こんなはずじゃなかった……天衣の嬉しい? 誤算
今回も前回に引き続き篠宮 楓様の「希望が丘駅前商店街-姉さん、篠宮酒店は今日も平常運転です-」とのコラボです。
醸は捕獲後篠宮家に凱旋……
※現在より少し昔の設定なので、ちょっと懐かしいものが登場します。
篠宮さん毎度ありがとうございます。
あの後、醸兄はあたしを篠宮家に連れてって、
「親父、お袋、俺天衣と結婚するから」
と、裏口を開けた途端結婚宣言。そしたら、出てきた燗さんが、
「お、玉砕せずに済んだんだな。
にしても小天、おめぇもこんなヘタレで良いのかよ。俺はおめぇんとこのダイサクの方がこいつよか何倍も良いと思うがな」
と言う。それを聞いて、
「親父、親父は俺の結婚を喜んでくれない訳?」
と、醸兄がぶうたれると、
「いや、こちとらはこのヘタレが片付くんだ。選んでくれて万々歳ってもんでぇ」
と言って、ニヤッとあたしに笑いかける燗さん。しかも、
「で、お式はいつにするのかしら」
と、雪さんまで言い出すし。何? この即OKな感じ。反対されたくはないけどさ、なんかあんましすんなり受け入れられすぎると脱力するwww
そして、それを聞いて、
「俺はできたら明日にでもしたいけど」
と言う醸兄。あたし思わず、
「あ、明日!? ダメだよ」
って叫び声上げちゃったよ。
「駄目かな」
って、とろけるような表情で言う醸兄。あたしが必死になって、
「ダメかなじゃないよ! あたし学校あるし!!」
って言っても、
「結婚しても大学行く人ぐらいいくらでもいるよ」
って言うし、
「結婚式は? 明日って言われたら商店街の人だって、何人出られるかわかんないよ」
って言っても、
「入籍だけでも先にできない?
天衣はかわいいから変な男に言い寄られないか心配で」
だし、
「住む所は?」
って言っても、
「俺の部屋あるじゃん」
って返ってくる。もう、何言ってもダメなの?
「な、小天。止めるなら今の内だぞ」
そのうち、燗さんがそう言って豪快に笑う始末だ。
でも、今の内? なんか若干遅い気もするよ(ため息)
だけど、そこで雪さんが、
「じゃぁ、早速吟ちゃん電話しなくっちゃ。醸くんが吟ちゃんより先に結婚することになったって」
って明るく言うと、途端に醸兄の顔が青くなり、
「あ、姉さん! 姉さんより先に結婚するなんて言ったら、絶対に殴られる……」
と言って固まった。そうだよ、吟さんを差し置いて先に結婚なんてことになったら、何言われるか判んないよ。
「じゃぁ、吟ちゃんたちと一緒はどう?」
と言った雪さんに、
「う……一緒も駄目だよ。姉さんが結婚してしばらくしてからにするよ」
醸兄は苦虫をかみつぶしたような顔でそう答えた。助かったぁ、雪さん、グッジョブ!
だけど、話はそこで終わらなかった。
「そうだ、あした学校が終わったらすぐ電話かけてきてよ」
と言う醸兄。
「何で?」
「天衣のピッチを買いに行くから」
天衣携帯持ってないだろ? と醸兄が言う。
確かにあたしは携帯を持ってない。それは、ウチが自営業でパーパとオンマのどちらかはほとんど家にいるので、店電か家電にかければつながるからだもん。
「学校終わったら、電話してきて。希望が丘駅まで迎えに行くから」
「へっ?」
「天衣はかわいいから危ない。今は学校から帰るころは真っ暗じゃないか」
危ないって……希望が丘駅からすぐだよ、ウチ。しかも、商店街の中突っ切って帰るんだよ? どこが危ないの。
「別にいいよぉ」
というあたしに。
「駄目、もうこれは決定事項だよ。
それで、天衣は学校が終わったら連絡する」
「ま、毎日電話するの!?」
電車の中では電話しちゃいけないから、するとしたら帰りの駅くらいででしょ。んなことしてたら、友達に何言われるかわかったもんじゃないよ。
そしたら、あたしがすんごくイヤそうな顔をしたからだろうか、
「あ、メールででもいいよ」
と、醸兄は少しだけ折れてくれた。
「メールは送ってくれよ」
そこは譲る気はないらしい。ま、メールで良いのならとあたしはOKしたんだけど……
メールにしたって毎日打っていればみんなにはやっぱり言われるし、それ以前に、醸兄のメールでフォルダがみるみる埋まっていくのを見て、ちょっと早まったのかなと思ったのは、ここだけの話……
ダイサクを出そうと思ってたんですが、捕獲されたあと、天衣が
「こんなはずじゃなかった」
を連発して割り込んできました。
……いいよ、あんたらが主人公なんだから(ため息)




