魔導師なのだ。

 必然的に空間座標へも影響を与えられるのだろう。


 そんなヒルダが呼び出したのは、この世界には存在しないモノだった。

 いわば、虚数の空間。現実では存在しないが理論的には存在するものだ。


「これでも喰らえ!」


 ヒルダが生成したそれは、城全体を軽く飲み込むサイズの暗黒空間だった。

 ガルディブルク城ごと巨石インカルシが持ち上がり、空中を漂っている。

 その上に存在する漆黒闇へ向けて様々なものが吸い込まれ始めた。


「物騒なモノを作り出しおって……」


 イナリはその巨大暗黒球へ左手を伸ばした。

 負の世界を埋めるために正の力を流し込む為に。


 だが、そんなイナリの技を持ってしても、暗黒球は消えなかった。

 空間にポッカリと開いた穴へ砂粒でも流し込んでいる様な状態だった。


「どうした!」「神だろう!」「消し去ってみろ!」「アハハハハハ!」


 勝ち誇った様に高笑いするヒルダ達は、さらに魔力を注いだらしい。

 暗黒球はさらに大きくなり、辺りがボンヤリと薄暗くなった。


「……バカな」


 僅かに狼狽したイナリは、初めて両手を広げて対処に挑んだ。

 それがどんなエネルギーかはわからないが、神の領域の力を注いだようだ。


 しかし、それが引き起こした結果は、イナリをして慮外のものだった。

 暗黒球がさらに巨大になり、空に浮かぶ雲すら吸い込み始めた。


「さすがの神もこれには対処出来ぬか!」

「世界の理を少し曲げたのさ!」

「お前達が勝手に決めたものだ!」

「垂直を直角に曲げたんだよ!」

「この力はお前達の持つ力そのものだ!」

「自分自身の力で分解されてしまえ!」

「この時を待ってたんだよ!」

「この世界を巡る龍脈の力はお前達の摂理そのものだろ!」


 ヒルダ達が一斉に叫んだそれは、暗黒球が生成されたメカニズムそのものだ。

 ガルディア大陸の隅々まで、いや、この世界の全てに張り巡らされているもの。

 神の力、神の摂理、この世界の力場を構成する真理のエネルギー。


 その流れを遮断し、溢れたエネルギーで世界の垣根を破ったのだ。

 異なる世界から流れ込んだ、まったく異なる物質により構成された暗黒球。

 それを解消するには、イナリよりも上位存在が必要だった……


「さぁ! 消えてなくなれ! 神を名乗る思い上がり者め!」


 狂ったような高笑いが空中に響いた。

 その向こうではイナリが表情を厳しくしていた。


「やむを得んか……」


 何かを覚悟したイナリは空中に印字を切った。

 世界と世界を繋ぐとんでも領域の御業だった。


 その次の瞬間、一瞬だけ世界がパッと光った。

 眩さに目を細めたヒルダが目を開けた時、そこには九尾が揃っていた……


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