ショートショート:悪意インジェクションの乱立
この作品は、アイデアを一度chatGPTに渡して関連情報などを出力してから改めて人力で執筆したものになります。文章としては作者が、プロットの一部はAI利用となります。
ああ。どうしてこんな社会になってしまったのだろうか。
俺はAR眼鏡をずっと愛用している。最初は野暮ったいデザインと重さで、かなり身に着けるのも辛かったものだが、最近のモデルはかなり洗練されてきており、ハイスペックモデルだと装着感も軽くてファッション性も高い物になっている。
値段もかなりこなれてきたので、最近はとても多くの人が街中で装着しているのを見かけるようになってきた。最初の頃から愛用している俺からすると、遂に俺に社会が追いついてきたかと感無量ではある。
だが、それは思いもよらない社会現象へと舵を切った。
俺の回りでは、AR眼鏡を付けている人が、唐突に首をあらぬ方向へ向けている。そしてすぐに元の方向へ向き直っている。そういう人がそこら中にいる。そして特定の標識や表示を見たらそうなっている。俺の眼鏡にはその場所が『悪質インジェクションを検知、視界から排除』と出ている。
これは昨今問題となっている『攻撃的インジェクション』と呼ばれているものだ。
それ以前にも、AIエージェントに書類や論文などを読み込ませる際に誤った命令と誤認させるプロンプトインジェクションと呼ばれるものがあった。画像などに紛れさせてAIエージェントに認識を間違えさせたり特定の情報をインプットさせて論文を有利にさせようとするハッキングの部類だ。
これが、AR眼鏡の普及に伴い、街中にプロンプトインジェクションがあふれてしまった。
広告業界はSEO対策として積極的にプロンプトを看板などの意匠へ挿入している。街中にあるプランドロゴは人間に読めるデザインを捨て始め、QRコードへと置き換わり始めている。それ以外にもあらゆる工業製品や衣服デザインなどありとあらゆるものにAIしか読めない意匠を紛れ込ませていて、それらがAR眼鏡の表示に出てきてしまう。
それ以上に問題になっているのが悪質インジェクションだ。どこかの誰かが、AIへ誤認させて異常行動を促すコードを勝手に貼り付けている。多くは新装開店の店舗の宣伝や、イベントの呼び込み、その他集客手段としての利用だ。法律はこれらの手法に対して全く追いついていない。行政も腰が重くて苦情を迅速に処理し切れていない。結果として悪質インジェクションは公的には全く対応がなされていないのである。
これに影響を受けるのがAR眼鏡装着者というのも問題をややこしくさせている。世間ではAR眼鏡を愛用しているのはまだ国民の半数程度であり、高齢者を中心に普及が進んでいない。そして政治を動かして声をあげるのは大抵高齢者や低所得者層だ。すなわちAR眼鏡愛用者と異なる人たちである。彼らはそれらの問題が全く理解できないし、AR眼鏡で良からぬ情報を見ていると誤解する人も多いので、そんな俺たちが問題だと訴えても自業自得だと一笑に付されるくらいだ。全く取り合ってもらえないのだ。
AR眼鏡側、製造メーカーやAIサービス提供側はそれに対して対抗策を打ち出している。それがアンチインジェクションサービス。
だが、これが提供されるのは高価格帯のAR眼鏡であったり、サブスクでかなり高額の追加サービスである事が多い。普及している廉価版のAR眼鏡ではサービス対象外であるのがほとんどだ。
結果として、今も悪質インジェクションに踊らされ、不要な指示で要らぬ方角へ誘導されたり、見たくもない広告を見せられる人が大勢いる。
……俺が手に入れたときには、とても夢のあるアイテムだった。見たものに対してAIが適切な指示を出してくれて、世界が輝いて見えたものだった。
今ではそこら中に『悪質インジェクションを検知、視界から排除』と頻出している。とにかく鬱陶しい。だが俺はサービスを受けられているので排除できている。そうでなければ不要な表示だらけでとても使い物にならない。
本当に、どうしてこうなってしまったんだろう。




