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輝け! 女体研究同好会  作者: 鮎太郎
第二章 揉め事
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双葉 利明



「で? 何でてめぇがここにいるんだ?」


 健吾はジト目で、椅子に座って写真集を眺める利明を睨みつける。乱闘事件の後から利明はここに入り浸るようになった。

 利明が言うには「健吾がいれば誰も近寄ってこないから、安心して写真集が読めるから」だそうだが、それは理由になっていない。


「つまらん事いうなよ。お前だけがこの蔵書を読めるのは、卑怯だと思わないのか?」

「だったら、入会しろ!」


 そうだ、利明が入会すれば一人確保、残りは二人になる。何でそんな簡単な事に気付かなかったのだろうか。


「残念。俺は既に別の同好会に入会してるのだよ」


 そりゃそうだ。こいつは前から部活動する気満々だった。今更、入部していない理由は無い。一緒に座っている誠と友里は、健吾に知らなかったのかよと、言いたげな視線を向ける。学校の規則で、部活動の掛け持ちは禁止されている。その為、利明が今の同好会を辞めない限り、入会は出来ない。


「あんた等は知ってたのかよ?」


「既にスカウト済みです」


 誠は冷静に冷たく言い放つ。

 クッ! オレの知らない間に、そんな活動をしてのか。迂闊だった。


「健吾は鈍いわねぇ。そんな事も知らなかったの? とっくにスカウト済みだと思っていたわ」


 今日は、セーラー服を纏った友里がニコニコと微笑んでいる。昔ながらの黒いセーラー服のスカートは、膝下一〇センチといった感じのロングスカートであった。もう少し長ければ、どこのスケ番だと言いたくなる。


「くそっ! てめぇ! 一体、何処の同好会だ! 教えろ!」


 利明はいい所を邪魔されたみたいで、不機嫌な表情でこちらを睨んでくる。健吾はその視線を睨み返して威嚇してやる。


「分かった! あまり睨むなよ! お前、俺の趣味覚えているか?」


 利明の問いに、健吾は昔を思い出す。

 確か、昔に奴の家に行った時、ボードゲームや、カードゲームが山ほどあった事を思い出す。逆にTVゲームがない事に衝撃を受けたので、辛うじて覚えていた。


「ああ、テーブルゲーム全般だったよな」


「そう、テーブルゲーム同好会に入会したんだよ。まぁ、テーブルゲームと言っても、

カードゲームが主なんだけどな。最近のトレンドなのかな」


 利明の主張を纏めると以下のようになる。

 テーブルゲーム同好会は、カードゲームの相手に困らないようにする為に設立された同好会らしい。だが、会員の殆どは自分達のホームグラウンドを持っているので、同好会に束縛される事は好ましくないらしい。その為、週に一回~二回程度集まってカードゲームをするらしい。それ以外は自由。好きにしていいらしい。


 同好会としてはかなり優秀らしく、全国大会出場の上、好成績を収めているらしい。そんな同好会でも、利明は期待の新人として注目されているので、辞める事は難しいと言うのだ。しかし、学校がカードゲームを認める辺り、案外柔軟な部分があると思わざるを得ない。


「何だよ。お前にピッタリの同好会じゃねーか! くそっ! 何かそっちの方が楽しく思えてきたぜ」


 ゲームで遊んで学校から高評価を得られるなんて、なんてうらやましい。まぁ、真剣にやってる人達が聞いたら、顔を真っ赤にして怒り出しそうだ。カードゲームって結構お金がかかるらしいし、大変なものもある程度知っている。だが、そう思えてしまうから仕方ない。


「だったら、健吾も入りなよ。歓迎するよ」


 笑顔で健吾を勧誘する利明に、誠は鋭い視線を向ける。利明は肩を竦めると、勧誘するのを辞めた。


「健吾! 勧誘に行きますよ!」


 誠は怒ったように大声を出すと、会室から出て行ってしまう。健吾は疲れたように息を吐き出すと、誠の後を付いて行く。


「健吾~、頑張ってな~」


 背後から利明のいい加減な声援が届く。何となく胃が痛くなる思いをしながら、会室を後にした。


「私も後から頑張るから、そっちも張り切ってきてね」


 友里の声援虚しく、今日の成果も一切無く、無駄な時間を過ごす事になってしまった。誠の機嫌も悪く、健吾の胃壁は限界を迎えようとしていた。

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