次世代の方針策定
~承前
率直に言えば、それはもはや地獄の極卒が吐く言葉だった。
ウラジミールはいつものように淡々とした口調で切り出した。
「先般、我がジダーノフ機動歩兵団による追跡を行った結果ですが――
彼等ジダーノフ家では、銃を装備した騎兵を機動歩兵と呼称していた。
歩兵よりもはるかに機動力を持つ騎兵だが、銃を装備した以上は歩兵。
異論はあれど、この解釈が彼等の認識になっていたようだ。
そして、そんなジダーノフ軍が追跡し追撃したのは、ネコの国から来た侵略者。
尖兵は聖導教会から追放されたバルバトスとオオカミのバルバスだった。
――――あの2名はなんとしても捕らえよ!
――――生け捕りにするのだ!
ウラジミールは金切り声をあげ厳命したらしい。
結果、バルバトスとバルバス両名は生きたまま捕縛され、連行された。
泣く子も黙るジダーノフ家の尋問官が待つ地へと。
『同情くらいはしてやってもいいな』
誰かがそんな事を漏らし、薄い笑いが零れた。
時に世界を左右するほどの価値を持つものと言えば、それは情報だ。
それを上手く使う者は、時に世界を振りまわせる。
そしてこの場合、問題の核心を得んがために何が行われたのか?
ジダーノフの内部にいる尋問官とは名ばかりの担当者はあらゆる事をした筈。
国家の一大事とあっては、本来ならば諌めるべき立場の者ですら獄卒となる。
その結果として得られた情報は、ウラジミールを全速力で王都へと走らせた。
彼等が何を見聞きしたのか。その核心が問題だった。
「聖導教会関係者、およびオオカミの国の残党の面々ですが、彼等はネコの国にて直接女王と面識を持ったようです。ですが、そもそもその女王と言うのが――
まず、ネコの女王が異常者である事。
それだけでなく異形の姿をしていて、一つの体に頭が二つある事。
その二つの頭は非常に仲が悪く、常に口汚く罵り合っていているらしい。
終いには双方が双方の顔を自分の身体で殴りあう始末だそうだ。
「……アレックスの情報通りだな」
ぽつりと漏らしたカリオンは、たった今それを聞いたばかりだと言った。
ウラジミールは一つ首肯し、感情の抑揚を見せず淡々と説明を続けた。
「二つの頭脳は時々意見の一致をみるそうですが、そんな時の女王は非常に聡明かつ合理的な判断をするのだという事です」
そう、異形と言うだけでも十分に異常なのだ。
だが困った事に、ヒルダはまともな判断をする時だけは聡明なのだと言う。
国家が目指すべき方針を決定し、それに沿って国家運営が行われているという。
そして、そんな女王をネコはかなり信頼し崇敬しているのだとか。
女王の持つ膨大な魔力の作用により狂信状態となっているのかもしれない。
だが、そんな事はどうでもいい。問題はその先だった。
「……やはりあのキツネか」
「はい。彼等はそう言明しました」
ウラジミールによれば、エデュ・ウリュールは未だ獅子の国にいるという。
ネコの国の国体そのものを移転させるべく準備に勤しんでいるのだとか。
では、ネコの国にいるエデュは何者なのか?
ル・ガル首脳部の関心はそこに尽きた。
「ネコを勝たせる。そなた等の願いを叶える。協力は惜しまない。そう言って姿を現したキツネはエデュ・ウリュールに化けて女王ヒルダの傍らに侍っているとの事です」
それだけの情報を引き出すのに、一体どれほどの事をしたのだろう?
カリオンはふと、そんな事を思った。ただ、それは単なる邪念でしか無い。
一時的に大量の情報に触れた結果、心の座りが悪くなっているにすぎない。
――――邪念が多いな……
カリオンは己の不明を恥じつつ、思考をグッと集中させた。
あのキツネがル・ガルを本気で滅ぼす為に、ネコと手を組んだのだ。
そしてそれはネコの国にとっても宿願なのだろう。
長年に渡り争ってきたイヌとネコは、結果的に肝胆相照らす仲でもあった。
「国体そのものを移転する前に、後顧の憂をなくしたいのでしょうな」
ドリーは重いしわぶきの後にそう呟いた。
ネコにとっても国体移動は簡単な事では無い。
その間、背中から襲い掛かられてはたまったものでは無いのだろう。
実際問題として、ネコの国の困窮度はル・ガルのそれを越えるのだから。
「ヒトの世界の諺に、獅子の威を借るキツネと言うものがあるそうですが……」
黙って会議を聴いていたキャリは何かを思い出した様にそう言った。
ビッグストンの教養授業で教えられる含蓄に富んだ話の一つだ。
ただ、それを聞いたカリオンは少し笑みを浮かべた。
何故ならそれは、カリオン在学中に臨時で教鞭をとった父ゼルの置土産だった。
ヒトの世界の様々な知識や教養だけでなく、考え方まで置いて行ったのだ。
「文字通り、獅子の戦力を上手く使ってます」
ウラジミールは顔色ひとつ変える事なくそう呟いた。
今までもネコの国は手持ちの僅かな戦力を上手く使いイヌと対峙してきた。
結果を出す戦い方に関しては、ある意味イヌより余程上手だ。
獅子の国が派遣した遠征軍による侵攻作戦を勝手に上手く支援する。
その結果、ル・ガルは痛撃を受けて深い傷を負い国体護持の面で辛くなる。
場合によっては国家存亡の危機になる。
――――現実にそうなっているが……な……
苦虫を噛み潰したような表情の面々は、各々に思案していた。
獅子の国へどう対応するべきか。彼の国に目的を果たさせてはならない。
場合によっては全面戦争となり蹂躙され尽くす危険性がある。
国家規模の全く異なる存在を相手に、イヌは絶望的な局面に立たされていた。
そうしている間に、ネコの国は尻に帆を掛けて移動を図るはずだ。
『追撃戦をされたらたまったものじゃ無い』
その為に無駄にしていい戦力の全てを投入したのだろう。
ヒルダの示した方針が透けて見えたカリオンは、険しい表情で言った。
「ネコの女王には全てが見えていた可能性があるな」
メカニズムは解らないが、少なくとも未来視の能力を持つ公算が高い。
という事は、事細かに対処マニュアルを作っている可能性もある。
或いは……
「あの……サボイエ騎士団は女王が遠見をする為の道具かもしれません」
あくまで情報将校としての立場でそう言ったウラジミール。
だが、ル・ガル首脳陣は全員が顔色を変えた。
ネコの国の派遣戦力をコントロールするサテライトユニット。
或いは女王の分身そのものという解釈をしても良いかもしれない。
つまり、ネコの国は常に一体的に行動している。
各々が勝手気ままに行動し、全くもって纏りなく見えるネコと言う種族。
だがその実は全てのネコが女王の意向を受けて行動しているのかも知れない。
「願わくば、そんな存在はサボイアだけにして欲しいものですな」
典雅な物言いのルイだが、その眼差しは次期王キャリへと注がれた。
何かを言わんとしているのだが、口に出しては憚られる事もある。
故にこんな時にはキャリの側がそれを正確に読取らねばならない。
そしてこの場合、言われるまでもなくキャリは問題の核心を捉えていた。
過日、キャリに直接剣を捧げたネコの女騎士は、自らをサヴォイアと名乗った。
「……彼女については、今後注意を払う必用がありますね」
そう。ネコの国を出奔しキャリの元へやっていたビオラの扱いだ。
ネコである彼女は自らの国と王を捨て、イヌの王に侍ると誓った。
主を捨てた者が信用されぬのは当然だが、それも全部承知すると誓ったのだ。
『如何なる艱難辛苦も耐える』
そんな誓いなど全く意味を成さないのは誰だって知っている。
人とはそう言う生き物であり、僅かな苦痛や困難ですぐに変節する。
ただ。それでも主は信じねばならない。
誰も信用できなくなった主は、最終的に破滅するからだ。しかし……
「注意を払うだけでは足りないかも知れません」
ウラジミールは表情を変えずにそう言った。
そこにどんな意味が込められているのか、キャリは掴み損ねた。
そして、助けを求める様に視線を父カリオンへと送った。
「……まだ。あるのか?」
話の続きがあるのか?とカリオンは問うた。
そう。ウラジミールの話には続きがあるのだった。
「はい。ネコの国の最終目標は国体の移動その物でありますが、問題はその移動先です。彼等もまた獅子の国は最大級に警戒しております。従いまして――
一瞬間を置いて話を切ったウラジミールは、議場の中をグルリと見回した。
ル・ガルの命運を握る者達が自分に意識を向けているのを確認したようだ。
「――我々と同じく、獅子の国との間に緩衝地帯を作りたいと考えています。具体的に言うならば、シーアンには雑多な種族の緩衝国を成立させておき、ネコの国本体はこのガルディア大陸の奥深く後退しようと考えているようです」
ウラジミールの言った『大陸の奥深くへ』という言葉に全員が顔色を変えた。
いや、顔色を変えたのではなく怒色をはっきりと出したと言うべきだろう。
イヌの社会の常識で言うならば、大陸の中央とは古都ソティスを指す。
そしてそのソティスは全てのイヌにとって心の拠り所その物だ。
ル・ガルという国家が成立した時から、ソティスは都であったのだから。
「……つまり、我々を滅ぼすと言う事でしょうか?」
キャリは努めて平静を装って言葉を発した。
しかし、どれ程に努力しても、怒りと警戒の空気を消す事は出来ない。
「滅ぼすか滅ぼさぬかは情勢次第でしょう。事実、彼等もイヌを根絶やしにするなど出来る筈も無いと認識していますし、滅ぼしてしまうのは得策では無いとも考えています。具体的に言うならば――」
ここから語り始めたウラジミールの言葉に全員が言葉を失った。
それは、あまりにも手前味噌かつ身勝手な物言いであり願望だったから。
「――世界には必用なのでしょうな。我々イヌのような存在が。不平不満を言わずに社会の為となれば黙って働く存在。要するに……『奴隷か』……えぇ」
ウラジミールの言葉を遮り奴隷という言葉を発したカリオン。
上古。口伝でのみ伝わる神話時代の物語をイヌは誰だって知っている。
数多くの種族が各々勝手に生きていた時代、イヌは神の側に侍る者だった。
神はその御手と奇跡の業を持って多くのイヌをお作り給うた。
そしてイヌは神の御心に沿って働き、神と共に暮らしたのだと言う。
働くイヌが死ねば神は涙を流して嘆き悲しみ、手厚く葬った伝承が幾つも残る。
それこそ、イヌが黙って黙々と働く精神的な根幹となっていた。
神の御許で永遠に安らぐ為に……
「甚だ……面白くありませんね」
少々剣呑な調子でルイがそう漏らすと、キャリは黙って首肯した。
ル・ガル首脳部の若手が漏らした不満は、ベテラン衆にとってはある意味娯楽。
着実に成長しているのを垣間見られるのは、年齢を重ねた者には楽しくある。
だが、それとこの問題とは別の話だ。
「……つまり、ネコの本願というのはル・ガルを乗っ取り、イヌを配下に従え、大陸の覇権を取ろうと、そう言う事だな?」
ドリーが念押しするように問うた言葉は、何処かに冷たい刃が潜むものだ。
返答次第では大変な事になる。それを確信したウラジミールは黙って首肯した。
この場の空気がパキパキと音を立てて凍り付いていくような錯覚。
誰もがネコの身勝手さに怒りを滲ませている。だが……
「陛下。いよいよ剣呑ですが……」
場の空気が凍り付きそうな状況にもかかわらず、モハメドは切り出した。
財務を預かる最高責任者は、強い眼差しで太陽王を見ていた。
「モーフィーの言葉を聞こう」
自由に言え……と話を振ったカリオン。
ただ、正直に言えば聞かなくても内容は分かっていた。
「ありがとうございます。ですが、お耳に厳しい言。どうかご容赦下さい」
「解っている。そなたの言いたい事はよく解っている」
そう。今更聞かなくても解っているのだ。
もう金が無い。市民や軍人や国家運営に協力した者へ支払う対価が無い。
まともな経済状況ではなくなっている状況下のル・ガルなのだ。
大陸最強の通過であったトゥンは、順調に価値を下げていた。
民間レベルの経済では、この100年でほぼ半分にまで価値が下がった。
『 こ れ 以 下 に は 下 げ ら れ な い 』
キツネやオオカミもそれなりに疲弊しているが、経済規模が違いすぎるのだ。
ル・ガルの破綻はガルディア大陸経済の破綻そのものでもある。
この大陸の基軸通貨として流通している以上、価値の維持はイヌの責務。
そして、トゥンの価値こそがイヌの強さの正体でもあった。
「モハメド卿。貴卿の懸念は承知しております。ですが、ただ逍遙と受け入れるには余りに酷い話じゃないでしょうか」
我慢ならずと言った風に口を開いたキャリ。
若さ故に見せる未熟さの表れだが、だからといって飲み込める物でも無い。
「若の言われる通りですな。これはもう祖国戦争の次元では無い。我々イヌの誇りを掛けた生存闘争そのものでしょう。何とかならんもんか」
ドリーはキャリの言に一枚乗るように、そんな言葉でモハメドに問うた。
まだ何処かにウルトラCがあるんじゃ無いか?と、そこに期待を示した。
「いっそ獅子の国と非対等な友好関係を築くのを前提に、ネコを獅子の国に売ってしまってはどうでしょうか。イヌが必用ならネコを滅ぼせと。または……ネコと戦う為の金を用意しろと。獅子の国に金を用意させましょう」
ここまで黙って話の流れを眺めていたポールが口を開いた。
レオン家を継承した若者は、どこか怜悧な経済ヤクザの空気を纏っていた。
「無茶を言いなさんな。あの国は隙あらば我が国を喰おうとしているのだよ?」
ルイがそう反論すると、隣に居たジャンヌは楽しそうに口を挟んだ。
「ただ、そうは言ってもあれよ? 時に敵は味方より信用できる物よ?」
そう。行動に一貫性がある以上、時に敵は味方より信用できるケースもある。
むしろ無能な味方の方が信用ならず、無能な働き者に至っては殺した方がマシ。
とんでもない話ではあるが、獅子の国の友邦国となって援助を受ける手もある。
我々が必用だというなら、我々の事業に手を貸せ。
相手の本気度を値踏みするかのような振る舞いだが、時にはそれも必要だ。
面の皮厚くいけしゃぁしゃぁと二枚舌を使えぬようでは外交など出来ない。
鋼の刃では無く言葉の槍を戦わせ必用な結果を得る。
それこそが外交という物の本質。国家間に友情など存在しないのだから。
「ポール。貴様、イヌの誇りは何処に行ったのだ?」
甚だ不機嫌そうにそう言ったドリー。
喉をグルグルと言わせ飛びかかりそうな気迫が滲んだ。
だが、それなりに修羅場を潜ってきたポールは受け流すように言った。
荒くれや任侠者が多数出入りするレオン家では日常の光景だったから。
「誇りは大事ですがまず生き残らねば。我々が誇りを抱いて戦い、挙げ句に死ぬのは全く持って結構ですけどね。非戦闘員など、生き残った者達がより一層惨めな事になりませんかね?」
レオン一家を預かる若者は、己の願望より全体の利益に目をやっている。
僅か数年で大きく成長したその姿に、ウラジミールは目を細めていた。
「そうだろう。誇りで飯は食えぬ。だが、誇りの為に死ぬ事も厭わぬ姿勢こそ、負けてなお勝者に一定の配慮をさせる最善手では無いのか? 誇りを踏みにじるなら死すら厭わず抵抗するぞと相手に思い知らしてこそ、名誉ある敗者になれる」
思わぬ反論を受けた形だが、ドリーは少しばかり声の質を変えてそう言った。
負けには何の価値も無いが、敗者が名誉を得る方法はある。
そしてそれは、『幸せな敗戦後』を得る為に必要な犠牲を意味する。
『 徹 底 的 な 抵 抗 』
恐らくそれは、負けてから無能だの愚かだのと言った誹りを受けるだろう。
或いは、敗戦前に非主流派だった者達からここぞとばかりの非難を浴びるもの。
だが、どう取り繕ったところでそれは必要な犠牲であり重要なもの。
何故なら、名誉なき敗者は人としての尊厳すら奪われた奴隷その物だから。
世界の奴隷であったイヌに戻るのか否かをドリーは突き付けていた。
「諸君」
臣下の激論を黙って眺めていたカリオンは、ひとつの結論に達した。
それはある意味、当然の帰結なのだろうというものだった。
「これより余は……とんでも無い事を言うやもしれん。その時は遠慮無く余を諫めよ。余の決断はこのル・ガルの命運を決しかねぬもの。5000万余のイヌ全てを路頭に迷わせ、喰うに困り寝るに眠れぬ事態を引き起こしかねぬ故だ」
カリオンが静かにそう切り出した時、会議室の中から音が消えた。
全員が太陽王の言葉を一言一句聞き逃すまいと、意識を集中させたのだ。
「まず、余は獅子の国との友好関係について、対等であれば誼を交わす事するが臣下の礼を取れというなら対抗する事を選ぶ。行政長官風情がやって来て一方的にモノを言うなら、それを切り捨てて送り返そう。だが、シンバと名乗る獅子の王が来たなら、余は招請に応じる」
落としどころとしては相応に納得の出来る見解が示された。
誰もがそう思い、少しばかり安堵の表情を浮かべた。だが……
「ネコの国への対応だが、これについては最終的解決を図らねばならん。現実的に考えれば、この世界から1人残らず殺し尽くすなどと言った事は不可能だ。故に余はこう考える。現状のネコを支配する階層を破壊し、我がル・ガルの国民として取り込む。現実にフィエンの街を含む西方地域では上手く回っていたのだ」
現実的な対応。それを他ならぬ太陽王が示した事に価値がある。
実際の話として民族の絶滅など到底不可能な事業なのだから。
故に、最終的解決と言えば、ネコの女王を含めた指導体制の破壊だろう。
「困難な道だろう。臥薪丹生の苦しみだろう。だが、もはやル・ガルはこのガルディアに留まらぬ世界を見る立場に成長したのだ。世界は余の両腕を広げてなお余る程の広さ大きさを持っている。故に――」
カリオンの眼がキャリを捉えジッと見つめた。
その視線の強さにまだ若いキャリが狼狽えるほどに。
「――これを持って次世代へ願いを託し余は退位する。次期王の代でル・ガルをより大きく発展させよ。世界列強と肩を並べ、帝国臣民の暮らしを安寧とする為に」
つまり、ル・ガル荒廃の責と咎の全てを背負うとカリオンは言い切った。
世代交代し、安定を目指そうという事だ。
「ネコはこのル・ガルの支配階層を乗っ取るつもりだろう。故にその逆を行って彼等を取り込むこととする。それによりガルディア全体の安定を図り、持って獅子の国との対抗勢力として立つ事を選ぶ」
獅子の国と対等に並び立つ。
その目標をカリオンが示した時、ル・ガル次世代の大計が定まった。
ただ、そんな事など問題にしない程に、世界は複雑で怪奇なのだった……