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ル・ガル帝國興亡記 ~ 征服王リュカオンの物語  作者: 陸奥守
大侵攻~ル・ガル滅亡の真実
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ネコの女王とウォルドの最後

~承前




 ガルディブルク城、最上階。

 街を見渡す監視台の上にカリオンは居た。


 眩い朝日が降り注ぐ頃は少し寒い。

 だが、これは。この光景は見届ける義務があると思ったからだ。



     ――――――凄いな……



 彼方から聞こえて来たのは激しい爆発音。

 猛烈な衝撃波による破裂音は大気その物を圧縮していくのだ。



『決して裸眼で直視しないでください。失明します』



 あの少佐は事情説明でそう言明した。

 ヒトの世界でも率直に言えば手に余し気味なトンでも兵器だという。

 それを使えば確実に勝てるが、そのしっぺ返しは攻撃されるより悪いとか。


 結果的にヒトの世界ではこれを使えなかった。

 使えばそお副産物で自分自身が滅びるのを理解していたから。

 ただ、その全てを捨てよう……と言うのも無理だった。


 相手が信用ならないから。

 ヒトは裏切る生き物だから。


 猜疑心と警戒心の両方が限界点に達したとき、ヒトは初めて理解した。

 これは使う以前に作るべきでは無かったと言う事に。

 何故なら、超大国と呼ばれる覇権国家以外の弱小国家も使えるのだから。



     ――――――どうせ滅びるなら使って死んでやる



 自らの死と引き替えにそれを使って一泡吹かす。

 そんな使い方が世に出てしまった結果、事態はより一層悪い方向に堕ちた。

 通常戦力をとにかく強化し続ける、終わりなきマラソンが始まったからだ。


 大国は総身が大きいだけに求められる戦力も大きくなる。

 それが国家を圧迫し、財政を悪化させ、人民に負担を強い、最終的に滅びる。


「なるほどな――


 小さくそう独りごちたカリオンは、その因果の何たるかを理解した。

 そして、その光景を前にした時、明確な後悔に囚われていた。


 ――やるべきではなかった」


 彼方に見えるのは不恰好な形の雲だ。

 ヒトの世界ではきのこ雲と呼ばれるもの。

 そしてそれは、ドリーが蒸発した目印でもある。


「ドレイク卿は……満足でしょう」


 少し声を詰まらせつつ、ウォークはそんなことを言った。

 長年に渡り太陽王を支えてきた公爵家の主としては、本懐と言うべきだろう。


 ただ、純粋な視点で物事を見た場合、立場的に厳しい事も言わねばならない。

 つまりは、公爵家当主の犠牲に見合うだけの結果が出たかどうかが大事だ。


 盛大に爆死したとしても敵が丸々無傷なら、それは無駄死にであり犬死。

 そうなった場合は、公爵家の看板に傷が付くのだから。


「偵察を出したいな」


 ボソリと漏らしたカリオン。ウォークも同じ事を思っている。

 しかし、事前にあの最後まで名前を教えなかったヒトの少佐が釘を刺していた。



   ――――――爆発が発生したら最低一週間は近付くな



 ……と。


 それが如何なる意味を持つのかは理解できないが、人が死ぬと少佐は言った。

 急性放射線障害など理解できる由もないのは重々承知していたはず。


 それ故に、迫真でそれを言うしか無かったし、言われれば飲み込むしかない。


 そうとうヤバいものを使ったのだろう。

 とびきり危険で厄介な兵器なのは説明されるまでもない。

 彼方に見える雲を見れば、科学的知見の無いカリオンだって嫌でも解る。


 あれはこの世界では実現不可能な代物だと言うことに。

 ただ……


「犠牲に見合う戦果が必要です」


 ウォークは冷静な声でそう言った。

 少なくとも期待値程度の死傷者は出ていて欲しいとすら思った。


「そうか、こう言う時に使えば良いのか!」


 ハッと気が付いたカリオンは振り替えってリリスを呼んだ。

 キャリが連れていた若い魔法研究家の見せた術を思い出したのだ。


「大丈夫。言いたいことは解ってるし、私も研究したから」


 リリスは愛用していた水晶玉を見張り台の中心に置いて意識を集中した。

 事前に仕込んでいた魔法で羽ばたく疑似生物をコントロールしながらだ。


 あの若者は魔法生物をほぼスタンドアローンで使っていたはず。

 だが、リリスの場合はコントロール型のドローン状態だ。


「見えてきたな」


 しばらく水晶玉を見ていたカリオンが呟く。

 水晶玉のモニターに見えるのは、焼けただれた地面だった。


「これ、何したのかしら?」


 リリスが不思議がるそれは、例の少佐が起こした爆発の中心部分だ。

 半円状に土がえぐれていて、そこに様々なものが落ちている。


 強力な爆発により粉砕されたガラクタは、爆発後の負圧で吸い込まれるのだ。

 その結果、クレーターには溶けかけた鉄やら甲冑の残骸やらが溜まっている。

 それだけじゃなく、完全に黒焦げな死体の一部までもが吸い込まれていた。


「極め付きに酷い光景ですね」

「あぁ……」


 ウォークの言葉にカリオンは後悔の念を強くしていた。

 ヒトの世界の戦闘兵器や武器の類いには共通する意志が見え隠れしている。


 それは『必ず殺す』と言う強い意思であり、願望だ。


 自分の死と引き替えに……なんて生易しい物では無い。

 一切の犠牲を顧みず、その場に居合わせた全てを滅ぼす!と爆発するのだ。


 その結果、王都目指して進軍していた夥しい数の敵兵が物言わぬ死体となった。

 しかもそれは、この世界の常識に照らし合わせれば完全に異常な死体だ。

 刀傷や銃傷ではなく、まるで窒息でもしたかの様に横たわっている。


 予備知識ある人が見ればすぐに解る状態。

 強い放射線を短時間で大量に浴びた結果、生命維持が不可能になったのだ。


「これは……あの少佐の言うとおりだな」


 カリオンすら言葉を無くす壮絶な威力。そして無慈悲さ。

 全ての生き物が死に絶えるとんでもない威力。


「観測班を送り込まなくて正解でした」


 ウォークもそう呟く凄惨な現場。

 そんな所に理解不能な何かが転がっていた。


「リリス。あれを見せて」

「これね」


 ドローン生物が接近していくと、そこにあったのは甲冑の兜っぽい何かだ。

 少なくともこの世界の代物ではないとすぐに解る材質と形状だった。


「まるでこれは……」


 ウォークが言いかけたそれは、鉄で出来た頭蓋骨だ。

 その近くには細い鉄の棒が幾つも落ちている。


「なんだこれは?」


 首をかしげたカリオンは、その正体を考えた。

 最初にイメージしたのは少佐の死体だ。


 だが、あの少佐は普通の衣類を身につけているだけだった。

 少佐が言うには、ヒトの世界ではある時期から甲冑が不要になったそうだ。


 少なくともヒトの世界の武器を見れば、甲冑が無用の長物なのは解る。

 それよりも機動性や運動性を取って、素早く身を隠す行動の方が良い。


 戦争の形態自体が変わった結果、少佐はただの布でしか無い服のみ。

 では、この兜のような物は何だ? 鉄の棒は? なにかのカラクリは?



     ――――――まさかな……



 カリオンの脳裏に過ぎったのは、服の下の更に下。

 身体の内側にこれが入っていた可能性だ。


 頭蓋骨が骨の兜なのは経験的に知っている。

 その頭蓋骨が骨では無く鉄で出来ていたら、こんな形の筈だ……


「可能かどうかは別として、あの少佐の残骸……と表現するべきモノでしょう」


 現実を目の前に現実的な判断を下す。

 その極地的な立場であるウォークは、そう判断した。

 いや、判断せざるを得なかった。


 何故なら、腕の一部……と、そう仮定した鉄の棒の先端が溶けていたから。

 瞬間的な高熱と高圧で溶けて変形してしまったと考えるのが一番自然な形状。


「ふむ……」


 小さくそう応えたカリオン。

 ヒトの世界の凄まじい技術水準を見ればありえない話ではない。


 簡単に言えば戦争の為に人体すら作り替えてしまう技術。

 或いは、戦争などで負った傷や怪我を補う技術の進歩。


 この世界にだって義手や義足はあるのだ。

 もしそれが自分の意思で自由に動く代物だったら……


 その次の瞬間、リリスが唐突に叫んだ。


「あッ! マズい!」


 リリスの表情に険しさが増した。


「どうした? 何があった」

「あいつが来るッ!」


 カリオンの問いにリリスは手短な返答だ。

 ただ、その直後には何らかの魔術的対応策を行使し始めた。


「あいつよ! ネコの! ネコの女王!」


 思わず『なんだと!」と叫ぶカリオン。

 リリスは苦虫を噛み潰した顔になって言った。


「ここがばれたの! 魔力線を遡られた!」


 彼方へ魔術行使していtリリスの術を遡ったのだろうか。

 何か強力な存在が迫ってきている事をリリスは感じ取っていた。


『もう遅い』

『見付けたぞ』


 どこかわからないが、遠く彼方から冷たい声が聞こえた。

 それが何であるかはまだ分からないが、カリオンは生理的な恐怖感を覚えた。

 過去幾度も死線を踏み越えてきた歴戦の戦士であるはずなのに……だ。


「うそ……そんなのありえないッ!」


 わずかな混乱と共に、リリスが明確に狼狽した。

 そしてそれはカリオンにも理解出来た。



     ――――――デカすぎる!



 そう。彼方から感じられる魔力の圧が桁違いなのだ。

 例えるなら、目の前にいきなり山が現れるような感覚だ。


 或いは、技量的に圧倒される剣士を敵に回した時の感覚。

 まだ幼い頃に感じた、怒れる両親からの圧に近い。

 絶対的な恐怖感とでも呼ぶべきものだった。


「お嬢さま!」

「これは何事ですかな」

「何が来るって言うんだい!」


 オズの弟子達も続々と監視台の上に転移して来た。

 正体は分からないまでもとんでもない存在が来る事だけはわかるのだ。

 そして……


「そんなバカな」


 ネコマタのセンリがボソリと漏らす。

 女王と同じネコの女は、その正体に気がついた。

 遠く彼方のシュバルツカッツェから転移してきたネコの女王だ……と。


「アンタは彼処からから離れられないはずだろ!」


 何もない虚空へ向かってセンリは何かを放った。

 瞬間的に眩く光った魔力の弾丸だ。


『お前はセンリか?』

『ようやく見つけた。さぁ取り込んで進ぜよう』


 遠くに見えていたキノコ状の雲が崩れ、その向こうから何かが飛んで来た。

 並みの女と比べ2倍は横幅がありそうな女だった。

 そしてその体にはふたつの頭が並んでいるのが見えた。


「結合体か!」

「これは面白いですな」


 魔術師と言うのは常にこうなのだろう。

 彼方に見えるネコの女王ヒルダを前に、ウィルとハクトは興味津々だ。


「バカ言ってんじゃないよ!」


 センリはそう叫ぶと、再び何かの術を行使した。

 虚空に向かって放たれる魔術の威力は落雷級の代物だ。

 だが、そんな努力をあざ笑うようなヒルダの声が聞こえた。


『良いぞ。素晴らしいい』

『そなたも我が内に入り給う。溶けつ溶かしつつ溶け合おうぞ』


 どんな意味かは分からないまでも、一つだけはカリオンも理解した。

 あれは、あの存在は、この世の理から外れた存在だという事に。


 ひとつやふたつという次元ではなく、膨大な数の魂が溶け合っている。

 人並み外れたなんて次元ではない莫大な魔力の塊は、数百レベルなのだ。


「化け物!」


 センリの金切り声が空に響く。

 しかし、その声に『フフフ』と余裕のある笑い声だけが返ってきた。

 その直後には、カリオン達の目の前に異形の存在がやって来た。


「初めてお目に掛かる。イヌの王よ」

「我等ネコを圧し続けた手腕と実力に敬意を表する」


 ふたつの頭が別々に喋っている。

 そのシーンだけでも心が弱い者なら卒倒しかねない姿だ。


 だが、その大きな身体を豪華なドレスで包んだヒルダは笑みを浮かべていた。

 圧倒的実力があるからこそ、余裕のある受け答えができるのだろうと思われた。


「こちらこそ……だ。余は第5代太陽王、カリオンである。我がイヌの都を幾度も焼きはらい、歴代太陽王を幾人も戦の露とした指導力に敬意を示そうぞ」


 負けるか……と、カリオンは精一杯に胸を張ってそう言った。

 左手で握っている銃の銃床を握り潰しそうな程に力を入れて。


 気合いと度胸と根性と。そして、歩んできた道のりの厳しさがその背を支えた。

 楽な道は何処にも辿り着けない。厳しい山道を登ったからこそ実力が付く。

 命を業火に晒し、危険を踏み越えてきたからこその自信があるのだ。


「我がイヌの国に幾度も苦杯を煽らせ、数多の死者を生み出してきたネコの王と話が出来た事を、余は嬉しく思う」


 意地とプライドと膨大な怒りがバチバチとぶつかり合う。

 イヌとネコ。不倶戴天と言うべき究極の敵同士。

 争い続けた1000年の歴史が初めて顔を合わせたのだ。


「なるほど。良き面構え」

「世が世ならば、そなたの如き男に抱かれたかった」


 カリオンにはそれが単なるリップサービスだとは思えなかった。

 ネコの国のどこか破綻しきった国家体制を思えば、宜なるかなだ。


 どんな立場にだって悩みはある。恵まれた者にだって、貧しい者にだって。

 平等に。公平に。各々の立場に応じた苦悩と懊悩が付いて回る。

 身勝手で、気まぐれで、何より意固地で独善的なネコの社会だ。


「何処の国でも同じ悩みが付いて回るのだろうな」


 カリオンが発したその言葉に、ヒルダのふたつの顔が同時にニタリと笑った。

 そして『通じ合った!』という悦びを分け合うかのように視線を絡ませた。


「出来るものならもっと話をしたいものだが……」

「このキツネにはその余裕が無いようじゃ」


    ――――……あぁ


 思い出したかのように視線を動かしたカリオン。

 中に浮かぶヒルダの傍らにはウォルドがプカプカと浮いていた。


「この狐がわらわを謀ろうとしたのでな」

「返り討ちにしても良かったのだが、イヌと対決したいと発したのだ」


 その言葉にカリオンの表情がグッと厳しくなった。

 だが、それはどうやらウォルドも同じらしい。


 憎しみのこもった強い眼差しが降り注ぐのをカリオンは見ていた。

 あの爆発にでも巻き込まれたのか、だいぶ弱った姿だが。


「貴様との因縁もこれで終わりにしたいものだ」


 声音を変えたカリオンはウォルドを見上げつつそう言った。

 その声に応えるようにして、ウォルドは空中に浮かんだまま両手を広げた。


「それはこっちのセリフぞえ」


 眩い閃光が辺りを照らし、何か良く解らないものが見張り台へと降り注ぐ。

 まるで雷だとカリオンが思うのだが、同時にその雷が空中へ霧散した。


「やれやれ。とんでもない実力だな」


 ウサギのハクトが何かを行ったのだろう。

 空中に飛び散った雷の如きエネルギーはフワッと空中に溶けて消えた。


 その直後、今度はハクトが何かしらの呪印を空中に切ってみせた。

 正体不明の黒い霧状のものがボンヤリと中に浮かび、ウォルドを取り囲んだ。


「こんな子供だましで!」


 余裕を見せるかのような物言いだが、少なくとも本気で嫌がっているようだ。

 グッと力を込めてから『フンッ!』と気合で払ってみせると、霧が消し飛んだ。


 常識では計り知れない高度な魔法による戦闘。

 誰でもこの領域までたどり着けるわけではないとカリオンは思った。


 だが……


「ほれ、しっかりせんか」

「面白そうだな。私も手伝おうぞ?」


 何を思ったのか、ヒルダは急にそんな事を言いだした。

 手伝うとは?と皆が不思議に思った時、ヒルダは右手の指をピンと立てた。

 そして、迷うことなくウォルドに延髄あたりへと突き刺した。


「ほれ、私の魔力を与えて進ぜよう」

「負けるでないぞ。もっと芸を見せよ」


 物体を空中へ浮かすだけでも相当な魔力を要するもの。

 魔道に携わる者なら誰だって知っている事だ。


 そして、その知識があれば、いま目の前で起きている事が信じられないだろう。

 あろうことか、ヒルダは自分の身体を宙に浮かべつつ、他人に与えているのだ。


「……デタラメだよ、あんたは」


 吐き捨てるようにセンリがそう言うと、ヒルダのケダマ顔の方がニヤリとした。

 その隣にある猫耳顔の女も楽しそうに笑い、流し目でセンリを見ていた。


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 ヒルダとセンリの間に何があるのかは解らない。

 だが、少なくとも今はそれどころじゃない。


 ヒルダから魔力を大量供給されたウォルドは悲鳴と絶叫を同時にあげた。

 己の扱いきれる魔力量を遥かに凌駕する膨大な魔力がその身を焼いているのだ。


「ほっほっほ。ここは楽しいな」

「全くよ。大陸中の魔力が集まってくる」


 ヒルダはこのガルディブルクが龍脈の結節点であると見抜いていた。

 そして、今はその膨大な魔力を自分の物にしているようだ。


「さぁ、消し飛べ。己が欲望に忠実であれ」

「宿願を果たして進ぜよう。そなたの願いは果たされる」


 ウォルドの身体が膨れ狩り始めた。まるで風船が膨らむ様にだ。

 全身全ての細胞へ魔力が流れ込み続け、猛烈な痛みと快感を発している。


「アッ! アッ! アァッ! アァァァァァンンンァァ!!!!!」


 快楽によがり狂う女の様に、ウォルドは淫らな嬌声をあげた。

 ただ、その姿はもはや人の姿をしていなかった。


 身体を構成していた肉や脂が燃え上がるように溶けて落ちている。

 生理的嫌悪感しかない光を発しつつ、氷の様に溶けているのだ。

 そして、その肉や脂があった場所にはモヤモヤとした煙があった。


「……魔力の顕現化か」


 ウィルがそう呟いた時、リリスが空中に両手を突き出した。


「来るよッ!」


 リリスの作った空中障壁は2重の分厚い物だった。

 正体は解らないがとんでもない威力だと直感したのだろう。

 それを見て取ったウィルやハクトが魔力を注ぎ込み、センリも続いた。


 鈍い光を発する程に分厚くなった障壁の向こう。

 膨れ上がったウォルドの身体が瞬間的にギュッと縮まった。


「弾け飛べ」

「本懐ぞ」


 ヒルダの言葉と同時、ウォルドは大爆発を起こした。

 ドリーが消し飛んだ爆発に匹敵する、強力な大爆発だった。

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