表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/28

【商店街夏祭り企画】サプライズミッション発動

【商店街夏祭り企画】作品です。

今回、「ゆめくら」の由芽唯さんとB ooks大矢の綾佳ちゃんお借りしました。

 ここは松平まつひら市にある希望が駅前丘商店街ーー通称「ゆうYOUミラーじゅ希望が丘」。国会議員の重光幸太郎先生のお膝元としても有名だ。


 この商店街は実に様々な店舗が入っており、店舗同様個性豊かなメンバーが揃っていて、仲が良い。

 その中でも特に交流が深いのは、「喫茶トムトム」、「篠宮酒店」「JazzBar黒猫」、「居酒屋とうてつ」、「中華料理神神シェンシェン飯店」「美容室まめはる」といった所だろうか。


 その日、ヤン玉爾オクシは少し前に営業を再開したBooks大矢に出かけた。図解で浴衣を作る本を買うためだ。 玉爾はひらがなは読めるが、漢字は分からないものが多い、特に和裁用語は昔ながらの言い回しが多いので、正直お手上げ状態。初めて娘、ワン天衣テンフェイの浴衣を作った時も、型紙を手に入れたもののそこに付されている説明書きが全く理解できずに、「喫茶トムトム」に駆け込んで、富田紬に教えを乞って縫い上げた。その時紬は、

「作ってあげるわよ」

と玉爾に言ってくれたが、玉爾は生地を紬屋で購入していないことを理由に固辞した。生地は浴衣はもちろん帯地までデパートで購入してしまっていたし、紬が他に何着も縫うことを知っていたからだ。しかも、保育園のお祭りは町内のそれに被らないように7月の末。頼むとなると、天衣のものを優先してもらわねばならない。それは玉爾には心苦しかった。

 今は、文字ならその天衣がちゃんと読んでくれるし、浴衣も都合4着目で、大枠だが既に頭に入っている。

 ならばなぜ今回本まで買い込むかと言えば、ずばり今、神神にバイトに来てくれているダイサクのためである。ダイサクは天衣しかいない王家にとっては息子のようなもの。玉爾には天衣に作ってダイサクに作らないという選択肢はないのだ。ただ、思うところがあり、天衣やダイサクには知らせず用意したいので、一目で見て解る図解式を探しに来たという訳だ。とまれ本当の所は、先日バンタム放送開始25周年の記念冊子を見に来た時に、ここに偶然型紙付きの浴衣の本があることを知ったからなのだが、玉爾はこれでダイサクの分も自分が作るべきなのだと、改めて使命感に駆られたと言うわけだ。

 玉爾はシーズンに向けて何冊も売られていた中で、その名も「ミシンで縫う浴衣」という本を手に取り、レジに向かう。その時、玉爾はここも最近商店街にできた民宿、「ゆめくら」の倉島由芽唯くらしまゆめいに声をかけられた。由芽唯は玉爾の手にしてる本を見ると、

「玉爾さん、浴衣を縫うんですか」

あからさまに尊敬の眼差しでそう聞いた。

「浴衣まっすぐばっかりね。バンタムのコロニー服よりずっとカンタンよ」

(出たよ、バンタム!)

そして、その言葉にそう返した玉爾に、ここのバイトの大原綾佳おおはらあやかが思わず吹くのこらえていた。綾佳にはバンタムのことは既にカミングアウト済みで、若かりし頃のコスプレ写真も見せてあるから、今の発言はツボだったのだろう。一方言われた方の由芽唯は意味が解らず、

「まっすぐでも何でも縫えないですよ」

とそれでもうるうるの瞳で玉爾を見た。尊敬のまなざしで見られると玉爾も悪い気はしない。

「なら、ユメっ氏のも作るか。作るに、一つも二つも一緒ね」

と玉爾は由芽唯に持ちかける。

「えーっ、あ、でも、4人分とかお願いしても良いですか?」

「4人か。ちょっとムジュカしね。」

だが、さすがに4人と聞いて顔をしかめた玉爾に、

「やっぱりダメですよね」

と肩を落とす由芽唯。

ムジュカシしけど、できないないね。オッパ同じデカい人いないし、まだ早いからダイジョブよ」

それを見た玉爾は、首を横に振ってカラカラと笑った。ダメだと言われるとあらがうのが玉爾の性格だ。

 そう、天衣の浴衣づくりに成功した玉爾は、気を良くして夫、ワンカイのまで作ろうとしたのだが、この王開は身長188cmの筋肉質。既成の型紙では縦にも横にもムダに補正が多く、さすがの玉爾のオタク魂もポッキリと折られてしまったという過去がある。だが今回、「ゆめくら」面々は皆標準サイズだ。型紙の線通りに切るだけで事足りるだろう。

 玉爾は、

「その代わり、これ、すぐ全部ひらがなにしてくれほしいよ。私それで十分ね」

と由芽唯に今買ったばかりの本を由芽唯に差し出す。

「ホントにそれで良いんですか?」

思わぬ報酬要求に戸惑う由芽唯を後目に、

「あ、何なら読んでくれる良いね。私それ、ハングル書き取るから」

その方が早いね。と玉爾は畳みかける。

「ユカタ布、もらいに行くときメモ持って行くよ。

早く、布用意お願いね」

と言うと、玉爾は由芽唯の返事も聞かずに、今度は大量のB全紙を買うために文房具店に向かったのだった。

今回も玉爾暴走です。相変わらず安定の暴走っぷりです。


後はさらっと縫い上げて、まずは花火大会っと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ