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輝け! 女体研究同好会  作者: 鮎太郎
第三章 お別れの女体研究同好会
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後片付け

 生徒会室で一悶着あった翌日、誠、健吾、友里の三人は会室を片付けていた。教室いっぱいにある衣装と、写真集を全て片付けるのは骨だが、できるだけ速いうちに片付ける必要がある。


 昨日生徒会長を殴ったことが教師にばれて、健吾は三日間の停学を受けていた。親やら呼び出されたりして、今日の授業は殆ど受けていない。

 問題となっていた同好会については、解散処分となった。少なくとも一年は設立を禁止された。その為、会室の片付けが終わったら停学開始という話に落ち着いた。


「なあ、どうして俺が片付けの手伝いをしてるのかな? 違う同好会なのに……」


 利明のぼやきが聞こえてきたが、オレには何も聞こえない。当然無視するかない。

 それにしても、この荷物の山を片付けるのは、骨が折れる。しかも、見たことも無いグラビア写真集や、グラビア雑誌、性的な衣装など片付けをしているだけなのに、非常にムラムラしてくる。このままではいけないのに、読み耽ってみたいという欲望に駆られてしまう。


「健吾、分かっていると思いますが、サボらないようにお願いしますね」


 サボる前に釘を刺された。真面目にやるべきだろう。

 黙々と作業を続けるが、終わりが見えない。搬入時は一体どうしたのか疑問が浮かんでしまう。


「なぁ、先輩。この荷物、どうやって運び入れたんだ?」


「この荷物ですか? 休日に少しずつ運び入れました。君が入るまでそれなりに期間がありましたから」


 なるほど、休日を何日も使って搬入した物を放課後だけで運び出すのは、きつい訳だ。


「あーっ!」


 突如、友里の悲鳴のような叫び声が教室中にこだまする。


「どうした? ゴキブリか何かが出たのか」


 衣装の辺りで片付けをしていた友里の元へと駆け寄る。今更だが、この時期ならゴキブリよりムカデだろう。


「この衣装可愛いぃ! これ着たいー!」


 友里は誠に向けて、おねだりする様な甘えた視線を向ける。


「……あまり時間をかけないようにして下さい」


 誠は友里から視線を外しながら、答える。自分との待遇の違いが、妙に引っかかる。まぁ、女のような顔をしていても、男の子という事だろう。男より女を優先する。男だったらそうする、オレでもそうする。


「は~い。じゃあ、ちょっとの間、三人で頑張っててねぇ」


 スキップでもしそうな勢いで、会室から飛び出していく。


「はぁ……、どうして俺が……」


「気になったんだが、友里はコスプレが趣味なのか? 以前の話を聞く限りだと、そんな感じゃなかったのにな」


「君は本当に鈍感ですね。女性はいつでも可愛い衣類を身に纏いたいと思っているのですよ」


 誠にそんな事を言われても、承服しかねる部分がある。何より、お前は男だし、女性に関して詳しいとは思えない。だからといって、自分が詳しいかと聞かれると困るが、姉と妹と一緒に暮らしているので、誠より詳しいつもりだ。


「うるせぇなぁ。それより、友里とオレで扱いが違うじゃねーか! 男女差別はよくねーぞ」


「友里さんの場合は、着替えた方がモチベーションは上がります。健吾は読み続けるだけだと思いますが?」


 確かにそうかもしれないが、もっとこう、待遇をよくして欲しい。とはいえ、今日限りの関係になるかもしれない事を考えると、どうでもいいかもしれない。

 その後、黙々と作業を続けていると、友里が戻ってくる。


「じゃーん! お待たせしましたっ! さぁ、私も働くわよ」


 友里の着ている衣装は、ゴシックロリータとでも言うのだろうか、黒をベースとした服に目一杯フリルが付いている。ヘッドドレスまで被ってノリノリである。だが、名前にロリータと付いている由縁か、身長が高く凛々しい顔つきの友里にはあまり似合っていない。どちらかといえば、背が低く顔つきが可愛らしい誠の方が……って、奴は男だ。自分は一体何を考えているのだろうか。


「だが、いいのか? あの衣装で作業したら、汚れるだろ?」


「構いません。どうせ、サイズが違いすぎますし……って、違います。衣装の汚れなんてクリーニングに出せばいいだけです」


 サイズが違いすぎるって、自分で着るつもりなのか? まさか……な。それにしても、クリーニング代も結構するだろうに、太っ腹な事だ。

 その後、やる気を出した友里は今までの倍のペースで片付けをこなして行った。誠の目論見通りに事が進んでいるようで、あまり気分は良くなかったが、作業が早く終わる分には文句は無い。


 だが、やはり教室いっぱいの荷物は全て片付く事は無かった。


「もうすぐ強制下校時刻になります。今日はこの辺りにして、残りは明日にしましょう」


「ああ、そうだな。残りも少ないし、明日には終わるだろ」


「明日は何を着ようかな~♪ 明日で着納めだと思うと、気合が入るわね」


 そこは気合を入れる所じゃないと思うが、楽しんでいる所に水を差すのも悪いだろう。最後なのだから楽しんだほうがいい。


「盛り上がってる所悪いけど、明日は同好会があるから手伝いはできないけど、いいのかな?」


「ああ、残りも少ないし、お前はいらんだろう」


「何か酷くない? もっと、感謝の言葉とかないの?」


 何か文句を言っている利明は放っとく事にする。

 今日のところはこれで解散。今日纏めた荷物は、誠の家の使用人が貸し倉庫まで運んでくれた。女体研究同好会も、明日で完全に終わり。そして、後は停学が待つだけである。

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