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ル・ガル帝國興亡記 ~ 征服王リュカオンの物語  作者: 陸奥守
大侵攻~忍耐と苦痛と後悔の日々
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聖導教会との戦い 06


 ル・ガル全土に衝撃を与えた管長バルバトスの王府訪問からおよそ1ヶ月。

 聖導教会内部は大きく変化を始め、着々と組織の転換を進めていた。


 次期教皇の候補集団であった枢機卿達は、管長エルヴィスの方針を各々の管理する教導区へ持ち帰っていた。だがそれは、ル・ガル各所において根深いマダラ差別の現状を炙り出す行為そのものだった。



   ―――――教皇陛下のお気は確かなのですか?



 各枢機卿が責任地域とする各教導区では、異口同音にそんな声が漏れた。教皇ではなく管長となったエルヴィスは、公的に管長と呼称する様にとの通達を添えた。そしてそれ以上に衝撃だったのは、マダラやケダマへの差別と偏見を禁じたのだ。


 数百年に渡り続いてきた聖導教会の組織改革と思想のアップデート。だがそれは危険な賭けでもある。従来の価値観の中で出世や昇進を果たしてきた者にすれば、全くもって歓迎せざるるパラダイムシフトとなった。


 また、ル・ガル全土をいくつかに分割していた管区と言うやり方を改め、各所それぞれが枢機卿を頂点とする独立した管区と言う組織に改めた。管長エルヴィスはそれら枢機卿たちをまとめる主席枢機卿と同等の存在へ降格した。


 王都近隣のみの特別区を受け持つ首席枢機卿を含め、教会の方針と運営のみを受け持ち各管区を管理する枢機卿を導く存在となったのだった。


「なかなかの手腕ですね」


 ガルディブルク城の太陽王プライベートエリア。カリオンファミリーが勢揃いしている場で、ウォークはそう舌を巻いて見せた。言うまでもなく、管長エルヴィスの手際の良さ。同時に組織防衛を図ったしたたかさだ。


 聖導教会と言う組織の頭を潰されても、他の頭が生き残れば良い。不運にも複数の頭が潰れたとしても、最低一つ残りさえすればよい。巨大なフラクタル構造へと変貌した教会は、多頭竜(ヒュドラ)型の組織へと変貌した。


 そう。巨大な権力のピラミッド構造であった聖導教会は、国家との闘争ではなく組織防衛へ最優先とする生存戦略最優先の組織へと変貌したのだ。


 他ならぬカリオン王によって前教皇が暗殺されたのだからやむを得ない。だからといって組織を簡単に瓦解させられてたまるか。そんな意識が見え隠れする改革と変貌。だが、本当の変化はここからが本番で、太陽王の一手は続くのだ。


「その手腕を疑わぬからこそ……だ。これで良い」


 クククと笑いをかみ殺してカリオンが言うと、話を聞いていたサンドラやリリスまでもがニヤリと笑っていた。様々に煮え湯を飲んできたふたりにしてみれば、止むに止まれぬ理由で変貌せざるを得なかった姿が愉快だった。


「んで、こっちも予定通りか?」


 相変わらずべらんめえ口調のジョニーが確認すると、それを聞いていたキャリとビアンカが顔を見合わせて笑った。カリオンファミリーの中へ入っていける家族ならぬ存在は少ないが、ジョニーはその一人として認証されていた。


「そうだな。こっちも予定通りだ」


 カリオンは傲岸な笑みを浮かべて息子キャリと嫁ビアンカを見た。夏の日差しが降り注ぎ始める6月の終わり頃。カリオンはキャリとビアンカに全国を訪問せよと命を発していた。


 国土防衛の為に走り回ったとは言え、ル・ガルの内部を隅々まで見聞したわけでは無い。かつて自分自身が経験したように、自分が居るうちに国内の全てを見て回らせる事が重要だと思ったからだ。


「行く先々で大歓迎だったね」


 懐かしそうにリリスがそう言うと、サンドラは『私もやってみたかった』と少し不満げに言った。ただ、そうは言っても状況的に出来る事と出来ない事があるのは承知している。


 もっと言えば不幸の連鎖で放浪状態となり、数々の偶然が重なって助けられた恩もある。旅は人を鍛えると言うが、様々な経験を積み重ねると同時に難しい決断を繰り返す事にも成る。それが重要なのだ。


「お前がこれから学ぶべきは国内の様々な軋轢だ。今にして思えば父も酷な事をしてくれた。だが、多くを学んだのだ」


 カリオンの行く末を心配した五輪男による試練の旅。各公爵家を巡っただけで無く市民の間にも入っていった。そして、行く先々で正解の無い難題をふっかけられ頭を使った。


 その間、様々な歓迎行事をこなし、市民達の声を聞き、商会や団体の長とも面会し続けていた。同時の複数のことを見聞きし、正確に分類して判断し決断する。つまり、『国を治める』と言うのは簡単な事じゃ無いと実感すること。それを痛感させる為に行った事だが、期待以上の成果を出したのも事実だった。


「思わぬ出会いもあったしね」


 リリスが楽しそうにそう言うと、サンドラは相の手を挟むように『ウォーク卿の事ね』と言った。これまでカリオンの治世においてどれ程役に立ったか分からぬ貢献と実績。


 王府内部ではウォークの指示は王の指示だと認識されていて、王不在時における様々な諸問題の解決など全てを一手に引き受けている。その全てにおいて事後承認が覆されたことはほぼゼロなのだった。


「そんな出会いに期待しています」


 キャリはビアンカと顔を見合わせつつ、そう言うのだった。











 ――――――――帝國歴400年 6月 14日 午後











「この旅でそう言う存在と出会えれば良いな」


 カリオンは何処か楽観視しているが、実際の話としてそうそう幸運が続くものでは無い。ウォーク・グリーンと言う男の代わりを務められる者など、そうそう居るものじゃ無い。


「けど……大丈夫かしらね……」


 若干表情を曇らせて呟くサンドラは、不意に母親の顔を見せた。男の子には冒険が必用だと言うが、ここまで幾度も死にかけてきたキャリだ。母親としては心配なのだろうか、サンドラはリリスをじっと見てから言った


「私は全土巡行なんてやった事無いから勝手が掴めなくて……」

「うん。解ってるよ。私がついて行くから問題ない」


 サンドラとリリスの二人は事前に相談し、キャリの巡幸にリリスが同行する事になっていた。次期帝后であるビアンカに様々な事を教え込まねばならぬのだが、サンドラはカリオンの傍に居る必要がある。


 その関係でリリスが同行するのだが、その立場はビアンカ御付きなヒトの召使扱いだ。城の内部や高級貴族の間ではリリスがヒトに転生した事など既に知られ渡っているが、公的には伏せられている。


 魔法と言う人智を越えた技術体系が社会にもっと受け入れられるまでは、神の摂理の領域はまだまだ公開しない方が良いと言う配慮だ。不慮の死などで親族を失った者が転生を願う可能性があるからだが……


「リベラ。すまんが頼む」


 カリオンがそう言うと、部屋の片隅に立っていたリベラは腰を折り頭を下げた。自らの希望で魔法生物にまで身を堕とした稀代の細作だが、これもまた神の摂理の領域。そして同時に当人の強い意志と覚悟を必要とする。


「お易い御用にござんす。お嬢の身はあっしにお任せを」


 魔法生物に身を堕としてなお、リベラトーレはリベラトーレであった。主と定めたリリスへの忠誠心に身を焦がす存在だが、その全てがリリスの母だった琴莉への想いなのは言うまでもない。


 世間の様々な軋轢を飲み込み、本来なら冥府へと旅立っていた筈の魂を強引な手法で現世へ繋ぎ止めている。池に沈んだ風船の如く、あの世への強い浮力を魔術で強引にだ。その苦しみは常にリベラの身を焦がしていた。


「あと、ウィルにも行って貰うから」


 リリスの発したその言葉に、ウィルは黙って笑みを浮かべてみせた。リベラと同じく魔道の術式で命を現世へと繋ぎ止めているのだから、ウィルだって試練の日々であった。


 ただ、それをしたところでウィルもまたそれが当然であると肯定して見せた。当人が多くを語ろうとしないあの九尾との関係もあってか、ウィルは自力での転生ではなく魔法による延命を選んでいる。



  ―――――私はあの九尾の天敵なのです



 いつか当人がその真相を語るだろう。

 カリオンとリリスは黙ってその時が来るのを待っていた。


 そして……


「サミールも一緒に行くのでしょ?」


 サンドラが確認すると、ビアンカの近くに立っていた女中頭であるサミールは期待を込めた眼差しでリリスを見てた。ヒトの姿となって城へと帰って来たリリスを見て以来、サミールは常にリリスに付いていた。


 公的にはヒトの女中であるリースの主で責任者という事になっているが、その実は言うまでもない事だ。今度は置いて行かれない様に……と、まるで影の様にリリスの傍を離れないのだが……


「……そうしないと今度は夜中に刺されそうだわ」


 サミールを見ながらそう零したリリス。

 思わず『そんな事!』と漏らしたサミールにその場がひとしきり笑った。


「まぁ、人選は慎重に進めるとして、予定通りに事が運んでくれる事を祈ろう。これであの連中を相当弱体化させられるはずだ」


 カリオンが描いた画は、ル・ガルを蝕む最後の存在と言うべき腐った宗教団体の解体その物なのだ。国内へ巡幸に出る次期帝の随行員に聖導教会関係者は一人も居ないし、申し出て来ても却下する。


 つまり『お前らは関係ないからすっこんでろ』と、言葉ではなく態度で示す作戦だ。そしてその方針は直接ではなく新聞発表などで公的に一斉発表され、聖導教会の存在など歯牙にも掛けないと言う姿を見せつける方針だった。






 ―――――その翌週






 王府は公式に次期帝キャリの国内巡回を発表した。国内を支配する公爵5家とオオカミの邦への訪問だ。これだけでもイヌとオオカミの特別な関係が表れているのだが、そのサポートメンバーが重要だった。


 首席随行員に選ばれたのはル・ガル国軍で修行中の次期オオカミ王ロシリカその人で、次世代の両国関係を盤石にする一手なのが見て取れた。次の代の治世を鑑みた太陽王の深謀遠慮そのもの。


 そしてそのメンバーには聖導教会の関係者が1人も加えられていない。これはつまり、王府が教会を取るに足らない存在と見下している現れであると国民は噂し合っていた。当の聖導教会関係者が歯軋りして悔しがるレベルで。


「管長。良いのですか?」


 王都ガルディブルクを管区とするバルバトスは、夜更け遅くに管長エルヴィスと論議を重ねていた。大聖堂の奥深くにある小さな部屋の中でだ。静まり返った時間帯故か、ふたりの会話は小声での闇語り状態になっていた。


「ワシに何を言わせたいのだ?」


 エルヴィスはとぼけるようにそう言うが、バルバトスは一気に核心部分へと踏み込んで見せた。まだ若いバルバトスにしてみれば、教会の凋落と言う解釈をしているのだろう。


 太陽王をも支配する誉れ高い集団。そんな意識のあった聖導教会の当事者たちにしてみれば、次期太陽王への影響力を僅かでも維持しておきたいと言う衝動に駆られるのかもしれない。だが……


「次期太陽王の国内巡回に我らは全く噛めてません。これでは――



      ―――――影響力を保てない



 最も肝心な部分の言葉を伏せたバルバトス。焦りと苛立ちを隠しきれない彼は、管長エルヴィスの手腕に歯痒い思いだった。次期太陽王となる男に随行し、行く先々で教会の施設を使わせて次期太陽王を抱き込むべきだ。


 若しくは、様々に歓待させ骨抜きにしてしまおう。若い男だ。嫁に見つからぬように女を幾人も宛がえば、朝まで房事に耽って朝寝だろう。そんな風にして弱みを沢山握っておくべきじゃ無いか?と、バルバトスは焦っているのだった。


「良いのだ。先ずは我々が変革せねばならぬ」


 エルヴィスはバルバトスの魂胆を見抜くようにそう言い、手にしていたグラスの酒をひと煽りした。真っ赤なワインを注いだグラスは毒々しい色になっていて、その水面に目を落としつつ、エルヴィスは言葉を続けた。


「魚釣りにおいて最も重要な事とは何か解るかね」


 謎かけをするように問答を重ねる教会の教育システム。そのやり方その物である言葉が管長エルヴィスから発せられた。バルバトスはやや思案を重ねつつ、慎重に言葉を発した。


「場所の選定。そして道具でしょうか」


 釣り場を慎重に吟味し、そこへ立つ事。そして、釣り竿に釣り針。そしてエサ。そう言った隅々まで気を配る事こそが釣りの肝。バルバトスはそう答えた。だが、その解答に対しエルヴィスはやや表情を硬くして応えた。


「間違いではないが正解とも言い難い――」


 捉えどころのない灰色の評価をしたエルヴィスは、一つ息を吐いてから続けた。


「――最も重要な部分とはな、待つ事じゃ」


 思わず『待つ?』と聞き返したバルバトス。

 エルヴィスは答えの核心を捉えられない若者にニヤリと悪い笑みを返した。


「どれ程良い道具でもエサでも、魚が食わねば釣り針には掛からぬ。故に、良い道具と良い場所はもちろん重要だが、何より重要なのはじっくりと待つ事じゃ。焦ったりしてはならぬ。ジタバタとしてはならぬ。釣り糸を垂れたなら、後は……」


 何かを気が付かせようとエルヴィスは言葉を続ける。教えられて覚えるのでは無く、自らに思索を続け結論を見付ける為の訓練。バルバトスは沸騰気味の頭をフル回転させたが、それでもエルヴィスが教えたいことを見付けられないでいる。


「ですが管長。魚が釣れなかった場合もあり得るのではないでしょうか」


 論議が噛み合わない時と言うのは良くある話。そこで何が起きているのかと言えば、論議の前提を飛び越えて話を広げてしまう愚かさだ。自分の望んだ結果を得るために論議を誘導しようとする者は、およそこの愚かさには気が付かない。


「……バルバトス」


 やや剣呑な声音でエルヴィスは切り出した。

 その姿には相手を威する迫力があった。


「は、はい」


 思わず素直な言葉を消したバルバトス。

 エルヴィスはより一層の威を剥き出しにして言った。


「君は……ワシを論破しに来たのかね?」


 小さく『それは……』と呟いたバルバトス。そんな若者を視線で殴りつけたエルヴィスは、少々不機嫌そうに顎を擦ったあとでより一層剣呑な声音で言った。


「論議とはより良い結論を得るために思索を束ねることだ。率直に言おう。今の君は自分の結論のみを押し通そうとしている。それは論議では無いし、そんな者に管長は務まらん。君は全くもって修行が足らぬようだな」


 いきなり厳しい結論を突き付けられたバルバトスはグッと息を呑んだ。若さ故の我が儘を乗り越えなければ成らぬのだと指導された形だ。厳しい視線を突き付けたままのエルヴィスは、押し黙ったまま若者の中身が成長するのを待った。


「管長はこのまま聖導教会が衰退していくことも甘受する……と、そう言うことでしょうか?」


 若者らしい焦りと落胆。

 それが手に取るように解るからこそ、エルヴィスはニンマリと笑って言った。


「衰退しても良い。むしろ衰退するべきだ。巨大組織では無く先鋭化された強靱な組織になるべきだ。ワシはそう考えておるのだが、君はぶくぶくと醜く肥え太った贅肉だらけの組織だったとしても巨大組織が良いかね?」


 それは、如何なる時代や民族、或いは宗教的な傾向だったとしても共通する人類の宿痾なのだろう。大きさこそが強さであり、そう言う組織の頂点に立って差配してみたい願望を誰しも抱くもの。


 人口に膾炙する通り、権力は人を狂わせる。困難に打ち克つ強さを持つ者であっても、奢りや傲慢を許容される環境に置かれたとき、人はその弱さに溺れる。慢心しきって己を過信し、やがてはそれで身を滅ぼすのだ。


「よいか、バルバトス。今から大切な事を言う。己を勘定に入れず冷静に聞き、そして理解せよ。若さ故の無茶や無謀をそろそろ乗り越える時期だ――」


 一つ間を置いてからエルヴィスは切り出した。

 ある意味、まだ若いバルバトスには到底承伏出来ない話を。


「――時代は変わったのだ。新しい時代には新しいやり方が求められる。旧弊を一掃し次の時代に備えねばならぬ。時代の変化に合わせ教会も変革するときだ。むしろ本質的変化をしなければ、教会自体が生き残れぬのだ」


 真っ直ぐに強い視線を浴びせかけるエルヴィスは、バルバトスの双眸に悔しさと歯痒さの炎が燃えさかるのを見ていた。目は口ほどにモノを言うというように、内心の有り様を殊更に炙り出すのだ。


「我々はこの500年。太陽王と呼ばれる肩書きに対抗しようとしてきた。だが、その全ては単なるまやかしだ。我ら聖導教会に所領は無く、税を集める権限も権利も無く、組織を維持する為には喜捨を募る必用がある。だがな――」


 グッと眼ぢからの増したエルヴィスがバルバトスを見据えた。

 視線で打ち据えるように。


「――そんなもの、夜盗無頼とどう違うのだ。我々は民衆の求めるものを提供し、その対価として生存せねばならない。イヌとは咎人なのだ。素直に尻尾を振り、愛想を振りまき、もって自らの居場所を確保するのだ」


 闘争に敗れ従属を選んだ者を俗に『負け犬』と言う。だが、それもまた1つの生存戦略なのは間違い無い。問題はそこにプライドやメンツと言った厄介なものが挟まることだ。


 若いうちから権力闘争を繰り返し、様々な苦労の果てに今の立場を手に入れたバルバトスだ。若さ故に欲をコントロール出来ねば、やがて自らの欲で身を亡ぼす事に成る。そしてこれは、滅ぼした誰もがそうなってから気が付く事だった……


「管長……」


 奥歯を噛みしめ絞り出したバルバトス。その両眼には一杯の涙がたまっていた。


「君の悔しさも悲しさも焦りもよく解る。ワシにだってそう言う年の頃があった。だがな――


 何か言葉を続けようとしたとき、バルバトスはその言葉を遮り『失礼します』と頭を下げて部屋を飛び出して行った。恐らくは本人にも解っている事だ。ここまでになった者ならば、エルヴィスの言葉の真意だって察せられる。


 だが、察せられるのと実行するのは全く異なる事。メンツやプライドや、或いは自己顕示欲的なものではなく、もっと奥深い所にあって至極単純で明快な心理的嫌悪感。いや、嫌悪感では無くもっとシンプルに『未熟』な部分。つまり……



    ―――――折れるのは嫌だ!

    ―――――相手をへし折りたい!



 ……と、単純かつ明快な部分を御し切れない若さという愚かさ。

 組織を率いる者にあっては成らぬ重大な欠点を発揮しているのだった。


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