戻ってきた日常 変わってしまった日常
~承前
ル・ガル陣営中枢部が陣取る市街中心部のホテル。
石積み4階建ての建物は風通しが良く、熱気の蟠る街の中にあって比較的涼しい環境を作り上げられている。どんな街でもそうだが、昔からそこで暮らしてきた者達は独自の知恵と工夫で快適性を手に入れようとしたのだろう。
「本当にこれ楽だわ」
ボソリと漏らしたタリカは、身体に密着するようなデザインのワンピース上から袖無しのサマーベストを着て過ごしていた。太陽王らが陣取るフロアの一つ下、キャリとタリカが陣取る部屋は、広く大きな空間だった。
ただ、タリカと同じ部屋で過ごしているキャリだが、かつての気楽さも今は影を潜めている。男同士で遠慮のない気楽な控室であった筈が、今は微妙な緊張感を覚える環境になっていた。
「なぁ、それ動きにくくねぇの?」
やや抜けた声でそう切り出したキャリは、困った眼差しでタリカを見ていた。あのバジャの地下牢に捕らわれていたタリカが変転してしまった姿は、顔さえ見なければ間違いなく女だった。
父カリオンがマダラである事に聊かの疑念も持たぬキャリだが、タリカの姿はマダラよりもはるかに数の少ないケダマ。獣人の姿のまま女の身体つきをしているとあってか、それを好む物好きも多いというが……
「いや、これが案外動きやすいんだよ――」
そう応えたタリカは、キャリの目の前で華麗にターンして見せた。年頃の娘が好いた男の前ではしゃぐように、クッと尻を上げ片足立ちになって、つま先を中心にくるりと回る姿。
姉ララがそうであるように、母サンドラもそうであるように。男好みの大きな胸と引き締まった腰。そこから膨らむ豊かな尻周り。そして、先端に行くにしたがってギュッと絞られた足先。肩回りなど力一杯抱きしめれば壊れそうな華奢さだ。
「――ララも大変だったろうなって良く解るくらいな」
タリカはララが使っていた女性ものの服に身を包んでいた。男性の体型を直線的と表現するならば、女性のそれは曲線的で凹凸に富んでいると言うべきだろう。男性ならばぶ厚い胸板となるのだが、女性の場合は豊かな膨らみだ。
重量バランスという視点で見れば、余計な重量が嵩むパーツを上下半身それぞれに抱えている。その関係か女性の衣装は基本的に身体のラインにピッタリとあったデザインを主眼としていて、その膨らみをぎゅっと押し潰す事を目的にしていた。
「けどよぉ……
そう。女性が動きやすいデザインは、男にとっては頭を抱える元になる。キャリとてそれは同じで、はっきり言えば扇情的に過ぎるのだ。それ故、タリカにしてみればキャリの近くにいるのが一番安全と言う事になる。
だが、キャリの側から見れば、常に近くに女が居る状態ともいえる。それも、手を出せない女だ。健全な成長の過程として、姉ララを女として意識した事も多々あるし、時にはグッと堪えてやり過ごさなければならなかった事もある。
身内であるとか姉弟であるとか、そういう社会通念上の禁忌によりストップが掛かっていた。だが……
「解ってるって。色っぽいんだろ? 俺が」
口調こそ男だが、その声音は完全に女のそれに代わっている。よく見れば身体を包む体毛は細くしなやかになっているし、ややもすれば男臭さではなく女っぽい匂いがするのだ。
両足の狭間にぽっかりと開く女性器こそ無いものの、その姿かたちは完全に女に変転していて、医師や魔導士による徹底的な診察の結論は、原理不明ながらも実行された不可逆的な性的変転だった。
なにより、キツネの陰陽師が出した『魔道による後戻り不能な変転で、完璧な女性化』と言う結論は多くの者が絶句しつつ受け入れるしか無かった。ただ、女に変転してしまう事も、もはやキャリにしてみれば『またか』でしかない。
幼い頃に見た兄ガルムは間違いなく男の子だったが、キツネの国から帰って来た兄は誰が見たって立派な女になっていた。誰もがどうしたものかと頭を抱えたのだが、当のタリカ自身が『問題なけりゃ今までのままでいい』と希望を出した。
凡そオオカミの社会において、ケダマはマダラ以上に疎まれ差別される存在故にだ。その結果、現時点ですらキャリを取り囲む側近衆やル・ガル事務方等は、タリカを完全に女として扱っている。
今だって事務方の女性物衣装だが、寛ぐときにはララの着ていたワンピースだとかニットものを着ているし、ズボンの寸法が尻のサイズ的に全く合わないのでスカート姿で居る時も多い。
「……解ってんなら何とかしろよ。そのうち襲うぞ」
冗談めかした事を言うキャリだが、半分以上は本音だ。それこそ、タリカの尻穴めがけて事に及びかねない。衆道文化を禁忌とする宗教的価値観が色濃いル・ガルの社会だが、禁忌であって禁止では無いし物好きも多い。
なにより、禁じられた遊びほど燃え上がるのが人のさがなのだから、同性の事実婚状態になった者もそれなりの数でいる。社会的には認められてないが、当人同士の間で納得し成立するなら、それは立派な婚姻関係だ。
「まぁ、お前になら掘られても良いぜ? ただ、優しくしろよ?」
ニヤリと笑いながらキャリを指さしてタリカが言った。そんな言葉に明かな狼狽を見せつつも『ばっ、バカな事言ってんな!』とキャリが少しだけ声を荒げる。ただ、そんな相方の心情を正確に見抜いているタリカは尚も笑いながら言った。
「男ならムラムラする時だってあんだろうよ。それが嫌ならとっと嫁でも貰って身を固めろよ。国へ帰って御后さま募集って言やぁ国中の上玉が股を濡らして集まって来るぜ? だいたいお前、次の太陽王なんだぞ?」
次の太陽王。その言葉が意味するものは権力の集中だとかそういう物だけではない事をキャリは感じ取っている。始祖帝ノーリは様々な氏族から30名近い妻を娶っただけでなく、息子は200名を数える程に遺して逝った。
その中で次期帝をめぐり凄まじい権力闘争があったのだが、同時にそれは激烈な手柄争いの様相を呈していた。結果としてル・ガルは周辺各国と闘争に明け暮れ、その勢力圏を大きく広げただけでなく、国軍を鍛える結果にもなった。
そんな太陽王の血筋も、今はキャリがただ一人背負っている。つまり、キャリにとって最大の責務は細くなってしまったアージンの血筋を再び強く太くする事。簡単に言えば、国中の有力者や財力を持つ者の娘たちに胤をばらまくことだ。
「……少なくとも、直系子孫は残さねぇとな」
ボソリと零したキャリだが、タリカはスイッと指差して『それも半端ねぇ数でないとダメだぜ?』と釘を刺した。実際、ル・ガルの様々な行政機関や公的機関の長にお飾りとは言えアージン一門の男が就くことは普通の事だった。
アージン評議会を名乗った負け犬クラブの面々を見ても分かるとおり、何か問題が発生したときに『一門会のなかで調整をお願いします』と最後の逃げ手を持っているのは大きいのだ。
「……だな。けどよぉ……」
そう。何処から嫁を取るか。お后様となる者ならばともかく、妃と呼ばれるただの交配相手探しには難しい政治的な問題が絡んでくる。貴族家同士の争いにも及ぶのだから、慎重に慎重を重ねなければならない。
「そんなの簡単だぜ。公爵五家から順番に妃を出させりゃ良いんだよ。そんでその後はオオカミの一門から2~3人適当に胤付けしとけ。んで、それが終わったらそこらの公爵家に返した妃の所に遊びに行くふりして、適当な女に手を出せ」
男の勝手な願望なのかも知れないが、裏返せば王の努めで義務でもある。王家と太いパイプを持つ子供を手元に置きたい地方貴族や辺境領貴族にしてみれば、王の行幸は又とない機会となる。
「……気楽に言いやがって」
チッと舌打ちしながらも、キャリはそれ以上考えるのをやめた。いざそうなった時に考えれば良いし、問題が出たらその時点で対処を考えれば良い。今から問題を抱え込んだって、良い事など何も無いのだから。
「でよぉ、さっきから気になっちゃいるんだが――」
やや伸びてきた頭髪を後ろに流しながら、タリカは窓の外を見た。その仕草が妙に色っぽくて、見るとは無しに眺めていたキャリだが、そんな視線を気にせず、タリカは外の様子に目を凝らした。
「――なんか妙に鉄火場っぽくねぇ?」
言われてみれば窓の外から怒声染みた声が聞こえてきた。演習中とは思えぬ迫真の声で、キャリも窓の近くへ歩み寄った。板ガラスなど無い世界故に、窓の外は直接外界だ。埃っぽい空気の向こうから激しい声音が聞こえてきた。
だが、それだけじゃ無い物がキャリの鼻をくすぐった。窓の外を見ていたタリカの身体から『女』の臭いがするのだ。ララの着ていた衣装には花の香りが染み込ませてある。その香りはキャリにとって女の臭いその物だった。
「……おぃ どこ見てんだよ」
いつの間にか背まで小さくなったタリカを上から見下ろしていたキャリだが、その目は豊かな膨らみを凝視していた。女は視線に敏感な生き物だが、気付いたタリカの左手が裏拳状態でキャリのミゾオチを打った。
鋭い痛みを発し鈍い声を漏らしたキャリは、『面目ねぇ』と一言漏らしつつ窓の外をジッと見た。ふたりの目に飛び込んできたのは、街外れの建物辺りから立ち上る砂塵。そしてもう一つは魔導による閃光だ。だが、問題はそれでは無く……
「「冗談じゃねぇ!」」
ふたりの声が見事にハモったそれは、砂塵の立ち上る方向だ。キャリは1も2も無く部屋にあった戦衣装を取り出し、素早く身にまとって愛刀を腰に佩た。そのまま部屋の隅に置いてあった銃を手に取ると、問答無用で部屋を飛び出した。
「若ッ!」
キャリの飛び出しに気付いた近衛連隊の騎兵が急遽動き出すが、そこに現れたのは戦衣に身を包むタリカだった。ララの着ていた女性物の戦衣は生地が厚く防御力に富む物だが、それでも傍目に見れば女に見える代物だ。
だが、血相を変えたキャリとタリカを見れば何かが起きたのは分かる。タリカは馬の鞍を抱えたまま一方的に説明を始めた。胸の膨らみを隠すように鞍を抱えていたのは無意識レベルの偶然だった。
「ネコと何者かが交戦している。オオカミかキツネかは解らない。だが、ネコの連中が微妙に圧してるらしい。連中は医療詰め所側に迫っている関係で救援に向かうことにする。王の裁可を貰ってないので同行は任意だ!」
一方的にそう告げたタリカは、建物を飛び出して行って馬の所へ行った。愛馬としていた馬は乱戦で行方不明となり、今はあり合わせの馬に跨がざるを得ない。ただ、そんな脳裏にふと『男に跨がる事が無くって良かった』などと思い浮かんだ。
「ッチ!」
小さく舌打ちしつつ『行こうぜ!』とキャリに告げたタリカ。だが、そこにオクルカが姿を現した。階上の部屋からふたりを見付けたらしく、慌てて駆け下りてきたらしかった。
「待て待て待て! ふたりとも待つんだ!」
血相を変えて飛び出してきたオクルカは、ふたりの前に立ちはだかった。
その脇では腹心の部下であるアギが戦道具を準備しつつ出発の命を待っていた。
「オヤジ! あれはヤベェ!」
タリカは思わず素の声を出していた。何故ならそれは、他ならぬララの居る筈の医療詰め所だからだ。完全に精神が壊れたララは、抜け殻のようになってベッドで眠り続けている。だが……
「解ってるが待て! 今はネコとキツネが本気でやり合ってる!」
オクルカがそう告げたとき、キャリとタリカは顔を見合わせてから『は?』と言わんばかりの表情になり『ですが、それでは!』とキャリが抗議がましい声を上げた。しかし、そこへカリオンも姿を現し、慌てるふたりを制止に掛かった。
「あぁ。言いたい事は解っている。だが、待つんだ」
落ち着いた口調でそう言ったカリオンは、手招きで馬から降りてこちらに来いと指示を出した。キャリとタリカは顔を見合わせてから馬を降り、手綱を牽きつつカリオンの前にやって来た。
「ネコはこうなってしまうと収拾が付かない。故に、殺すしか無い。主義や理念や目的など関係無く、誰かに言われて自分が折れるのが嫌と言うことだ。そしてここでは、勝手な思い込みと勘違いで自分達が疎外されていると思っている」
ふたりに説明するようにそう切り出したカリオンは、スイッとオクルカの方を向いてアイコンタクトした。続きはあなたが言えと言わんばかりの姿と振る舞い。それ自体がキャリとタリカへの教育なのだが……
「ネコのやり方を腹に据えかねているのは、何も我々だけじゃ無い。キツネやトラやそれ以外の種族もまた、ネコのやり方を面白く無いと思っているのだよ。故にここではネコとキツネが激突するのを黙って見ていることにする」
それが高度な政治的判断である事は言うまでも無い。だが、若いふたりにそれを納得しろと言う方が難しい。なにより、医療拠点となった所にはララがいる。彼女の身の危険を思えば、万難を排して駆けつけたいのだ。
「……っで、ですが!」
キャリは抗議するべく声を上げかけた。だが、それを手で制したカリオンは、相変わらず静かな口調で『待て。先ず聞け』と叱った。次期王への教育という場なのだろうが、今この瞬間も貴重な時間が過ぎ去って行っている……
「ネコの側が驚くべき提案を行って来た。ここに、このシーアンにネコの国を移したいという事だ。それは我々イヌの利益とも合致するし、もっと言えばガルディア全体の利益でもある――」
クククと笑いながらそれを言ったカリオンは、チラリとホテルの上を見ながら言葉を続けた。何かを警戒しているのか、それとも様子を探っているのか。それは解らない。しかし、少なくとも碌な事じゃ無い。
人の子の親であり、ひとりの武人である筈の男。だが、何より一国を預かる王であり、五千万余の国民を護る義務を負った存在なのだ。その意味では、時に非情とも言える決断を迫られるのだろう。
「――ネコを獅子の国との接点とし、ガルディアと彼方の地にある国家との通商窓口とする。これで三方良しの結論を得られる。なにより、ネコとの不毛な争いに終止符を打つ事も出来る。悪くない話だろう?」
カリオンがそう説明したとき、キャリでは無くタリカが口を開いた。
「つまり、現時点ではララを見捨てて保護には当たらないと言う事ですか?」
鈴を転がすような声でタリカはそう言った。それを聞いたカリオンは一旦オクルカを見た後で『声まで可愛くなってしまったな』と一言挟んでから答えた。
「いや、保護はするし、護りもする。だが、ここで我々が動く必用が無いと言う事だよ。少なくともネコの騎士と比べキツネは50倍近い数で存在している。現場には相当な腕利きのキツネが30騎程いるそうだが、続々と後詰めが出ている故だ」
ニコリと笑ったカリオンに続き、オクルカが『蛇足でもっと言うとだな』と切り出した。キャリとタリカの視線がスッとオクルカにうつり、カリオンは少しだけそれに満足した。
「国体を移したいと言い出したネコに対し恩を売れる。聞かん坊になったネコへの対処は彼の国の中でも苛烈な処置以外に無いのだからな。その汚れ役を引き受けるだけで無く、国体移動のお膳立てと言うことだ。後になってグダグダ言われた時に反論の為の手札を増やしておける」
冷徹な政治家としての判断がそれを言わせるのだろう。その意味ではカリオンとオクルカのふたりがイヌやオオカミの未来の為に何を考えどう決断したのか。その見事な手本となって若いふたりに示されていることになる。
だが、それを飲み込めるか否かと言えば、率直に言えば若いふたりには飲み込み難いのだろう。ララを助けに行く。或いは護りに行くと言う意志を挫かれた悔しさは否定できない。その直情径行さを御せるようになった時、子供は大人になる。
「でも……」
悔しさを噛み殺したキャリの呻きが言葉になって漏れた。その姿を見て取ったカリオンは、ふと遠い日にリリスを助けに行くと言い切ったときの父ゼルを思い出していた。もはやイヌかヒトかなどと言う思考は、完全に抜け落ちていた。
「惚れた女を助けに行くんだ…… かつては俺もそうやって言い切って走り出そうとしてな、父上から殴られたよ。拳でだ。あれは……効いたよ――」
クククと笑いを噛み殺したカリオンは、両腕を組んでキャリを見た。気が付けば良い顔になっているいっぱしの男だ。だが、少々経験が足りなくあるし、もっと言えば失敗した悔しさの数が足りていない。
殴られ蹴られ転がって、草むらの臭いを嗅いで一人前だ。次からどうするかを考えられるようになっておかねばならない。急いては事をし損じるし、浮き足だってしまっては何も出来やしないことを学ばねば……
「――それに、ネコが国体を移すことはガルディア諸国の利害とも一致する。ネコの我が儘さや横暴さで煮え湯を飲んだのは一度や二度では無いだろう? 故にガルディアからネコを追い出す為の、いわば必用な手順だ」
政治家として必用な所見・定見を授け、それを心の内に備え付けさせる。それには場面場面に応じて何を考えどう決断したのかを見せるしか無い。いま思えば、それを教える為に父ゼルは自分を同行させたのだとカリオンは思っていた。
「それは解りました。でも、ララが……」
タリカが絞り出すようにそう言った後、キャリが続けて言った。
「姉を見捨てることは必用な事ですか? 国家の為に王族が払うべき犠牲として釣り合うのだと……と、父上は考えてられるのですか?」
そこにどれほどの意味が込められているのかは解らない。だが、キャリは例え国家存亡の危機になったとしても、ララを保護し回収するべきだと考えているのかも知れない。
王族であり次期太陽王ではあるが、それでもまだキャリは自由の身だ。ララとタリカしか居ない、たった3人の国の中であれこれ経験を積んでいる最中だった。だからこそ、その先を教え導かねばならない。
「それについてだが――」
腕を組んでいたカリオンは周囲を確かめ聞き耳が集まっている事を認識した後、ふたりを呼び寄せ小声で言った。周囲には聞こえない、重要な内緒話として。
「ララの所にはリリスが付いている。ウィルやリベラもだ。そして、リリス麾下の腕利きな魔導師が揃っている。場合によっては……ネコの一団を全て消し炭に出来るだけの戦力を最初からおいてある。何も心配ない」
先手先手を打ち、こちらが手詰まりを起こさぬよう対処しておく。
そんな気配り目配りを実戦してみせることが一番重要なのだ。
「じゃぁ……」
驚いた様にそう漏らしたタリカ。
それを聞いていたオクルカがニヤリと笑って言った。
「口封じに全て消し去る程度の戦力は……申し分ない量で存在しているってな」
ふたりの王が見せた深謀遠慮。
まだ若いふたりは、その慧眼と事前対処の精神に驚くしかなかった。